第36巻:『監督・健太、始動』
どうぞ、いつも物語を手に取って頂きまして、本当にありがとうございます。
第36巻では、これまで『俳優』として頑張った健太が、ついに『監督』として新たな世界に挑戦する姿を描きました。
表に立つだけでなく、誰かの想いを形にする裏方の立場――そこに広がる勇気。健太の新たな旅立ちを、ぜひ心の中で守ってください。
●第1章:新たな夢の兆し
主演俳優として確固たる地位を築いた健太。しかし心の奥には、かねてから芽生えていた“もう一つの夢”があった――それは、自分の物語を自分の手で創ること。つまり、「監督」として映画を撮ることだった。
「いつか、自分の視点で世界を描いてみたい」
そんな想いを抱いていたある日、健太は映画プロデューサーから一言告げられる。
「君の企画、通ったよ。いよいよ監督デビューだ」
運命の歯車が、音を立てて動き出した。
●第2章:ゼロからの構築
健太の初監督作品は、自身が長年温めてきたオリジナル脚本だった。テーマは「親と子の再生」。誰にでもある“心の痛み”を優しく、けれどもリアルに描くストーリー。
だが、企画が通ったからといって順調に進むわけではなかった。
「こんなにやることが多いなんて…」
脚本の見直し、キャスティング、スタッフとの意思疎通、ロケ地の選定、予算管理。俳優として経験してきた現場とは、まるで違う“裏側の世界”がそこにはあった。
それでも健太は逃げなかった。毎晩夜遅くまで机に向かい、誰よりも現場に早く入り、誰よりも情熱を燃やした。
●第3章:主演とのぶつかり合い
主演には若手の実力派俳優・真鍋悠斗を抜擢。だが撮影初日から、二人の間には温度差が生じていた。
「監督、これは“感情を押さえる”より、“ぶつけた方がリアル”じゃないですか?」
「いや、あの場面は、抑えてこそ伝わるものがあるんだ」
若く勢いのある悠斗と、初めて演出する健太。ぶつかる意見の中で、現場に緊張が走ることもしばしば。
だが、健太は逃げなかった。正面から向き合い、時には譲り、時には譲らず、互いに信頼を育てていった。
やがて、悠斗はポツリと呟く。
「監督、あんた…本気なんだな」
●第4章:一体感
撮影が進むにつれ、チームの結束力は高まっていった。健太の真剣さは、スタッフやキャストの心を動かし、「この作品を成功させたい」という空気が現場に満ちていく。
とあるシーンでは、急なトラブルで撮影が中断しかけた。しかし健太は冷静に判断し、チームを導いた。
「今こそ、僕たちの映画を作ろう」
その言葉に皆が応えた。カメラが回るたび、奇跡のような瞬間が生まれ、作品は着実に完成へと近づいていく。
●第5章:完成と不安
編集作業を終え、ついに映画が完成。タイトルは『光の見える場所』。健太が初めて監督として世に送り出す作品だった。
だが、いざ公開が迫ると、健太の心は不安に満ちていた。
「これでよかったのか…?観客に届くだろうか…?」
俳優としてではなく、“監督”という立場で観る観客の反応――それは初めての感覚であり、どうしても緊張を隠せなかった。
●第6章:舞台挨拶の日
ついに公開初日。健太は舞台挨拶の壇上に立った。スクリーンの前に立つ彼の胸中には、様々な思いが渦巻いていた。
「この作品は、僕自身の心の叫びでもあります。誰か一人でも、何かを感じ取ってもらえたら、それで十分です」
観客の拍手。共演者やスタッフからの熱い眼差し。そこには、監督としての健太の“新しい居場所”が確かにあった。
その日、劇場を出た観客たちが静かに涙を拭っているのを見て、健太は初めて確信する。
「伝わったんだ――僕たちの想いが」
第36巻、完。
健太が「監督」として初めての作品を作り上げたこの巻は、彼にとって新たなステージであり、大きな挑戦でした。
私の日常にも、「初めて踏み出す役割」や「人とぶつかりながら築く信頼」はたくさんあります。そんな日々の中で、健太の姿が少しでも皆様の心に響けば、これ以上嬉しいことはありません。
次巻では、世界という舞台でさらに成長していく彼の姿をお届けします。どうぞご期待ください。




