第9巻:『交差する想い、絆の試練』
こんにちは、いつも応援ありがとうございます。
第9巻『交わる想い、絆の試練』では、美咲と健太がそれぞれの夢を追いながら、少しや不安に向き合う姿を描いています。
恋愛も夢も、どちらか一方だけでは成立しない。
変わりゆく環境の中でも、変わらない気持ちがある――そんな物語をお楽しみください。
●第1章:すれ違う時間
美咲の映画が公開を控え、プロモーションや撮影で全国を飛び回る日々。健太も初主演を務めるアニメのアフレコやイベント出演が続き、忙しさは増していた。
そんな中、ふたりの会話はメッセージのやり取りばかりになっていた。
「今夜は遅くなるかも、ごめんね」
「大丈夫。無理しすぎないようにね」
互いを気遣いながらも、心の奥に小さな孤独が募る。
美咲はふとした瞬間、スマホの画面を見つめた。
「会いたいな……健太に」
健太もまた、控室で彼女との写真を眺めながら呟いた。
「美咲さん、ちゃんとご飯、食べてるかな」
●第2章:不安の芽
ある日、美咲の映画共演俳優・神崎涼とのツーショットが週刊誌に掲載される。
「彼とはただの仕事仲間」
そう理解しているはずなのに、健太の胸にわずかな棘が刺さる。
事務所のスタッフからも気遣われる。
「大丈夫?ちょっと元気ないみたいだけど…」
健太は無理に笑って答える。
「ううん、大丈夫だよ。…ちょっと、疲れてるだけ」
美咲もまた、健太が何も言ってこないことに胸をざわつかせていた。
「私たち、大丈夫だよね…?」
●第3章:衝突
ようやく久しぶりに会える休日。美咲は健太の家を訪れるが、どこかぎこちない空気が流れる。
「……記事のこと、見たよ」
健太の静かな声に、美咲は少し驚く。
「うん、私も…知ってた。でも、あれは何もないの。ただの仕事仲間よ」
健太は俯きながら、目を逸らす。
「分かってる。でも…不安だった。会えない日が続いて、連絡も減って、写真まで見たら…」
「信じてくれてないの…?」
美咲の声に、健太は顔を上げて真剣な眼差しを向けた。
「信じてる。でも、怖くなったんだ。君がどんどん遠くへ行ってしまいそうで…」
美咲はそっと健太の手を取る。
「私はここにいるよ。健太の隣にいたいって、何度も思った。でも、きっとお互いに不安だったんだね」
健太は彼女の手を握り返し、深く頷いた。
「ごめん、美咲さん。俺、自分の不安に負けそうになってた」
「私もごめん。もっと話せばよかったね」
●第4章:向き合う強さ
再び向き合えた二人は、改めて話し合う時間を持つようになる。すれ違いの原因と、それでもお互いを思い続ける気持ちを確かめ合った。
ある晩、美咲が健太に言う。
「夢を追うって、簡単じゃないね。でも、あなたとなら乗り越えられる気がする」
健太は優しく微笑む。
「俺も同じだよ。君とだから、頑張れる。美咲さんの隣で、俺も夢を掴みたい」
お互いの努力や痛みを知った今、二人の絆はより強固なものになっていた。
●第5章:共に描く未来
月日は流れ、健太の出演作が高評価を得て、業界での注目度が高まる。美咲の映画も大ヒットを記録し、彼女の実力が改めて認められる。
そんなある夜、健太は美咲を夜景の見える場所へ連れて行った。
「美咲さん、これからも一緒に、いろんな景色を見たい。どんなに忙しくても、君と歩く時間は、俺にとって何より大切なんだ」
美咲はその言葉に目を潤ませ、笑顔で頷いた。
「私も、あなたとなら、どんな未来も怖くない。これからも、ずっと一緒にいてね」
二人はゆっくりと指を絡め、そっと唇を重ねた。
交差する想いがひとつになる瞬間――
それはまた、新たな始まりの一歩でもあった。
第9巻:『交差する想い、絆の試練』 完
ここまで読んでいただけました、ありがとうございました。
第9巻では、成長と共に芽生え、そしてそれを乗り越える二人の姿を描きました。 この
巻は、物語の中でも一つの転機であり、二人の関係が「本物」になっていく大事な瞬間だったと思います。
夢に向かって進んで美咲と健太、そして彼らが選ぶのは“未来”。その
行方を、これからも見守っていただければ嬉しいです。
次巻、第10巻ではさらに大きな選択が二つをご覧になります。どうぞお楽しみに。