第11巻:『名前のない未来を、君と創る』
「二人でいますが、特別じゃなくて、当たり前になっていきます。」
美咲と本巻では、再会を果たした美咲と健太が、静かで穏やかな日常「愛の成熟」と「未来への覚悟」を育んでいく姿を描きました。もうときめきだけでは続けられない関係
の中で、どうやって「選び続ける」のか。そんなテーマ
を、静かな時間の中に込めています。
読んであなたのそばにも、かけがえのない「ふたり」の形が、そっと寄り添いますように。
●第1章:静かな時間の中で
再会から数ヶ月、美咲と健太はお互いの仕事の合間に、ゆっくりと時間を重ねていた。
一緒に朝食を作る。
洗濯物を取り込む。
ドラマを観ながら笑い合う。
かつての喧騒が嘘のように、穏やかな日々が流れる。
「こういうの、幸せって言うんだね」
美咲がぽつりと呟いたとき、健太は黙って彼女の頭を撫でた。
●第2章:選択の時
ある日、健太の事務所から海外映画の主演オファーが届く。期間は半年、ロンドンでの撮影。
そして美咲にも、朝の情報番組のレギュラーMCとしての出演依頼。
どちらも、今後のキャリアを左右する重要な機会だった。
でも――二人の生活リズムは、またしてもすれ違う。
「また離れ離れになるね」
「…うん。でも、前と違うよ。今の私は、ちゃんと信じられる」
●第3章:重なる想い
二人は夜の散歩に出る。
街灯の下、健太がぽつりと呟く。
「いつかさ、家とか…持ちたいな。君と一緒に、住む家」
美咲は一瞬驚いた顔をして、それから優しく微笑む。
「その“いつか”、私も見てみたい。…だから、ちゃんと帰ってきて」
彼女はポケットから、小さな紙包みを取り出した。
中には、折り鶴と一言のメッセージ。
「“待ってるよ”って、書いてある」
健太は目を伏せて、でも確かに頷いた。
●第4章:遠くても、近くに
ロンドンと東京。再び離れた二人の生活。
だけど、今回は違う。
「今日は晴れてる?」
「こっちは小雨。でも、コーヒーが美味しいよ」
日常を言葉で繋ぐことで、ふたりの距離はむしろ近づいていった。
健太は撮影後に美咲のMC姿を録画で見て、笑う。
美咲は毎晩、健太の語り口を思い出しながら寝る。
そして季節は、また春を迎えた。
●第5章:永遠の“ただいま”
健太が帰国した朝、美咲は小さなカバンひとつで、空港の出口に立っていた。
「本当に、待っててくれたんだ」
「うん。だって、あなたが“帰る場所”って決めてくれたから」
健太は彼女の手を取る。
「帰ってきたよ。これからはずっと、君の隣に」
数日後、二人は小さなアパートの一室に引っ越す。
壁はまだ殺風景。でも、笑い声と温もりがあった。
「ねえ、これからの未来、名前つけるとしたら何て呼ぶ?」
美咲が聞くと、健太は少し考えて、こう言った。
「“ふたり”って名前にしよう。ずっと一緒にいるって意味で」
第11巻:『名前のない未来を、君と創る』 完
ここまで読んでいただけて、本当にありがとうございます。
第11巻は、これまでの激動から一転、「二人が共に在ることの意味」に焦点を当てました。
選択、距離、そして信頼。どれも一朝一夕では築けないものだけど、少しずつ、彼らは「未来」を一緒に紡いでいきます。
次巻、第12巻では、二人が手に入れた日常に新たな試練が訪れます
。
でも、その衝突の先に見えるものを、みんな一緒に見て届けてください。




