表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ネアンデルタール人と熱燗

作者: 橋本洋一

だからこそ、人は酔うのだ

 くるりくるりと円運動するドラム缶式洗濯機のように、世の中全体に蔓延る不正や汚職を綺麗に掃除できたらどれだけ幸せなんだろうか。取り出した衣類が真っ白に輝く喜びを感じない人間は居ないだろう。等しくそれはテトリスの長い棒で積み重なった列を消去する快感と似ている。だからこそ人々はオセロで角を取りたがるのだ。


 哲学というか戯言めいたこと考えつつ、私は一人ぽつんと誰も居ない道路に布団を敷いて眠りたい欲求に駆られていた。要はお腹いっぱいに警察署で出されたカツ丼を食べたいのだ。もちろん料金は支払う。そうでないと警察の面子というものが保てないのだ。


 同輩の一人が私に囁く。聖書の薄い紙で指を切ればいいのに。私はこう返す。常に運転手はわき見をしていると。


 くだらない妄想だった。意味もなく意義も無く、道理もなく道義もなく、理由もなく理屈もなく、それでいてロマンがなかった。太古におけるイニシエーションが激痛を伴うものであるかのように。


 だからこそ一人きりでラーメンを食うのだ。スープを飲み、麺を啜って、具を食べる。この順序は必ず守らなければいけない。靴紐を結ぶとき、左足から結ぶように。確かに言えることは束縛された法則というものがあることだ。ピタゴラスの定理によって、ピタゴラス自身が死に追いやられたことと一緒である。


 何故、自らの契約によって、人は首を絞められるのだろうか? 払うべきものがないから? それとも差し出すものがないから? 息子を差し出すのであれば、親は生きる価値など無い。


 分からない。分からない分からない。分からない分からない分からない。


 ガラの悪い女性と食事しなければいけないのだ。俗に言う人付き合いというものだった。最近のファッションなんてどうでもいい。ジャラジャラつけたアクセサリーなんてくだらない。おくびに出さずに軽蔑するのだけれど、それを知らない馬鹿はお世辞に喜ぶのだ。


 そういえばと思い出す。こっちの水が甘いのならば、どうしてこちらに来ないんだろう?不思議でしょうがなかった。おそらく心の傷は身体の傷よりも治りが遅いのが原因なんだろう。裏切られた痛みや邪悪なものに触れたときの痛みほど、労働で忘れるしかない。だからいつまでも人は働くのだ。これはカインが追放された以来、変わらぬ真理なのかもしれない。だからこそ、考えることをやめた人間には栄誉がなく、無感情に生きるものはどうしようもなく堕落しているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] むむむ……! こちらも怪文書で感想を書き込んでみたくなったけれど自重。 まとまりのあるんだか無いんだかよく分からない酔っ払いの愚痴をちょうど千文字に要約した印象。
2019/12/16 05:33 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ