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サンセットオレンジ  作者: ななる
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L………白色お化けの罠(文化祭・一日目)


 塩ラーメンを完食したあと、柏木さんと共に学校内を回った。1-1教室でやってた射的大会に参加したり、真由先輩と一緒に行った1-5での段ボールで作られた迫力それなりのジェットコースターに乗ったり、将棋部と茶道部がなぜか共同でやっていた変装大会を見に行ったりと大満喫。

 変装大会を見てる途中、柏木さんが何か思い出したのか突然ハッと声をあげ、僕の手を引いて進み出した。

「ちょっと柏木さん!?」

 柏木さんといるとよくあることだけど、いまだに慣れることはない。今度は一体どこへ行くのだろう。

 ついたのは2-1の教室。柏木さんやナツのクラスだ。

「あ、柏木さん。それと、三坂くんだっけ。どうしたの?」

 受付をしてる隣のクラスの女の子が声をかけてきた。名前は、たしか桃山さん。桃山さんは黒いとんがり帽子とマントをまとい、魔女の格好をしている。

 柏木さんは僕を指さしながら言う。

「客を連れてきた」

 桃山さんは僕と柏木さんを交互にしげしげと見ると、ははーんと何か閃いたようで、僕に向かって小声で「柏木さんを捕まえるなんて、やるね」なんて言う。捕まった、というより連れてこられたのは僕の方なんだけどな。

 桃山さんは今度は教室の方に向かって「二名様ごあんなーい!」と叫ぶと、「さ、どうぞ入って」と僕らを入り口へ案内した。ラーメン屋みたいなノリだったけど、たしかここはお化け屋敷だったはず。

 柏木さんに手を引かれながら中に入っていくと、そこはやっぱりお化け屋敷。生徒たちが扮した様々なお化けたちが脅かしてくるのだが、顔見知りが多いせいかあまり怖くない。柏木さんはそもそも中の構造を知っているのだろう、怖気ることなくずんずんと進んでゆく。

 不意に柏木さんが立ち止まった。目の前には『ここで拍手』と書いた紙が貼ってある。

「さ、翔太郎」

 柏木さんが僕の方を向いて、目を輝かせている。拍手しろ、ということだろうか。

 よくわからないけれど、試しに手をたたいてみた。すると気のせいだろうか、どこかでカチッと音がした気がした。けれどそれ以外何も起こらない。

「柏木さん、これで一体...…ひゃっ」

 突然、首元にひんやりとしたものがぺたりとくっついた。匂いからしてなんとなく、こんにゃく?

 柏木さんはふふふと笑って説明しだす。

「この仕組み私が考えた。どう、驚いた?」

 ひゃっと少し情けない声が出たところで察して欲しい。

「……えい」

 いまだに水滴を垂らしながらぶら下がっているこんにゃくを柏木さんの頬に押し付けた。

「きゃっ」

 柏木さんは驚いた様子で僕のことを目を丸くして見る。

「これでおあいこだね」

 ニヤッと笑ってそう言うと、柏木さんもフフフと笑いだした。二人で笑っていると、遠くの方から桃山さんの声が。

「ちょっとー、お二人さん。イチャイチャするのはいいけど、そろそろ出てくれないと次のお客さんもいるんだからね」

 い、イチャイチャじゃない。

 柏木さんは再び僕の手を取ると、出口の方へ進みだした。

 外に出ると中が薄暗かった分、とても日の光が眩しく見えた。

入り口の方を見ると六人くらいが受け付け係の桃山さんの前で並んでいた。少し気まずいのでさっさと行くこととしよう。

 時刻は午後三時ちょっと前。

 そろそろ玲志が言っていた吹奏楽部のコンサートが始まる時間だ。

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