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ゴーレムにゃん


「ついただら〜!」


プラチナがロッドを突きあげて振り返る。


彼女が持つスキル『隠密』はとても便利だった。


勇者パーティーの白魔道士“アイナ"がよくメンバーに付与していたスキルで、一定時間内であれば外敵から姿をくらませることができるのでとても重宝していた。


おかげで野営地から三十分以上は歩いたと思うが、魔物に襲撃されることもなく、無事に目的地までたどり着けていた。



「ここがプラチナちゃんの野営地ですか? すごく広いです〜! スザクさん、向こうと比べて五倍くらいあるんじゃないでしょうか!?」


「シンシアさんの言う通りすごく広い……。それにあの建物……プラチナ、あれがお前の家か?」


「そうだら。な? お前たちが住んでる小屋より立派だら?」



立派も何も、外観の質は一目瞭然だった。


サイズは一人用のためか納屋くらいの大きさだが、文明的な木造の家が一軒建っていた。

しかも意外とセンスがいい。



「ふっふっふっ、あの家を一回壊して新しいのを建てなおすだらよ」


「プラチナちゃん、本当に壊しちゃうんですか?」


「女神の人、何も問題ないだらよ。ていうわけでみんな、お願いだらーっ!」


プラチナがロッドを振りかざして地に向ける。

先端の青い宝石が燦々と輝き、地面から一斎に例の謎生物がにょきにょきと生えるように湧き出てきた。


黒猫のような見た目の二足歩行生物。

彼らの目は丸みを帯びた黄色で、その口は糸で縫いつけたようなあとがある。


プラチナの周りを黒く染めた彼らは、主人の指示を待っているようで彼女の方を見ていた。



「うわぁ、こんなにたくさん……。プラチナちゃん、その子たちは?」


「ウチの使役ゴーレム、その名も『ゴーレムにゃん』だらよ! この子らを使って家を建てかえてもらうだら」


「え、ゴーレムってそんなことまでできるのか? 俺の仲間にもゴーレムを使役できるやつはいたけど、そこまで高等なことはできなかったんだが……」



ゴーレムができるのは、せいぜい荷物運びなどの簡単な作業くらいのものだ。

家を建てるゴーレムなんて聞いたことがない。



「ウチのゴーレムにゃんたちをそんじょそこらのゴーレムと一緒にされちゃ困るだらよ〜。普通のゴーレムとは経験が違うだら」



チッチッチッと言いながら、なめてもらっちゃ困るとばかりにプラチナは指を振る。



「経験って……どういう意味だよ?」


「ウチの村では、独り立ちするための資金集めも修行の一環なんだらけど、ウチは隣村までいって大工の仕事も手伝ってただらよ。おかげで、この子たちは家を建てることができるだら」


「マジで言ってるのか……」



実際、目の前に家があるわけだからマジなんだろうけど。

確かゴーレムの能力って、術者の魔力の質に由来するんじゃなかったっけ?


ゴーレムは術者の魔力を練り込んで作られた存在なのもあり、その性能は大きく術者の魔力に依存すると聞いたことがあった。


じゃあプラチナのやつ、なかなかに上質な魔力を有してるってことか。

少なくとも、勇者パーティーにいた魔術師二名よりもポテンシャルは高い気がする。


黒魔術を代々受け継いできた血統という話だったし、十分考えられる話ではあった。


世界って広いんだな……。



「よし、それじゃあ始めるだら。みんな、作っておいてもらって悪いだらけど、あの家を壊して三人が何不自由なく過ごせる家を造ってほしいだら!」


『にゃい〜!』



ゴーレムにゃんたちが主人の指示を受け、愛らしい声で鳴いていた。


そして、世にも珍しいゴーレムによる建築工事が始まるのだった。



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