成仏
「Angel Beats!」のネタバレがある可能性があります。
心に届く物語
この物語は、フィクションであり、実在する人物・団体とは関係ありません。
----- 第七話 「成仏」 -----
アニメを作らないかとプロデューサーに
さんざん説得、泣き落としにあい
オリジナルアニメを作る事になった。
テーマは、
プロデューサーからいつものように泣かせる
感動する話を作ってという依頼だった。
アイデア枯渇におちいっていた俺は、
なぜかさらに自分に制約をかける事に
挑戦したいと思っていた。
批判的な意見として、
誰かの死によって読み手を泣かせるという手法を
使っていると。
俺は、この批判に対して、
誰かの死によって読み手を泣かせるという手法を
使わない事にした。
そこから導き出された新作の舞台は、
死後の世界という事になった。
死後の世界に行って、仲間達とのやりとりで、
前向きに生きる事を選び成仏していく話だ。
俺は、アニメ脚本家として
テレビでインタビューを受ける事になった。
カメラの前では緊張して顔がひきつり、
身体もガクガクとしていた。
アニメを作る事になった経緯や
プロデューサーとのやりとり、
創作に対する熱意などをアピールした。
「誰かの人生に影響を与えられる作品にしたい」
「ただの娯楽作品ではなく、心に響く作品にしたい」
監督やプロデューサー達と
作品の世界観について会議を行った。
死後の世界という事は決まっていた。
魂には時間の概念が無いというのが一般的だが、
それだと、
原始人や江戸時代の人まで大量に登場してしまうので、
作劇上、現代の魂が大量に集まって
共同幻想が生み出す世界という事になった。
もう一つ監督からの提案で、
死後の世界に憧れる視聴者が出ないよう
細心の注意を払って、
自殺者はこの作品の世界には行けないという
設定となった。
なんと、
このアニメの音楽プロデュースや、作詞作曲もやりたいなら
やっても良いという事だったので、
この機会に長年の夢だった
音楽プロデュースもやらせてもらう事になった。
このアニメに出てくる子悪魔的な女の子は、
アニメ放映後に売れっ子のアニソンシンガーとなった。
レコーディング当時は、
プロデュースした女の子達にとって自分の作品の歌が
一番ヒットした歌になってしまう可能性を憂慮していたが、
杞憂に終わった。
長い間シナリオを書けずにいたが、
自分の好きなバトルをとっかかりに突破口が開け、
シナリオが書けるようになった。
ストーリーは、こうだ。
死後の世界で、神がいると仮定し、
神に逆らう事で死後の世界で
いつまでも暮らし続ける男女。
そこにイレギュラーな主人公が現れ魂を成仏させていく。
アニメ放送が始まった。
評判はあまり良くない。
俺が面白いと思っていたバトルはあまり受けていない。
ギャグの受けもイマイチだ。
作画の評価は、まあまあ良い。
制作会社も頑張ってくれている。
オープニング、エンディングの歌の評価はなかなか良い。
アニメの放映が進むにしたがって作品の評価は、別れていった。
作中の挿入歌を歌う重要人物のキャラが早い話数で
成仏する展開は、賛否両論を巻き起こした。
某無名掲示板で、1クール作品のアンチスレッドが歴代最速で
伸びるほどだった。
逆に、作詞作曲した歌の方は評価もよくCDもヒットした。
ギャグ回である野球回やテストの回のギャグは評判が良く
少し人気を持ち直した。
最終回をどうするか悩んでいた。
主人公が残ってこれから死後の世界にくる魂を成仏し続ける
というシナリオにしようかと監督に相談したところ反対されてしまった。
このアニメのコンセプトである、
「生きる事は素晴らしいんだと言い続ける」を見失う所だった。
結局、主人公は最後に間違ってしまうがヒロインに諭され
生きる事は素晴らしいんだって証明を促がされるシナリオとなった。
アニメの評価は、インターネット掲示板などでは、
良いという評価は少なく、悪評が多いように見受けられた。
しかし、アニメのブルーレイディスクやCDの売り上げは良く
一定のファンを得られたようだった。
麻榎は、自己犠牲もいとわない独善的なところがあります。
「(良い事だと思う事は)強行しても良い」みたいな感じです。
麻榎の独自の世界観では、いつまでも成仏できない魂は、
許せないものがあったのかもしれません。
作劇上、死後の魂がまともに会話していますが、
現実で考えると記憶装置もなく電子の雲の怨念が
ゾンビ状態でうごめいているだけです。
それでも自分の魂はほっといて他の魂の救済に向かう
覚悟を決めています。私はそんなの自己責任だから
成仏を勝手にしたらいいとは思うのですが。
あと当たり前の事ですが、死んだらこの作品は見れません。
この作品は、生きている人への成仏できるよう怨念に
ならないための人生賛歌です。
ちなみに、私は色々な理由からドナーカード登録してません。
Angel Beats!は好きですが。