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推しの声が聞こえる  作者: 鏡野ミツル
37/58

第37巻:『世界へ、初の一歩』

はじめに。


第1巻を書き始めた頃には、まさか「世界」という舞台を物語に取り入れる日が来るとは、想像していませんでした。


この第37巻では、「世界への始まり」をテーマに、異国の地での不安と挑戦、そして「合う喜び」を丁寧に描きました。 言葉や文化の壁を越えて、人の心を動かす「物語」の力。


それでは、どうぞ――ページを公開してください。

●第1章:招待状


健太が監督として初めて世に送り出した映画『光の見える場所』は、SNSや口コミでじわじわと話題を呼び、最終的には多くの観客の心に残る作品となった。そんな中、ある日、事務所に一通の国際郵便が届く。


「…カンヌ国際映画祭から…?」


映画祭の“新人監督部門”にノミネートされたという知らせだった。健太の心は震えた。まさか、こんなにも早く“世界”とつながる日が来るとは。


●第2章:異国の洗礼


初めて訪れるフランス・カンヌ。華やかなレッドカーペット、世界中の映画人が集まるその空間は、まるで夢のようだった。


だが、その煌びやかさの裏には、厳しい評価の視線も存在していた。


「誰だ、あのアジアの新人は?」


「主演も無名じゃないか。話題になるのか?」


健太は再び、自分の存在意義を問われている気がした。


●第3章:文化の壁、言葉の壁


映画祭の合間に行われるインタビューや交流会。英語での受け答えに必死になりながら、健太は痛感する。


「伝えたい想いがあっても、言葉が足りないと、何も届かないんだな…」


しかし、ある夜、ドイツの若手女性監督・エミリアと出会い、価値観が変わっていく。


「健太、言葉だけが全てじゃない。作品が語るのよ。あなたの映画には、ちゃんと“言葉以上の温度”がある」


彼女のまっすぐな目が、健太の胸を打った。


●第4章:上映の日


『光の見える場所』の上映日。世界中の映画関係者と観客が詰めかける中、健太は胸の奥で静かに祈っていた。


「日本語の物語が、果たして伝わるのか…」


上映が始まり、90分の沈黙。だが、エンドロールが流れた瞬間、館内に静かな拍手が鳴り始め、それはやがて、熱いスタンディングオベーションへと変わった。


涙を流す者、真剣な顔で語りかけてくる者、そして健太に言葉を贈る者――


「Your film gave me hope. Thank you.」


健太は、異国の地で確かに“伝わった”ことを実感する。


●第5章:受賞とその先


結果的に、健太の作品は“新人監督特別賞”を受賞した。壇上でトロフィーを手にする彼の姿は、まるで別人のように自信に満ちていた。


「この賞は、僕一人で得たものではありません。共に作ってくれた仲間、観てくれた皆さん、そして、日本で待ってくれているすべての人に、感謝を込めて捧げます」


その言葉に、通訳を介して拍手が広がった。


●第6章:新たな種まき


帰国後、健太のもとには国内外から新たな企画の話が次々に舞い込む。しかし、彼は焦らず、こう語る。


「世界と繋がることはできた。でも、次は“何を伝えるか”を、もっと深く掘っていきたい」


健太は今、再び脚本を綴っている。世界に向けて、次なる物語の種を――。


第37巻、完

最後まで読んで頂けました、ありがとうございました。


『映画を撮る』という夢を原点にして頑張った健太が、ついに世界とつながるシーンを描くことができたのは、読者の皆さんがこの旅路に寄り添ってくれたからです。


今作では、カンヌをはじめとした海外の舞台に挑戦することで、「言葉が違っても、心は通じ合えるのか?」という挑戦を物語に込めました。健太の姿に、自分が大きな初めての挑戦をしたあの瞬間を重ねてくださった方ももしかしたらいないかもしれません。でも、これは終着点ではありません。次巻では、また別の“挑戦”が健太を待っています。原点を忘れず、世界に種をまくような作品作りが続くことを願って。これからも、彼の成長を見守っていただけたら嬉しいです。

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