エピローグ
十二時頃に作品全体の後書きを投稿します。
よかったら読みにきていただけると大変助かります。
(●´ω`●)
【エピローグ】
土砂を車が進んでいく。
どんどん、どんどん、街が小さくなっていく。
風は静かに草木を撫で、車体の進む道はいつまでも真新しい旋律を奏でる。
世界は理想と違っていて、願っていた自分でもなくて、それでも、そんなものはなんの理由にもならなかった。
『——お疲れ様でした』
突然、車のモニターが切り替わり、アルファベットでMiraという文字が映っていた。
「なんで……いや、直人の車だから当然か。悪いけどオレは直人じゃない」
『承知しております。前主人により、本機の使用権限は志楽野良様に移行されております』
「そうなのか。君は人工知能なんだろ? いいのか?」
『主人様のように感情のプログラムは必要視されておりません。使用者が変わったところで我々の仕事は変わりませんし、なにも感じません。強いて述べるのなら、大切にしていただけると助かります』
「貰い物だから、当然大事にするよ」
『ありがとうございます。……そして、ここでお詫びもさせていただきます。都市との接続が完全に切れてしまい。二度と情報の更新ができなくなってしまいました』
「それは結果的にどうなるの?」
『都市からの情報を入手することができません。つまり、年月が経過する度に知らないことが増えていくということです』
「それは、直人が意図してやったことか?」
『肯定』
「そっか……まぁどちらにせよ都市に戻らなきゃ情報の更新はされないんだろ?」
『肯定。我々はマスターに助力するだけです。進むも、戻るも、貴方次第です』
「そうだ。折角だし、色々と聞いてもいい?」
『もちろんです。我々はそのために存在しています』
「囚われの街に行きたいんだけど。安全なルートってわかる?」
『存在しません。あそこは危険地区とされており、人間には手に負えられない生物が多数存在します。ベテランでさえ死ぬことがありますので、非推奨です』
「親父にお礼だとか、オレの夢について語りたいんだよ」
「非推奨。親父様が生存しているのであれば貴方は街から出ることができるでしょうが、もし死亡していた場合、貴方は囚われの身となってしまう可能性が高いと判断します』
「じゃあ安否の確認もしないとな」
『理解不能。話を聞いていますか?』
「冗談だよ。そのうち向かうよ」
『肯定。貴方にはまだ経験が足りていません。投機は貴方に知識を与えられますが、判断能力はありません。生きるも死ぬのも全てあなた次第です』
「わかったよ。移都市以外の街に行ってみたいんだけどさ。近くに街はある?」
『回答。ここから一番近い場所は希望ヶ丘になります』
「おい」
『冗談です。元気出ましたか?』
「元々元気だよ」
『健康管理も私は出来ます』
どこがだ。
『先ほどの話ですが、二千キロメートルほど先に、第三調査基地があります』
「調査基地?」
『東京移都市は元々第一調査基地と呼ばれていました。要するに発展しなかった場所です』
「なるほど。じゃあそこに向かうか。ナビを頼む」
『申し訳ありませんが、現在の投機ではおよその方角しか示せません』
「十分だろ」
液晶に映った矢印に向かってハンドルを切る。
「そうだ。これから宜しくな」
『肯定。末永く宜しくお願いします』
最後まで読んで頂き心から感謝しています。
本当にありがとうございました。
to be continued……




