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アルフレッド無双

「負けた……だと⁉」


 バーゼナンデ帝国の王、ハインリヒは敗戦の報告を聞き信じられないという表情を浮かべながら思わず玉座から立ち上がる。


「はい、わが軍の死傷者は約七万六千人、バーゼナンデ重装聖騎士団は壊滅、魔導士も二十人中十七人が死亡いたしました……」


 腹心であるアイゼンベルグから聞かされたその敗戦内容はハインリヒの想像を絶するほどひどいもので


今立ち上がったばかりの王は急に力が抜けへたり込むように床に腰を下ろした。


「な、何だ、それは……全滅に近い状態ではないか……何がどうなったらそんなことになるのだ?」


「はい、帰還した兵から聞いた話ですが、実は……」


 アイゼンベルグは事の経緯を説明する、謎の少年が魔法を無効化したった一人で重装聖騎士達を壊滅させたと。


「そんな馬鹿な……私は悪い夢でも見ているのか?」


茫然自失といった感じで絶句するハインリヒ、だがそんな傷心の王に追い打ちをかけるかのように話をつづけた。


「信じられないでしょうが事実なのです、そして先程リストランテ共和国から書状が届いたのですが……」


 アイゼンベルグの話し方と態度からその書状の内容が良くないモノだとわかる。


「何だ、リストランテは何を言ってきたのだ?」


「それはこの書状をご覧ください」


 アイゼンベルグに手渡された書状を見てワナワナと震えだすハインリヒ


そして手に持っていたその書状をクシャクシャに丸め乱暴に床にたたきつけた。その書状の内容は


〈今回の戦いでわかるように貴国では我がリストランテ共和国には勝てないと理解したと思われます


したがって速やかに武装を解除すると共に非道な魔道実験を直ちに中止し我が国の傘下に入ることを願います、どうかご賢明な判断を。


リストランテ王国国王 フリードリヒ・ヴァン・リストランテ三世〉


この内容は事実上の無条件降伏の勧告であり自国よりはるかに小規模なリストランテの前に膝を屈しろと言ってきたのである。


それは超大国の王であるハインリヒにとっては屈辱以外の何物でもなかった。


「おのれ、おのれリストランテごとき弱小国が調子に乗りおって、目にもの見せてくれるわ‼」


 怒りで震える主に対しアイゼンベルグは諭すように語りかけた。


「しかし陛下、先の戦いでわが軍は壊滅的なダメージを受けました


残存兵力は兵士五万人、高レベルの魔導士は十人しかおりませぬ


聖騎士団もいない今、とても勝てるとは思えません、お怒りはごもっともですがどうかご再考のほどを」


 アイゼンベルグに言われるまでもなく自国の現状は理解できているのだが感情を抑えきれないハインリヒは怒りに満ちた目で睨みつける。


「許せるか‼余に、この余に向かって傘下に入れと言ってきたのだぞ⁉絶対に許せん‼」


「しかし陛下、現実問題として我が国の主戦力が壊滅した今、どうやっても勝てるとは思えません、どうか……」


 必死で頭を下げる家臣を前にして顔を真っ赤にしながらも考えこむハインリヒ


そして独り言のようにボソリと口を開いた。


「戦力がないのであればあるところに出してもらえばよいではないか」


「は?それはどういった……」


 主が何を言っているのか理解できないアイゼンベルグは思わず王の顔を見る。


「わからぬか?ゲルゼドに協力を仰ぐのだ、リストランテの目的は超破壊魔法の開発を止めさせる事


ならば近いうちにゲルゼド王国にも戦いを仕掛けるだろう


ならば我らにとってリストランテは共通の敵という事になる


向こうの戦力とこちらの残存兵力を合わせれば前回の1・5倍から2倍近くになろう」


 アイゼンベルグは驚きを隠せなかった、何せ長年ライバルとして世界の覇権を争ってきたゲルゼド王国と軍事同盟を結ぼうというのだ。


「敵の敵は味方……というわけですか、わかりました早速ゲルゼド王国に使者を出します」


 早急に同盟の為の使者を送り長年のライバルであるゲルゼド王国との軍事同盟を申しこむハインリヒ


ゲルゼド側も【リプーメルの戦い】の事は聞いていた為


世界のパワーバランスが崩れることを恐れたゲルゼド王国の思惑とも一致し、思いの外すんなりと同盟に応じる。


こうして世界の二大超大国、バーゼナンデ帝国とゲルゼド王国が手を組みリストランテに挑むこととなったのである。


 

こうしてバーゼナンデ帝国とゲルゼア王国による連合軍はリストランテ軍、というよりアルフレッド一人と相対することとなった。


総兵力約十五万人、高位魔道士三十人というかつて類を見ないほどの大軍勢が


たった一人の少年に牙を剥くという歪な戦闘が行われようとしていた。


かつてこれほどまでに〈大人気ない〉という言葉を体現する戦いは過去にも例を見ないであろう


それほどまでにバーゼナンデ、ゲルゼアの両国には負けられないという思いが強かったのである。


 再び戦場となったリブーメル平野はものすごい数の兵で埋め尽くされ開戦の時を今か今かと待っていた。


そんな中でついに戦いの火蓋が切って落とされる。


戦いの開始は前回の戦いと同じようにアルフレッドが単身で敵軍に向かうことから始まる


しかし前回と違うのはアルフレッドが最初から全力で走ってきているという点であった。


 だが前回散々痛い目にあったバーゼナンデ軍に油断はない


最初から全力で立ち向かったのだが、結果は同じであった。


三十人もの魔道士から放たれる凄まじい魔法をものともせず前進を続けるアルフレッド


ゲルゼア軍の誇る【猛虎騎兵団】もアルフレッドの前に足止めすることすら叶わず簡単に蹴散らされた。


まるで無人の野を駆け抜けるように敵軍の中を切り裂いていくアルフレッド。


そして戦いは終わった。またもやリストランテ軍の、いやアルフレッドの圧勝


ここにバーゼナンデ帝国とゲルゼア王国による二強体制は終わりを告げたのである。


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