放課後の図書室で
西陽がさす。
君がそっと背表紙を撫でる。
大事そうに表紙に手を添える。
そっと触れ、ゆっくりとページを進める。
僕も、君に背中を艶やかになぞって欲しいし、肩にそっと触れて欲しいし、優しく髪を撫でて欲しい。
クソ、古書のくせに。
なんて思いながら、放課後の君をじっと見つめる。
君を美術館に売り飛ばしたくなる。
綺麗なんだ。
もっと世の中において、大切にされて欲しいんだ。
西陽がさす。
太陽が君を探すかのように、図書室に日がさし込む。
彼女は本棚のカゲに隠れている。
残念だったな。
今、この瞬間の君を知っているのは、僕だけだ。
君が僕の視線に気づいて、すこし微笑む。
どうやら西陽がさらに増したようだ。
眩しかった。