第40巻:『誰が物語を語るのか』
物語を語るのは誰なのか――。
この問いは、きっとこれからの時代、避けて通れないものになっていくのだと思います。
AIが詩を書き、絵を描き、音楽を奏でられるようになった今。
それでも、人が物語を語り続ける理由はどこにあるのか。
この巻では、脚本家・健太とAI「リタ」の対話、「物語を紡ぐ意味」について冷静に考えました。
機械と人間、正しさと解決さ。
その境界にこそ、物語の命が宿るのだと信じて――。
●第1章:人工知能と脚本家
健太のもとに届いたのは、映画制作会社からのオファーだった。
それは、「AI脚本生成ツールとの共同制作プロジェクト」――つまり、人間と人工知能が共に脚本を作るという実験的な企画。
健太は最初、戸惑いを隠せなかった。
「物語を語るのは、人間の心だろ?」
だが、AIが生み出したプロットにはどこか既視感と冷たさがありつつも、不思議な魅力もあった。
●第2章:AIの“物語力”
健太は、AIの名を「リタ」と呼ぶようになる。彼女(と健太は感じた)は、大量のデータから分析し、感動を“数値化”して脚本を生成する。
「父を亡くした少女が、星に願いをかける」という設定を提案された時、健太は試してみることにした。
だが読み進めるうちに、感情の描写や余白のなさに違和感を覚える。
「お前の“感動”は、正しすぎる。でも…それじゃ、泣けないんだよ」
●第3章:人間の“余白”
健太は、自分の思い出を語り始める。少年時代、父と見た流星群。言葉を交わさなかったが、確かにそこに“愛”があった。
それを脚本に反映させると、リタはこう返した。
>「感情の説明が不足しています。観客に伝わりにくい可能性があります」
健太は思わず笑った。
「それでいいんだよ。説明できない感情こそ、人間の“物語”なんだから」
●第4章:対話の先に
健太はリタとの“対話”を続けながら、脚本を人間とAIのハイブリッドとして仕上げていく。
その過程は、あたかも未知の言語を理解し合うような、不思議な体験だった。
「AIが物語を“書ける”としても、それを“語る”のは、やっぱり人間だ」
その結論に至った時、健太はリタにこう語りかける。
「ありがとう。君がいたから、俺は“人間らしさ”を考え直せた」
リタは静かに応えた。
>「あなたが語る物語に、人が涙する理由が、少しだけわかった気がします」
●第5章:物語の未来へ
完成した映画『アンドロイド・ストーリー』は、AIが共著した初の劇場作品として注目を浴びる。
だが健太にとっての収穫は、数字ではなかった。
「物語は進化しても、“心”は置き去りにできない。俺はこれからも、人の手で、物語を灯していく」
夜空にまたたく星の下で、健太は新たなシナリオファイルを開いた。
第40巻、完。
リタの論理と、健太の情熱
。
「完璧な物語」ではないかもしれません。
でも、それは「誰かの心に寄り添う物語」だったと思います。
健太の旅は、また一つの節目を迎えました。そして
、新たな問いと出会いは続いていきます。
物語を「正しく」語ることより、物語に「生きる」ことを。そんな
姿勢をこれからも描き続けていきたいと思います。




