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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第8章 転生者編
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第77話 大海の暴食烏賊

・元日なので2話目も投稿します!

・去年は毎日投稿してましたが、今年はちょっと無理かもしれないです。





異空間内 横浜港


 濃霧は海上にも広がり、視界を妨げている。

 フェリーやクルーズ船が浮かぶ横浜港の海上では、巨大イカの姿をした大罪獣とトレンツが戦っていた。


「《アイスアロー》――――!!」

『キィィィィ――――――――――――――――!!!』



      ドドドドドドドド・・・・・・・・・・・!!



 白い冷気を纏った氷の矢が雨のように降り注ぐ。

 大罪獣の体は全身を覆う粘膜や、その柔軟さでトレンツの魔法を貫通させなかったが、その体表は次々に凍らされていく。

 ちなみに、トレンツが戦っている大罪獣のステータスは以下の通りである。



【名前】《大海の暴食烏賊(オーシャン・クラーケン)

【種族】大罪獣(Lv4)

【クラス】暴食

【属性】水

【魔力】1,769,000/1,769,000

【状態】空腹



 その姿は怪獣映画に登場するクラーケンそのものだった。

 全長は300mを優に越え、その長い触手は海水を操って纏い、より長く攻撃的になっている。

 触手の間に隠れた場所からは、グロテスクな口が獲物を欲しながら蠢いていた。


『キィィィィィ―――――――!』

「うおっ!触手ビームかよ!?」


 10本の触手の先端から千を越す青い光線が放たれ、港にあるあらゆる物を破壊していく。

 停泊していたフェリーもまっぷたつに切断された直後に爆発し、陸も海も炎に包まれていった。



       ドバ―――――――――ン!!



 そこに、海中から二つの影が飛び出してきた。

 ひとつは氷や水晶に似た鱗や角を持ったドラゴン、もうひとつは巨大な撞木鮫(ハンマーヘッド)だった。

 ドラゴンの方は手と羽が一体化した飛竜(ワイバーン)に近い姿をし、両足の爪で身動きしないハンマーヘッドを鷲掴みにして飛翔する。


「――――――アルバス!」

『トレンツ、一気に決めるぞ!』


 トレンツの呼びかけに、ドラゴンは視線を向けずに答える。


「喰らえ!《氷蛇縛縄(フリーズロック)》!!」


 宙を移動するトレンツの周囲に数十匹の氷の蛇が出現し、オーシャン・クラーケンの周りを旋回しながら縛ってゆき、全身を凍らせていく。

 だが、敵も一方的にやられる訳もなく、奇声に近い鳴き声を上げながら反撃に出る。


『キィィィィィィ!』

「ゲゲ!大増殖!?」


 海中から何本もの触手が飛び出し、トレンツやアルバスに襲いかかる。よく見ると、それらは海水でできていた。


「さらに竜巻になった!?どっかの滅亡シーンかよ!」


 触手らは海水を容赦なく巻き上げて竜巻を形成していく。その光景は地球滅亡シーンに出てくるそれに似ていた。


『キィィィィィィィ!!』


 オーシャン・クラーケン本体は全身の大半が凍り付いてほとんど動けなかったが、海水を自在に操作し、竜巻をトレンツ達に襲いかからせた。


『悪足掻きだな!』


 アルバスは軽やかに竜巻を避けていき、足で掴んでいたハンマーヘッド型の大罪獣を放してオーシャン・クラーケンへぶつけた。


『キィィィィィィィィィィ!!』

『ギャオッ!?』


 今まで気絶していたハンマーヘッドは衝撃に目を覚ます。


『決めるぞ!!』

「おう!」


 襲い掛かる竜巻を避けながらトレンツはアルバスと合流し、2対の大罪獣と対峙する。


「――――――全ての敵意と敵地、白き凍原の一部と化せ!《凍える白き大地の浸食(ホワイトイローション)》!!」

『《疾風寒波(ホワイトアウト)》!!』


 次の瞬間、大罪獣を中心とした半径500m圏内が真っ白に染まった。

 周囲の気温は一気に氷点下になり、トレンツとアルバス以外の全てが凍り付いた。



        ビシッ―――――――――!



 回転したまま凍結した竜巻に亀裂が走る。



        ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



 重量に耐えきれず、凍結した竜巻全てが砕けて崩壊した。


「スッゲェ~~~!」

『壮観だな。』


 その光景に2人は夢中になりながらも、すぐに視線を大罪獣へと向ける。

 2体の大罪獣は氷漬けにされ、完全に沈黙していた。


『後は“核”の破壊、いや、浄化だけだな?』

「頼んだぜ、アルバス!」


 トレンツがニッと笑みを浮かべながら言うと、アルバスは目を閉じながら詠唱を唱えていく。


『聖なる息吹、邪を焼く凍雨、煌めく竜鱗、契約の元、不浄を祓う銀光を我が契約者にーーーー』


 詠唱が進むにつれ、アルバスの周囲にダイヤモンドダストのような光の粒が生まれていき、それらは帯のような流れになってトレンツの両足、《氷鋼の靴》へ吸収されていく。

 トレンツの両足は優しい銀光を放ち、トレンツ自信にも力が沸き上がってきた。


「よし、決めるぜ!」


 足に魔力を集中させ、銀色の軌跡を描きながら宙を蹴っていく。


「《銀光流星蹴撃(ホーリーメテオストライク)!!》」

『・・・・ライ○ーキックの真似か?』


 そんなキックを大罪獣めがけて放ち、氷漬けになった2体を木っ端微塵に破壊した。







「ふう、とりあえずは生きてるみたいだな!」


 凍結してない場所にあるベンチに“核”にされた人達を寝かせ、脈拍や呼吸が正常なのを確認する。

 オーシャン・クラーケンだった女性(・・)と、ハンマーヘッド・・・《怒れる怒濤鮫(アングリー・ジョーンズ)》だった船舶員らしい青年は落ち着いた様子で寝息を立てていた。


『安全が確認されるまでは、ここに防御魔法をかけて護った方がいいな。まだ、敵はうようよしているからな・・・・。』

「だな!」


 2人が同じ方向に視線を向けると、そこには3体目の大罪獣が東に向かって前進していた。

 それは火山を背負ったような、血の代わりにマグマが流れているような印象のある大猪の姿をした大罪獣だった。


『あの方角は・・・』

「勇吾達のいる方角だ!!」

『どうする?』

「ここで倒すぜ!!」


 2人はその場に結界を張り、街へと向かう大罪獣を倒しに向かった。









「・・・フーン。彼、昔の()に似てるね?」


 カースは、興味深そうにトレンツの戦う様子を眺めていた。


「そろそろ、僕の出番かな♪」


 カースは本当に楽しそうに独り言を呟く。

 徐々に数を減らしていく《大罪獣》を見ながらも、カースは余裕の笑みを崩す事はなかった。





~~~~~~~


【名前】アルバス

【年齢】50

【種族】龍族(飛竜種)

【職業】冒険者

【クラス】聖竜

【属性】メイン:氷 サブ:光 風 水

【魔力】5,610,000/5,610,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 属性術(Lv3) 龍眼 人化 体術(Lv3) 神速 浄化

【加護・補正】契約した龍 物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv3) 氷属性無効化 光属性耐性(Lv4) 風属性耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv2) 龍神の加護 乱世の救済者







・アルバスはラテン語で「白い」と言う意味です。

・今年も本作品をよろしくお願いします。



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