始まり
第1話 『始まり』
目が覚めた時、いつも見える暗闇の空は、真っ赤に染まっていた。
血の匂いが鼻に付く、さけび声が爆破音が耳を埋め尽くす。
周りを確認するため寝床を飛び出そうとすると、たちまち黒い物が空を覆い尽くす。
『やめなさい、じっとしてて』
姉は僕に被さりながらそう言うと、僕から見えない周りの景色じっと見ていた。
よくわからない状況の中、姉の目から水が流れ落ちるだけわかった。
『私が合図したら、森を抜けて、北の山まで飛びなさい』
『え?北の山って、すっごく遠いし、ママが一人で行っちゃダメって・・・・』
『大丈夫よ、ママがそうしてっ言ってたの、だからね、私が合図したらこの森を抜けて飛び立つのよ?そして決して振り向いてはダメよ?』
『お姉ちゃんは?行かないの?』
『お姉ちゃんもあとで行くわ、大丈夫よ、さぁもう行きなさい』
『やだ!お姉ちゃんと行く!一緒に来て『行きなさい!!!』
いつも優しいお姉ちゃんが、怒った。
『う、ううう、わがだよぉ、行くよすぐきでね、やぐぞくだよ』
『よしよしえらいわ、約束ね、大好きよ、大好き、愛してるわ、さぁ行きなさい』
僕は低く飛びたった。
森の木を交わすように低空飛行、これは友達と遊ぶ時に使うコースで誰が最初に抜けれるかを毎日のように競っていた。
『お姉ちゃん!見てた?今回最高記録じゃない!?』
思わず振り返る
(振り返ってはダメよ)
姉が言っていた言葉思い出し慌てて前を向く、
『ぼ、ぼくはみてないよ!!!』
・・・・・返事が聞こえない、寝床を飛び立つ時お姉ちゃんが飛び立つのが聞こえたから、後ろについてきているのかと思っていた。
『お、お姉ちゃん?』
すこし騒がしい森からは何も聞こえない
『お姉ちゃん振り向くよ、振り向いちゃうよ』
何も返ってこない
『見ちゃうもんねー』
バサッと振り向くとそこは静かで、星々の輝きと月の光が木々を照らし、幻想的な世界は広がっていなく、荒々しく燃え盛った炎が空を真っ赤に染め上げ、高く飛び立っていた仲間たちが次から次と落ちていく。
胸奥からドンッドンッと叩くような音が聞こえる。
『おねぇちゃん!!!!』
身体が勝手に森の方へ動き出そうしていた、その時
『まって!!!』
後方から大きな声聞こえふと我に帰る
振り返るとそこには、小さい方の人間と呼ばれる種族。
『まって、あなたは今そっちに行ってはいけない、北の山にドラゴンがいたわ、そちらに行きなさい・・・・』
北の山、姉が言っていた場所、自分はそこに行かなければならないことを思い出した、しかし・・・・
人間を無視して赤色の森に戻るいつも見ていた、みどり色はすべて真っ赤になっていた。
全速力で寝床に戻ると、そこには姉の姿が、綺麗な姉は自慢の姉だった。かっこよく気高く、そして何よりもあたたかく包み込んでくれる羽はとっても美しいかった。
しかし目の前にいる姉は、いや姉だったものの背中には羽はなくボロボロで今すぐ朽ち果てそうになっていた。
『おねぇちゃん!!』そう叫ぼうとした時背中に痛みを感じた
『はぁ、はぁ、はぁ間に合った、、、この子の兄弟かな、なんて残酷な・・・ゆるせ・・・かせて、この子は届けるよ』
先ほど聞いた人間の声が途切れに途切れに聞こえる。
そこから僕の記憶がなくなった。
続く