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豊穣の女神


「お前たち、よくやっただら〜!」


『にゃにゃーん』



野営地にプラチナの声が響き、彼女が使役するゴーレムにゃんたちの歓声にも似た鳴き声が轟いていた。


ゴレームにゃんたちは互いを讃えあうようにくっつきあっている。



「プラチナ、みんなもありがとう! しかし、やっぱりゴーレムにゃんたちはすごいな」


「はい、スザクさんが欲した農地スペースをものの1時間足らずで開墾しちゃうんですから、本当にすごいですっ」



俺はシンシアさんとあらためて開墾された土地を眺める。


プラチナの野営地には、縦長の畑がきっちり十列できあがっていた。


ここに今から、シンシアさんの固有スキル『作物豊かにみのれ〜♪』を使って野菜や穀物が育つ状況を作り出す。


この世界にある野菜、穀物類であれば、何もない状態からでもみのらせることができるというのだから驚きだ。



「じゃあシンシアさん、お願い出来る?」


「もちろんです、任せてください」



シンシアさんの手に造形の凝ったジョウロが現れていた。


彼女はさっそく畑の前に移動する。


……自然に干渉する女神の力だ。

力を行使する過程は、きっと厳かなものに違いない。


俺は息を呑んで見守る。



「えーとスザクさんのオーダーの一つはかぼちゃでしたね。じゃあまずは、かぼちゃからいきます。かぼちゃ、かぼちゃ……むむむむむっ」



ジョウロを胸の前に掲げ、シンシアさんが祈るように目をつぶって唸り出す。


そして畑に向かってジョウロの先端を向けて、



「かぼちゃよかぼちゃ、豊かにみのれ〜♪」



「……」



訂正しよう。

厳かさなんて一ミリもない、めちゃくちゃ緩いものだった。

満面の笑顔の彼女はとても楽しそうだ。


ただ、ジョウロから流れ出るのは、なんとも奇想天外な虹色の水で特別な能力を使っているのは理解できた。



「次はトマトですね。トマトよトマト、豊かにみのれ〜♪」



シンシアさんが一列目の畑に満遍なく水をやった後、二列目の畑に取り掛かる。

ジョウロは水を補充する必要がないようで次々に虹色の水が溢れ出ていた。



「水やり終わりました〜!」



やがて、シンシアさんが全ての畑に水をやり終える。


そのタイミングでゴーレムニャンたちをねぎらっていたプラチナが戻ってくる。



「例の水やり終わっただらね。ふぅん、そのせいかわからないだらけど、心なしか畑が輝いて見えるだらよ!」


「俺もそんな気がするな。シンシアさん、このあとはいったん何もせずに置いておけばいいんだっけ?」


「はい、特に水やりなどはしなくて大丈夫です。わたしの裸感ですけど、この森は日常的に食物連鎖が繰り返されてることもあって、たくさんの命を吸った土は栄養豊富な気がしています。なのでそうですね……とりあえず、明日の朝まで待ってみてもらっていいですか?」


「え、もしかして、明日にはもう芽が出てるってこと?」


「うふふ。スザクさん、それは明日になってのお楽しみです♪」



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