第44話 マレー作戦―1
護衛されていた輸送船団は、2/19に仏領インのサイゴンの港に着いた。サイゴンは、インドシナのフランスの直轄地の中で最も栄えた都市である。場所は、仏領インドシナの南部にある。(現在のホーチミンである。)
そこに、陸軍戦車一個連隊、陸軍歩兵一個連隊、陸軍野砲一個連隊、その他補給部隊、工兵隊などが上陸した。
第20混成師団としてこれから仏領インドシナ、ブノンペンに援護に、向かうのである。
その他に、空母瑞鶴、翔鶴から爆撃機彗星を降ろしてまで積み込まれてきたオ式回転翼機甲型計96機が下ろされた。
これは、陸軍回転翼機二個航空団である。
これは、日本陸軍の保有する回転翼機団の全てである。回転翼機団には、もちろん整備するための補給部隊も付いて来ている。
さらに、第1、6、7上陸師団の3つの上陸師団が来ている。第1上陸師団は、2式戦車である。残りの第6上陸師団、第7上陸師団は、九七式中戦車である。
ちなみに第8上陸師団は、いまだに訓練が終わっていないため、参加出来ないそうだ。
一個上陸師団は、陸軍一個中隊より少し大きい規模だ。
それには、少し理由がある。揚陸艦に積める戦車数に、関係しているのだ。
まとめると、以下になる。
陸軍では、
一個小隊は、戦車4両
一個中隊は、戦車四個小隊+2両=18両
一個大隊は、戦車四個中隊+3両=75両
一個連隊は、戦車二個大隊以上=150両以上
というように決まっている。
それに対して上陸師団では、
1隻の戦車揚陸艦に積める2式戦車は10両、九七式中戦車は12両、2式輸送車は8両なのだ。
積むものによって車両数は変わってくるのだ。そのため、各上陸師団ごとに師団の車両数は変わるのだ。
一個小隊は、戦車3/4両(二式戦車/九七式中戦車)
一個中隊は、戦車三個小隊+1 / 三個小隊= 10両 / 12両 = 戦車揚陸艦1隻(二式戦車/九七式中戦車)
一個大隊は、戦車三個中隊 = 30両 / 36両 =戦車揚陸艦3隻(二式戦車/九七式中戦車)
一上陸師団は、戦車三個大隊+α=揚陸艦10隻
となっているためである。
仏領インドシナ、サイゴンに上陸した軍団は、2日をサイゴンで過ごした後、ブノンペンに向け進軍を開始した。
まず、最新兵器であるオ式回転翼機96機が先行した。タイでの戦闘で、イギリスの航空部隊は、壊滅していたので制空権は確保されているので問題はなくブノンペンまで向かう事ができた。
イギリス軍、オーストラリア軍の主力戦闘機ブルースター F2A バッファローでは、日本の零式艦上戦闘機九九型勝てないのはもちろん、空軍(旧陸軍航空隊)の旧式戦闘機隼、鍾馗にも、空軍(旧海軍航空隊)の零式戦闘機二一型にも勝てなかったののだ。
その後ろにトラックに乗った歩兵連隊が、さらに後ろに野砲連隊、補給部隊、工兵部隊が続いた。
移動の遅い野砲連隊などもあり、援軍がブノンペンにすべて着くのに2週間かかった。
その間にも、連合軍はブノンペンに近づいていた。既にブノンペンまで100kmに先頭は来ていたのだ。
3/9ついに日本軍は反撃に出た。
今までは、弾薬、燃料の不足から最低限の兵器で戦っていたのだ。
それでも、イギリス軍らの連合軍の進軍を遅くしていた。一番の理由は、イギリス軍のマレー半島での主力戦車マチルダⅡが一撃でやられている事が、原因なのである。
マチルダⅡは、1943年になるとドイツのⅣ号戦車 F2型(のちに、G型となる。)が75mm長身砲塔を採用すると、次第に勝てなくなっていった。その時期になると、イギリスも新型のチャーチル歩兵戦闘車や、アメリカから貸し出されたM3中戦車などに置き換わっていったのだ。
その置き換えられたマチルダⅡはシンガポール、英領インド、オーストラリアに送られた。
そのため、開戦前にはマレー半島に約300領のマチルダⅡが終結していた。
しかし、日本軍との戦闘を行い出すと急速にマチルダⅡは減っていったのだ。現在、マレー半島にある戦闘可能なマチルダⅡ戦車は、約140両しかないのだ。(シンガポール要塞守備隊の50両を除くとだ。)
しかも、マチルダⅡの正面装甲(75mmもある)を敵戦車(2式戦車)は貫通させたのだ。マチルダⅡの75mm装甲など、2式戦車の105mm戦車砲の敵では、なかった。
もちろん、マチルダⅡは日本軍の戦車を撃破出来なかったわけではない。偵察隊の九十五式軽戦車や、戦車隊の九十七式中戦車を撃破している。しかし、味方5両と引き換えに1両よりもひどい撃破率なのだ。
これは、アフリカでも経験したことが無いひどい割合なのである。
そのため指令部では、日本軍はドイツからⅣ号戦車の砲塔を買っているなど、さまざまな憶測で対策を練っていた。
そこにさらにひどい一報が入ったのだ。
イギリス東洋艦隊 + アメリカ、オーストラリア、オランダ海軍の連合国軍の艦隊が日本の輸送船団に挑んで負けたというのだ。
「イギリス東洋艦隊には、最強の戦艦プリンス・オブ・ウェールズがあったというのに。」と思った参謀もたくさんいたのだ。
これでさらに進むのが躊躇われたのだ。
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