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Ⅸ………“ちっぽけヒーロー”②
文化祭まであと二週間となった。
絵は完成し阿立先生に昨日提出した。
その事を今朝、ナツに伝えると、挑戦的な笑みを浮かべた。
「へぇ。私とショウタ、どっちが勝つのやら………そうそう、私の方はもうハガキ化まで終わってるから、教室ついたら優子に見せてもらいなよ。見本持ってるはずだからさ」
流石、仕事が早い。中学の美術部でもナツの描くスピードとクオリティには定評があった。
優子、とはナツと同じ漫研の一人で僕と同じクラスだ。僕は彼女の名字をとって「松本さん」と呼んでいる。
「題材は何にしたの?」
「秘・密。見てからのお楽しみというやつさ」
僕も知っているお話だろうか。やはり売るためにはそれなりの知名度が必要だ。──と思っていたのだけど。
僕の予想は大きく裏切られることとなった。