黄金色の宇宙
ずっと前に書いた随筆。誰かに見てもらいたいだけ。
宇宙というものは黄金色をしているのかもしれない。
仕事から帰ってきたお父さんが
「今日は月が綺麗に見えたぞ」
と、教えてくれた。他の姉妹たちは九月ともいうのに月より団子のようで聞き流していたのに自分には少し魅力的に見えた。
「見てきたらどうだ?本当に綺麗だから」
うん、見てくる。
でも一人だと秋の夜は寒くて寂しい。だから最高の親友と共に庭に飛び出した。
月が綺麗だと言ったがそれはどういう意味なんだろうか?色がはっきりして雲にも隠れていないのか?もしかして月のウサギが餅を突いているのだろうか?
外に出てすぐに冷たい風がひぅっと横切る。朝と昼には夏の気配があるのに夜には秋が出てきて上着が無くては寒くて仕方ない。でも夏の気配がする間は袖だけが長くなるだけなのだ。
にしても今日は外が明るい。街灯は消えて家の明りも背後からしか差していない。だけど今日は明るくて不思議だった。
その理由はすぐ分かった。
月だ、月だった。
あれは何?
自分の脳はそれを月だと理解している、だがそれは全く自分の知っている月ではない。親友の瞳にも光が反射して黄色く輝いている。
綺麗だね
親友は返答を返してくれない。だって親友はただの熊の縫いぐるみだから。だけど
「綺麗だね」
と答えてくれた気がした。
お父さんの言った通りだ。月は恐ろしいくらい綺麗で大きく見えた。でもそこにウサギはいなくて月の黄色い光だけが空に浮かんでいた。
もしかして宇宙は黄金色をしているのかもしれない。
自分には空に月が浮かんでいるのではなく、空に穴が開いて黄金に輝く宇宙が覗き込んでいる気がした。
でも、そういったら皆は
「宇宙は青黒く、星が浮かんでいる」や
「月は宇宙に浮かぶ惑星である」と言い出すだろう。
けど自分には本当に宇宙が黄金色に見えたのだ。いや、もしかしたら確かに宇宙は黄金色じゃないかも知れない。けどもしかしたら!宇宙よりももっと先の世界では黄金色をしているかもしれない。
いつか自分はその黄金色の宇宙に行けるのかもしれない。
ねぇ、行けると思う?親友。
「行けるんじゃないかな」
もしも黄金色の宇宙に行ったのならば最初にそこにたどり着いた記録のため旗でも立ててやらなくてはならないな。その時には旗に親友と自分、黄金色の宇宙を教えてくれたお父さんの名前を入れてあげよう。
部屋に戻ってきても覗き込んできた黄金が忘れられなかった。もっともっと考えこんでしまって
本当に黄金の世界へ行った妄想をした。
黄金色の世界はすべてが黄金で宇宙とは違って宇宙服を着なくたって平気だった。黄金色の宇宙を歩き回って、歩き回って、黄金色の光を浴びる。
嗚呼皆に教えてあげないと!いつしか世界を覗き込んだ黄金色は美しく輝き続けたことを!
けど、自分は気がついた。こんなに良いところなのに親友であるぬいぐるみをもって来るのを忘れてしまった。
なんということだ!
すぐに持ってこないといけない。親友を連れてこないと!
そこで振り返って気がついた、嗚呼これは夢であると。
ずっと妄想をしていたから気が付かないうちに日を越してしまっていた。まぁそれも悪くはない。
起きてすぐに自分は親友に問うた
宇宙は黄金色をしていると思う?
「もし黄金色をしているんだったら一緒に行って確かめてみようね」
宇宙は黄金色をしているのかもしれない。またいつか顔を覗かせる九月にそれの答え合わせをしよう。
黄金色の宇宙 完
随分と前に書いたものを引っ張り出してきたので、今更ながら幼稚な文章だなぁと思っております。でもどこか懐かしくて、安心。結局あの黄金色の宇宙にはまだ再会を果たせておりません。




