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推しの声が聞こえる  作者: 鏡野ミツル
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第13巻:『風が変わるとき』

この物語が始まってから、ふたりはそれぞれの夢を抱きながらも、とりあえず、手を組んで一緒にできました


誰かの夢が加速するとき、誰かが思わずりそうになる瞬間もある。


風が変わるとき、人は強くなれる――そう信じながら。

●第1章:変化の兆し


春の訪れと共に、美咲は主演を務める新作アニメの発表記者会見に立った。

彼女の横には、かつて一緒に作品を作った音響監督や脚本家たちの顔もあったが、今回は制作会社が変わり、全体の雰囲気もどこか違っていた。


「求められるものが、また一段と変わった気がする…」


美咲はそう呟きながらも、しっかりと笑顔を崩さず、取材に応じていた。

一方、健太も新しい制作会社でアシスタントとして働き始め、毎日必死に食らいついていた。


二人は以前より時間をうまく使って会えるようになっていたが、どこか心の奥に「次のステップ」への戸惑いを抱え始めていた。


●第2章:光と影


美咲のもとに、新たな話題作の出演オファーが舞い込む。しかも、海外配信も予定されたビッグタイトル。だが、そのプロデューサーはかつて健太が夢を追っていた時に苦汁を飲まされた人物でもあった。


「健太には言えないかも…」


美咲は一瞬迷った。彼を傷つけた過去を知っているからこそ、自分の成功が彼の心に影を落とすかもしれないと。


そのころ、健太は健太で、自分のいる制作現場が抱える問題に苦しんでいた。パワハラ気質の上司、無理なスケジュール、理想とは遠い現場のリアル。だが、逃げ出したくない気持ちも強かった。


●第3章:ふたりの距離


ある晩、美咲は健太にオファーのことを打ち明ける。健太は少し驚いたが、笑って言った。


「そりゃあ、すごいチャンスじゃん。…大丈夫。俺は、ちゃんと前に進んでるから」


言葉に嘘はなかったが、その夜、健太はベランダで一人、空を見上げていた。

彼女の眩しさに、置いていかれてしまうのではないかという不安が、心の奥で渦巻いていた。


●第4章:交錯する想い


美咲が撮影のために地方へしばらく滞在することになり、ふたりはまた少し距離を取ることに。

だが離れている間も、連絡を取り合い、互いの頑張りを励みにする日々が続いた。


健太は現場の先輩に言われる。


「お前の目って、昔と少し変わったよな。誰かを思ってる目、してる」


その言葉が、どこか胸に残った。

「俺は、今の場所でもっと成長しなきゃ…彼女の隣に、胸を張って立てるように」


●第5章:再び、手を取って


数週間後、美咲が撮影から戻る夜。健太は駅まで迎えに来ていた。


「おかえり、美咲さん」


「ただいま。…会えて、嬉しい」


二人は少しだけ照れながらも、手を握り合った。言葉は少なくても、心はつながっていた。

お互いが、それぞれの現場で頑張ったことを感じ取っていた。


●第6章:未来へ風を切って


物語の終盤、美咲は初めての海外イベント出演を控え、健太は新人の育成にも関わるようになる。


それぞれの「夢」が、静かに、でも確実に現実になっていく中で――

ふたりは、日常の一コマの中で誓う。


「また、迷ったり傷ついたりするかもしれないけど…そのたびに、ちゃんと手を取り直そう」


「うん。未来に向かって、風を切って進もう」


第13巻、完

第13巻、いかがでしたか?


美咲と健太、それぞれの現場が本格化していく中で、二人の「温度差」と「夢への距離感」を少しシビアに描いてみました。


次巻では、二人の物語がもう一段階、ステージを上げていきます。二人の道が「一緒に並ぶ瞬間」を、すぐに描けます。


ここまで読んでいただけて、本当にありがとうございます。引き続き、二人の成長と未来を見届けていただけたら嬉しいです。

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