本当の幸せ
「AIR」のネタバレがある可能性があります。
心に届く物語
この物語は、フィクションであり、実在する人物・団体とは関係ありません。
----- 第三話 「本当の幸せ」 -----
前作がヒットしたにもかかわらず、
久林は会社を辞めてしまった。
俺は空を眺めていた。
この空の下には、
願いをかなえたくて頑張っている人間が大勢いる。
叶えられなくて拡散した願いはどこへ行くのだろう。
大勢の願いが集まっていつまでも空に留まっているのだろうか。
久林が辞めた事もあって、
本当は俺が身を退いて別ブランドを立てるつもりだったが、
仕方なくそのまま現ブランドで
シナリオライターを続ける事になった。
シナリオライターには新たに、
発売されたシナリオに共感して入社してくれた小説家と
別ブランドから応援に呼ばれたシナリオライターなど
4人ほどで行う事になった。
今作のコンセプトは、また俺がやる事になった。
今作のコンセプトは、「本当の幸せ」だ。
心に届く物語を究極まで極めたいと思っている。
極端な話をすると、
仏教で言うところの悟りの領域まで
この物語を遊んだ人を高めたい。
シナリオライターで集まりどのようなストーリーにするかを
話し合った。
「仏教で言うところの悟りの領域まで
この物語を遊んだ人を高めたいんだけど、
どんなストーリーにしたら良いと思う?」
俺は、どのくらいのものを作りたいかをぶっちゃけた。
悟りまで行くのに簡単に数年でいっては、
説得力に欠けるから長くしてはどうだろうという事になり、
今年がちょうど西暦2000年という事もあり
1000年という時間を経て完成させられる物語に
しようという事になった。
それでもただの人間では説得力が足りないかもという事で
世界各地に存在する伝説の巨人を神に近い存在として取り入れては
どうだろうという事になったが、
これはキャラクターデザインを行うデザイナーから
絵になりにくいから嫌だと言われた。
それなら、空、空を飛ぶ翼の生えた人間で翼人はどうだろう。
キャラクターデザイナーに問い合わせて、
了承の返事をもらった。
翼人を神に近い存在として物語に取り入れる事になった。
また、人により幸せが違うという意見も
ゲームの仕様を利用していくつかの種類のエンドを
選べる事で納得してもらうという事になった。
シナリオの設定は、
プレイヤーに知らせる表向きの情報と
知らせず比喩表現にする裏の情報で設定した。
話し合った結果、
やはり全ての人を悟りの領域まで高めるのは
不可能だろうという事で、
そういう感覚を感じ取れる人だけが
感じ取れるような作りにしようという事になった。
The 1000th summer
1000年目の夏をイメージしたオープニングも作成した。
作詞は俺だ。
オープニングに入れない部分の歌詞には
この作品で不完全燃焼となった俺の皮肉がわずかに入ってしまった。
「本当の幸せ」をコンセプトにしたこの作品は発売された。
前作のヒットもあり、
最初からかなりの数が売れ大ヒットとなった。
感想は、
感動したという人や泣けたという人が多く、
俺が本当にやりたかった事まで受け取れた人は
わずかのようだった。
話し合って保険をかけ万人受けになるよう作った事は、
結果的にみて成功だったといえる。
まだ、俺には実力が足りていないという事か。
わかり辛いという意見も多かったが、
この作品は後にアニメ化され大ヒットとなった。
翼人は、星の記憶を引き継ぐものです。
過去に滅びた恐竜。
現在形で滅びた翼人。
未来で滅びるだろう人間。
星の記憶のバトンタッチの話です。
星の記憶を継ぐものは、森羅万象の知識を得る。
森羅万象の知識を得た上での死の覚悟は、
やりきった事の証明です。
また、星の記憶は全ての生物の記憶で
転生による記憶の共有といえます。