第42話 南支那海海戦―2
南支那海海戦は、三部構成です。
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大和型戦艦二番艦【武蔵】の砲撃で史上最後となる海戦は始まった。
小澤治三郎将
「敵艦は、イギリスの最新鋭艦らしい気を付けてかかれ。」
古村艦長
「分かっています。
敵はなぜ、2隻しかいないのでしょうか。
情報によれば、英国東洋艦隊には、3隻の戦艦が配備されていたはずです。」
小澤治三郎中将
「もしかしたら敵は、必死になって戦艦を分けて探しているのかもしれないな。」
古村艦長
「それだと、まずいですね。
はやく決着をつけなくては行けませんね。
砲術長、もう撃てるのか。」
砲術長
「はい、いつでも撃てます。」
古村艦長
「第1砲塔、第2砲塔、斉射用意ぃ 、撃てぇーーー」
『バキューーーーーーーーーーーーーーン』
戦艦武蔵の前部の砲6門が、イギリス東洋艦隊旗艦プリンス・オブ・ウェールズ目掛けて砲弾を打ち出した。
古村艦長
「航海長、艦を敵戦艦の前に出してくれ。」
航海長
「わかりました。
面舵一杯ィ」
「「「「 面舵一杯よーそろー 」」」」
航海長の声に反応し、かけ声と同時に操舵手は舵輪を勢いよく回し始めた。
それと同時に戦艦武蔵の後ろに続く、戦艦金剛、戦艦比叡も曲がりはじめる。
練度の高い日本海軍なのだ。一糸の乱れもなく駆逐艦も続いていく。
古村艦長
「砲術長、敵を捉え続けろよ。」
砲術長
「了解です。艦長。」
航海長
「もどせぇー」
「「「「 もどぅせぇーーーー 」」」」
古村艦長
「左舷に、全砲門集中させろ。
敵の一番艦をまず沈めるんだ。」
砲術長
「分かりました。
全砲門を左舷に集中。
敵一番艦に電探で照準を再度設定しなおせ。」
水兵
「照準、再度設定し直しました。」
古村艦長
「全門斉射用意ィ、撃てぇぇーーー」
『バキューーーーーーーーーーーーーーン』
水兵
「敵艦進路、変更しました。
西に逃げようしています。」
古村艦長
「このまま進みながら、輸送船団の方へ行かないように同航戦に持ち込むんだ。
航海長、細かい舵は任せる。」
航海長
「了解しました艦長。」
『ズキューーーーーーーーーーーーーーン』
水兵
「敵艦発砲しました。」
『ズドーーーーーーーーーーーーーーーン』
水兵
「距離100以上離れてます。」
古村艦長
「砲術長、射撃は続けてくれ。」
砲術長
「了解しました艦長。
全門斉射用意ィ 撃てぇぇーーーー」
『バキューーーーーーーーーーーーーーン』
今度は、戦艦武蔵から9発の砲弾が撃ち出される。最初は、イギリス東洋艦隊に向けてせ武戦艦は、T字になっていたが、現在は平行に成ろうとしているところの為、全主砲が左舷に向けて使えるのだ。
水兵
「近5遠4です。」
砲術長
「また、電探で照準合わせ直せ。
次も斉射するぞ。」
いわゆるレーダー射撃(電探射撃)を行っているのである。
水兵
「装填完了しました。」
砲術長
「全門斉射用意ィ 撃てぇぇーーー」
『バキューーーーーーーーーーーーーーン』
戦艦武蔵から第2斉射が放たれる。
それに対して、戦艦プリンス・オブ・ウェールズではまだ斉射に移れていなかった。
元々、戦艦プリンス・オブ・ウェールズは、戦艦武蔵に比べて射程距離が短いのだ。その分だけ不利なのだ。
戦艦同士の撃ち合いの場合、同等の力を持つ艦だった時には、先に斉射に移れた方が圧倒的に有利なのだ。
砲術長
「次弾装填いそげェーーー
次こそ当てるぞ。
第2斉射用意ィ撃てぇぇーーー」
『バキューーーーーーーーーーーーーーン』
戦艦武蔵から命中弾がでないまま既に6回斉射をしていた。
あとから斉射を始めた戦艦プリンス・オブ・ウェールズは、1発の命中弾を出していた。しかし、46センチ(18インチ)砲に耐えられる設計をされている戦艦武蔵に、14インチ(35.6センチ)砲の弾では、弾かれてしまっていたのだ。
戦艦金剛、戦艦比叡からは、敵巡洋戦艦レパルスに対して計3発の命中弾を与えていた。
巡洋戦艦レパルスは、第2砲塔が吹き飛び、艦尾は崩れかけている。さらに、前部煙突を付け根から吹き飛ばされていた。もう少しずれていたら運良く艦橋を突き破っていたというところだ。
巡洋戦艦レパルスは15インチ(38.1cm)砲が6門に対して、金剛型戦艦は14インチ(35.6cm)砲が8門が比叡と合わせて16門もある。圧倒的に不利なのだ。
巡洋戦艦レパルスは、この状況の中、ついに命中弾を出した。戦艦金剛の艦尾付近に弾を撃ち込んだのだ。しかし、最重要防御区画には当たらなかった。
このまま、勢いをつけようとするレパルスに被弾する直前に戦艦金剛の斉射した弾の1発が、最重要防御区画である機関室を、突き破ってしまったのだ。
機関が壊れ動けなくなった巡洋戦艦などただの的でしかなかった。
戦艦金剛、比叡から幾度となる命中弾を受け、巡洋戦艦レパルスは、沈んでいったのだった。
連合軍の唯一の戦艦となった戦艦プリンス・オブ・ウェールズは次回……………
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