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四葉むここの無辜書房  作者: 四葉むここ
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無辜書房ができるまで

四葉むここは悩んでいた。

仮想県立二次元高等学校へ入学してしばらく。人間関係もまあまあ順調、お勉強はともかく、住み家もご飯も手に入っちゃってラッキー! と思いあがっていたが、ここで新たな問題にぶち当たってしまったのだ。膨大な蔵書のことである。


(ねぐら)としている屋上の小屋は、六畳間が一つの簡素な造りになっている。南向きの小窓が一つと、文机と、押し入れがあるだけだ。正直そこまで多くの時間を過ごすわけでもないし、せいぜい雨風がしのげれば良いと思っていた。しかしながら、それすらも不可能になりそうなほどに、蔵書が膨れ上がってしまったのだ。


一歩小屋に足を踏み入れれば、そこはもう魔窟である。床を埋め尽くすように本が平積みされていて、その高さは自分の腰ほどまであろうか。本によりけり厚さがまちまちなので何とも言えないが、だいたい70冊ほどが積みあがった山が、部屋中に所狭しと密集しているのである。当然綺麗に積まれている訳では無く、隣の山に寄りかかっている不安定な部分もあれば、いっそ開き直ってピラミッドのようになっている部分もある。文机と寝床に転用された押し入れの周囲以外は、もう本しか見えない。


ここまでのゴミ屋敷ならぬ活字屋敷になった所で、四葉むここの読書習慣が変化するわけが無かった。授業で昼間眠っている分だけ、夜は活動できる。なので夜通し読む。だいたい1000、多い時には2000ページ近くを一晩で読む。すると一日に多くて10冊が読み終わる計算になる。毎日買っても買っても間に合わない。既に読んだことのある本は余計に読むのが早いから、読書時間の足しにもならない、そういう寸法なのである。


しかし。本は流石に居住空間を圧迫するようになった。文机の上にも本の山は侵略し始めた。押し入れにも本が侵入して来て、眠る時は自分の身体の上に本を置かなければいけなくなった。流石にすっきり片付ければデッドスペースを殺して幾分か余裕が出来るかと思って、大掃除をしてみたけれど、全く状況は改善できなかった。


四葉むここは考えた。流石に本のせいで生活できなくなるのは御免である。どうすればこの膨大な蔵書を無駄にすることなく、有効に活用できるだろうか。ふと大掃除で整理した蔵書を思い出すと、やたらめったら重複タイトルが多かったことに気が付いた。これは一種の癖である。店頭に好きな作家の本が並んでいると、独占欲が働いてつい買ってしまうのである。他人に渡したくないのだ。


ぶんぶんと首を左右に振った。そろそろ書物を解放すべきだ。少なくとも、重複している本くらいは、他人にその良さを伝えるために使うべきだろう。四葉むここは決心した。


「そうだ、ワンマン古本市開こ…」


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