第2話 受け入れる者でしか、始められないことがある
新しく、推敲しました。
短いですがかなり読みやすくなったと思います。
1
万愚節に選んでもらった服を着て、あまり本気っぽく見えないように少しだけワックスを付ける。
「——なんか今日は気合い入ってるな。彼女でもできたのか?」
洗面所で髪型を整えていると、直人は鏡越しに不愉快そうな顔でこっちを見ていた。
「友達だよ。まぁ女性だけどな」
「セフレか……このヤリチンめ!」
「ただの友人だからな。外で遭遇しても絶対そういうこと言うなよ」
「ふーん」
直人はジトーとした視線を向けて唸った。
なんだこいつ。変なこと企んでないよな。
「……狙ってるの?」
「そういうのじゃない。ただ、一緒にいて楽しいから遊びに行くんだよ」
「そう……。一応忠告しておくけど、俺はお前の夢以外のことは手伝わないからな」
「だから、そのつもりはないって言ってるだろ」
居候の身分で誰かと付き合うことなど考えられない。相手だって無職の男にそこまで求めていない筈だ。
「早く帰ってこいよ。俺が居ない間に連れ込んだりしたらぶっ殺すからな」
「怖ぇよ」
「あとそうだ。夜飯は食べてくるのか?」
「一様予約はしてる」
「へー、ワンナイトか」
直人は再びジト目を向けてきた。
オレは突っかかってくる直人から逃げるように家を飛び出す。天気予報では一日中快晴で、今日は絶好のデート日和らしい。
「——はぁ……」空に浮かぶ線雲を見ながら小さく溜息を吐く。
遊んでばかりいて直人には申し訳ないと思っているが、折角の舞い上がっていた気分が台無しだ。
万愚節と初めて出会ったデパ地下の駅前に予定より三十分も早く着く。暇潰しに端末のパズルゲームを始めると、誰かの足音が目の前で止まるのが聞こえた。画面を覗き込んできた女性と目が合い、オシャレな格好をした彼女はキョトンとした顔で一歩引いた。
白のパネルキャップで顔が半分隠れ、フリル袖のティーシャツブラウスとデニムのフレアスカートが大人びて見えてドキリとする。
「ごめん、待たせちゃった?」
「大人っぽい……あ、いや、むしろ全然。オレが早く来過ぎたくらいだ」
「みたいだね。野良が居ると思って早く此処に来たの」
「先読みしてたのか」
「私の優しさ、感謝してくれてもいいんだよ」
「ありがたやー」
祈るように手の平を擦り合わせて感謝を示すと、万愚節はそれに笑顔で応じる。
「「ふふっ」」
見惚れた恥ずかしさを誤魔化した勢いだけの会話が、珍妙にして滑稽で再び顔を合わせると互いに吹き出してしまった。
「じゃあ、行こうか」
このまま立ち話も悪くないが、会話が途切れるのを恐れてそっと改札に向かい始める。
「……ねぇ、まだ服の感想聞いてないんだけど?」
半歩先を進むオレに、万愚節は腕を絡めて静止させてきた。横髪を耳に掛け、ちらりと顔を覗き込む。その瞬間、小さなイヤリングがキラリと光った。
普段よりも装飾品に拘っているのが見て取れた。
「凄く大人っぽくて、綺麗だよ」
同じことをさっきも言った気がしたが、万愚節は白い歯を見せてニッと笑った。
「うん、じゃあ行こう!」
顔を赤めた彼女は駆け出し、先に改札を抜けて振り返る。早歩きで後を追いかけると、ICが上手く反応しなかったのかオレは思いっきりフラップドアに押し返された。
万愚節がなんとも言えない表情でこちらを見ている。
小っ恥ずかしさからか、心臓がドクンドクンと小さく脈打つのがわかる。
この先が心配になるくらい恥ずかしいミスをしている。
恋愛感情じゃないと思っていたのに、予想よりもデートっぽくて見誤った。
QandAってない方が読者的には良かったりするのかな。(*修正して全て消すことにしました)
次話はどうしようかな。明日暇だし、連日公開できるかもしれないです。
あと、ブックマークお願いしやす。
なんども言いますよ。
ヽ(*´∀`)お願いしゃす!
*推敲しました。6月15日




