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お引っ越し


「はぁ? この野営地を捨てろ?」


「プラチナちゃん、本気で言ってるんですか?」


「もちろん本気だら! ウチが冗談でこんなこというと思うんだら?」



プラチナの活躍によってシャドウ・ウルフの群れを倒した後。


彼女にまさかの提案をされ、俺とシンシアさんは驚いていた。



「急にそんなこと言われてもな。プラチナ、どういう理由があって捨てろだなんて言うんだよ?」


「ふふん、わからないんだら?」


ちんちくりんは不敵に微笑み、いっちょまえのレディーのように銀色の三つ編みをかきあげる。


「この拓けた場所は罪人置き場だらよ? つまり遅かれ早かれ、またここに罪人が運ばれてくるだら。その時に国の兵士に見つかったらどうなるかーー」



……なるほど。


一度迷い混んだら帰ることが叶わない絶望の森。

そこに送られる、イコール死刑のようなものだ。


なのに向こうさんが次ここに来た際、死んでいるはずの罪人が生きていたらどうだろう?


近々死ぬ前提で罪人をこの森に送るわけだから、

生きているとなれば面倒なことになる可能性は高い。



「……急場でとりあえずここに寝床を作ったけど、確かにプラチナの言う通りだな。ここで生活し続けるのは危険な気がする。プラチナ、お前って意外と考えてるんだな」


「なーははははは! そうだらそうだら? もっと褒めるといいだら♪」


白いマントを翻してみせる銀髪娘をよそに、シンシアさんが物憂げに言う。


「じゃあ、お引っ越しってことですか? あの寝床小屋、スザクさんとせっかく作ったのに……」


「女神の人、あんな粗末な小屋に未練を抱かなくていいだら。ウチがもっと快適な住環境を提供してやるだらよっ」


「え、本当かプラチナ!?」


「ちょ、そんな前のめりになるなだら……近いだらよ。い、一応、お前たちはもうウチの仲間だら……。だったら、仲間に自分が住んでる家を提供するのは当然なのだら」



快適な住環境。


家。


あの小屋程度のものに住んでいたなら、こんな単語は出ないはずだった。



「へえ、どんなところに住んでるのか楽しみだな。でも俺たち二人が行って定員オーバーになったりしないのか?」


「うーん……いま住んでる家は、あくまで自分用で用意したものだから入りきらないだらね」


「じゃあ、わたしたちがお邪魔しちゃうと迷惑ですよね……」


「ぜんぜん問題ないだらよ。狭いなら建て直せばいいだけなんだら!」



俺とシンシアさんは驚いて顔を見合わせる。



「建て直すって、そんなことできるのか……?」



プラチナが目を伏せ、自慢げに指を鳴らしていた。


同時に、黒い猫のような二足歩行生物がプラチナの足元に数体現れる。


俺たちから肉を奪う際に活躍した生き物だ。



「ふっふっふ……ウチを誰だと思ってるだら? 黒魔術を使えば、家を建て直すことなんて造作もないだらよ」



プラチナの言葉を信じていいかはわからなかったが、俺は自ずと期待してしまっていた。



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