子供が嫌い
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何の悪気もなく人を傷付けたら、それは無邪気と言うのでしょうか?
それがまかり通るのが、『子供』という存在だと思います。
子供という生き物が嫌いである。無邪気でありながら、邪気を含んだ物言いが嫌い。楽しさ故に、悪気なく人を傷付ける様が嫌い。いざという時は子供である事を利用して、周りを味方に付けるのが嫌い。だから本当に大嫌い。
列車の中で、子供の泣き声が聞こえてきた。満席の中で『座りたい』と駄々を捏ねている。それを一瞥した彼女は、黙って席を立ってその場を去る。後ろから親御の声が聞こえるのもそのままに、私達は車両を変えた。
何となく、彼女の精神状態の限界を感じ、次の駅で降りる事を提案した。彼女は逆らわなかった。ただ黙って了承し、近くの純喫茶に足を踏み入れた。
「……私、子供嫌いなんだよね。なんで皆、好きなんだろう。無邪気なところ?」
注文を終えた彼女は疲れた精神を癒す様に、黙って頭を抱えた。見るからに疲れ果てたその様は、身内外が見ても少し心配になる。
「まぁ、多くの人はそう言うだろうね。邪気がないところって」
「無邪気も邪気も一緒だよ……。人の視点によって、容易く移ろう。
例えば子供がよくやる遊び。昆虫捕まえて、暴れるのを、もがくのを見て楽しむ遊び。あれは人間から見たら無邪気さの塊でしょう。
でも昆虫の視点から見たら? 無邪気な分質が悪い。何の悪気もなく傷付ける、邪気と言わずして何と言うの?
私はそれを『子供だから』と言って笑って許されるのが気に入らない。何でもかんでも『子供だから』と許してしまえるのが気に入らない。
じゃあお前達は『子供だから』という理由で人を殺しても許されるの? 私はそうは思わないね」
完全に参ってしまった彼女は、届けられたアイスコーヒーに口を付けた。子供が決して好きにならないような、真っ黒で苦い飲み物。
「はぁ……この論理、通じない奴多いんだよね……。そうして被害にあって、目の当たりにして気が付くんだ。彼奴らのあくどさに」
昔の、子供向け映画を見て思ったんですよ。
その子は凄い無邪気に、いいえ、無邪気だからこそ、容赦なく相手を傷付ける物言いをしたんです。
場合によっては『煽り』と定義してもおかしくありませんでした。
そしてコメント欄。
『もっと優しい言葉を掛けているのかと思った』
『この子が怖い』
無邪気と邪気は、視点変えれば容易く移ろうと思ったんです。
人々の思い込みによって、また違った事実を見せつけられるとも。
子供ってそういうところ、あるじゃないですか。
『なんで大人なのに、恋人いないの?』
『具合悪くないのに、病院いるの?』
とかって、深く考えて話してないと思うんですよ。
ただ疑問に思ったから、そう話しているだけ。
そう見ればある意味無邪気なのかも知れません。
でも、例え無邪気だとしても、それで傷付いた時点で、邪気は発生してると思うんです。
だから私は子供が好きではないんです。
何も考えずに、何の悪意もなく、人を傷つけてしまえるから。
そしてそれを『子供だから』と許されてしまうから。
あれほど怖い生き物はないんですよ。