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推しの声が聞こえる  作者: 鏡野ミツル
36/58

第36巻:『監督・健太、始動』

どうぞ、いつも物語を手に取って頂きまして、本当にありがとうございます。


第36巻では、これまで『俳優』として頑張った健太が、ついに『監督』として新たな世界に挑戦する姿を描きました。


表に立つだけでなく、誰かの想いを形にする裏方の立場――そこに広がる勇気。健太の新たな旅立ちを、ぜひ心の中で守ってください。

●第1章:新たな夢の兆し


主演俳優として確固たる地位を築いた健太。しかし心の奥には、かねてから芽生えていた“もう一つの夢”があった――それは、自分の物語を自分の手で創ること。つまり、「監督」として映画を撮ることだった。


「いつか、自分の視点で世界を描いてみたい」


そんな想いを抱いていたある日、健太は映画プロデューサーから一言告げられる。


「君の企画、通ったよ。いよいよ監督デビューだ」


運命の歯車が、音を立てて動き出した。


●第2章:ゼロからの構築


健太の初監督作品は、自身が長年温めてきたオリジナル脚本だった。テーマは「親と子の再生」。誰にでもある“心の痛み”を優しく、けれどもリアルに描くストーリー。


だが、企画が通ったからといって順調に進むわけではなかった。


「こんなにやることが多いなんて…」


脚本の見直し、キャスティング、スタッフとの意思疎通、ロケ地の選定、予算管理。俳優として経験してきた現場とは、まるで違う“裏側の世界”がそこにはあった。


それでも健太は逃げなかった。毎晩夜遅くまで机に向かい、誰よりも現場に早く入り、誰よりも情熱を燃やした。


●第3章:主演とのぶつかり合い


主演には若手の実力派俳優・真鍋悠斗を抜擢。だが撮影初日から、二人の間には温度差が生じていた。


「監督、これは“感情を押さえる”より、“ぶつけた方がリアル”じゃないですか?」


「いや、あの場面は、抑えてこそ伝わるものがあるんだ」


若く勢いのある悠斗と、初めて演出する健太。ぶつかる意見の中で、現場に緊張が走ることもしばしば。


だが、健太は逃げなかった。正面から向き合い、時には譲り、時には譲らず、互いに信頼を育てていった。


やがて、悠斗はポツリと呟く。


「監督、あんた…本気なんだな」


●第4章:一体感


撮影が進むにつれ、チームの結束力は高まっていった。健太の真剣さは、スタッフやキャストの心を動かし、「この作品を成功させたい」という空気が現場に満ちていく。


とあるシーンでは、急なトラブルで撮影が中断しかけた。しかし健太は冷静に判断し、チームを導いた。


「今こそ、僕たちの映画を作ろう」


その言葉に皆が応えた。カメラが回るたび、奇跡のような瞬間が生まれ、作品は着実に完成へと近づいていく。


●第5章:完成と不安


編集作業を終え、ついに映画が完成。タイトルは『光の見える場所』。健太が初めて監督として世に送り出す作品だった。


だが、いざ公開が迫ると、健太の心は不安に満ちていた。


「これでよかったのか…?観客に届くだろうか…?」


俳優としてではなく、“監督”という立場で観る観客の反応――それは初めての感覚であり、どうしても緊張を隠せなかった。


●第6章:舞台挨拶の日


ついに公開初日。健太は舞台挨拶の壇上に立った。スクリーンの前に立つ彼の胸中には、様々な思いが渦巻いていた。


「この作品は、僕自身の心の叫びでもあります。誰か一人でも、何かを感じ取ってもらえたら、それで十分です」


観客の拍手。共演者やスタッフからの熱い眼差し。そこには、監督としての健太の“新しい居場所”が確かにあった。


その日、劇場を出た観客たちが静かに涙を拭っているのを見て、健太は初めて確信する。


「伝わったんだ――僕たちの想いが」



第36巻、完。

健太が「監督」として初めての作品を作り上げたこの巻は、彼にとって新たなステージであり、大きな挑戦でした。


私の日常にも、「初めて踏み出す役割」や「人とぶつかりながら築く信頼」はたくさんあります。そんな日々の中で、健太の姿が少しでも皆様の心に響けば、これ以上嬉しいことはありません。


次巻では、世界という舞台でさらに成長していく彼の姿をお届けします。どうぞご期待ください。

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