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推しの声が聞こえる  作者: 鏡野ミツル
44/58

第44巻:『言葉の彼方へ』

刃となり、時には癒そして、今、言葉がされる。時代になったがている言葉には、まだ価値があるのだろう言葉は、時に刃となり、時に癒しとなる。

そして、今、言葉すらAIが生成する時代になった


母の言葉、AIこの巻では、「言葉の不思議」をテーマに、健太が自らの創作の根本と視点を置いています。

亡き母の言葉、AIの言葉、そして自分が紡いできた言葉——それがぶつかり、重なり合う中で、健太が選んだ「表現」とは何か?


言葉の輪郭を見つめ直すこの一冊が、読者のあなたにとっても、心のどこかに残る「誰かの言葉」を思い出すきっかけとなれば幸いです。

●第1章:失われた語彙


健太は次の映画テーマに「言葉」を選んだ。AIが進化し、滑らかに人間と会話する時代において、人が発する言葉とAIが生み出す言葉にはどんな違いがあるのか? その問いは、彼にとって非常にパーソナルな問題でもあった。


最近、亡き母が遺した日記を読み返していた健太は、そこにあふれる“言葉の温度”に心を打たれていた。打算もなく、ただ誰かに何かを伝えたかった純粋な文字の羅列。AIにはこの“温度”があるだろうか? その違いを探る映画の企画が静かに幕を開けた。


●第2章:言葉生成AIとの対話


健太はAI研究者・結城紗良と再会し、彼女が開発する「感情重視型AI」と対話を重ねる。このAIは、言語モデルの中でも特に「感情の余韻」や「人間関係における言葉の選び方」に重きを置いて開発されていた。


健太はAIとの会話ログを読み進める中で、時折「これは人間の言葉だ」と錯覚する瞬間があった。だが、やはりどこかが違う。その違和感の正体を映画で描くことを決意する。


●第3章:映画『言葉の彼方へ』


新作映画の主人公は、小説家の青年とAI編集者。物語は、彼がAIの力を借りてベストセラーを生み出そうとするが、やがてAIが作る“完璧な言葉”に苦しめられていくという構成。


「自分は何のために言葉を紡いでいるのか? 誰かに読まれたいからか、理解されたいからか?」


主人公はAIによる“洗練された文”を読むたびに、自分の言葉が“雑で、生っぽい”ことに落ち込み、次第に書けなくなっていく。


●第4章:感情と言葉のズレ


映画中盤、主人公は母の遺した手紙を見つける。そこには誤字脱字、文法ミス、意味の飛躍があふれていたが、逆にそれが「母のままの言葉」であることに深く心を打たれる。


「間違ってても、言葉って人間の鼓動そのものなんだ」


このシーンを通して、健太は「完璧な言葉」と「生きた言葉」の違いを強調する。AIが生成するどれほど美しい言葉も、感情の揺れや温度を完全には模倣できないのではないかというメッセージを観客に投げかけた。


●第5章:AIとの共作


後半、映画の主人公はAIに“自分の癖や迷い、トラウマ”を学習させる。すると、AIが返す言葉は、かつての自分のような、もっと拙くて、不安定な文体になっていく。それを読んだ主人公は、ようやく心を開く。


「言葉は、技術じゃない。感情の出口なんだ」


健太自身も、映画の脚本の一部をAIと共同で執筆した。AIが健太の過去作品を学習し、それに影響を受けて言葉を返すことで、まるで過去の自分との共作のような作品が完成した。


●第6章:言葉の未来


映画『言葉の彼方へ』は、AIが日常会話や文章生成において高い能力を発揮する時代において、人間にしかできない「曖昧なまま伝える」「感情の余白を残す」力に光を当てた。


試写会では多くの観客が、「AIに真似できない“自分の言葉”を大切にしようと思った」と語った。


健太は改めて、言葉の力を信じるようになる。


「たとえ誰にも届かなくても、言葉を発すること自体に意味がある。誰かを癒せる言葉が、どこかに届くかもしれないから。」


第44巻、完

「上手く伝えようとするほど、言葉が遠ざかっていく」

そんな経験は、誰にでもあると思います。


健太の映画『言葉の彼方へ』を優しく描いたのは、言葉の「正しさ」ではなく、言葉の「あり方」でし


読んでいただけました皆様の中で、言葉が少しでも優しくなりますように。

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