第53話 ライの1日 Ⅱ
・久しぶりに深夜に投稿です!思ったより長い話になってきました。
~ライの1日 8:45~
お祭り騒ぎになった嫁姑を後にした俺は、高層ビルの屋上をスキップするように跳び越えていた。
あ、もちろん姿は見えないようにしてあるぜ!
「夏休みも始まってるとこも多い~賑やかだな~~~?」
地上を見下ろせば夏休みに入った子供達の姿が見える。
そういや、慎哉達も明後日から夏休みだったな。
んん!?何か草食系男子がチンピラに絡まれてるな?あれか、カツアゲだな?
「――――――おい!約束の金持ってきたんだろうな?」
「ハ、ハイ・・・・・・!」
うわあ、ベタすぎるカツアゲだな。
う~む、ここは天罰を下してやりたいが、神が直々に干渉するのはいろいろ制限があるんだよな~~~。
けど、捨てる神って言われるのも嫌だし~~~~、よし!適当に懲らしめるか!
この辺の神は生産系だし、ケンカになっても勝つ自信があるぜ!
「天罰!!」
「「ギャァァァァァァァァァァ!!」」
パチンと指を鳴らしてチンピラどもを電撃調理♪うん、ロ〇ット団みたいにうまく焼けたぜ!
サービスで警察にも通報しとくか!
「????????」
あ~~~、草食系男子は混乱してるな~~~。
ま、後は自分で何とかしろよな?がんばれニッポン男児!!
~ライの1日 10:00~
う~~~ん、暇だ!
社に着いたが俺以外の神共は全員留守だからスッゲェ暇だ!
バカ夫婦はスウィートホームに行ってるし、常立は滅多にいないし、大己貴命てか大国主は全国で忙しいから月に何度かしかいねえし、少彦名は急用が入って来週までいないから今週はずっとボッチだ。
「―――――ライ様、お茶が入りました。」
「お~~桜ちゃん!何時も気が利くね~~~~♪」
暇な俺の癒し、巫女の桜ちゃんがお茶を淹れてきてくれたぜ!
桜ちゃんは現役女子高生!今は夏休みだから、朝から社でお仕事中さ♪
「――――そんなに暇なんですか?」
「う~~ん、俺って本業はここの守護神なんだけど。護る神が全員居ないからスッゲェ暇なんだよ。まあ、俺自身も最近は家内安全とかの神もやってるから、俺まで留守にする訳にもいかないんだよな~~~。」
「最近は不況のせいで神頼みする方も多いですからね。」
「そうそう、ここって縁起の良すぎる大手の神が集まってるじゃん?ご利益も商売繁盛や開運、技術向上とか需要の多いものばっかだから、毎日参拝者が多いんだよな~~~。」
まあ、最近は健康や子宝とかエロ系のご利益の方があるんだけど言える訳ないしな?
アメ婆さんなんか、うちの神社のご利益受けまくって大家族になっちゃってるし!この前ステータス見たら、加護の数がとんでもなかった!宝くじ買ってたら大当たりするぜ、あれは!?一種のチートだ!
「あ~うまかった!そう言えば、桜ちゃんは進路とかもう考えてるわけ?」
「え・・・それは――――」
桜ちゃんは今年で17歳、つまり高校2年で来年は受験生だ。
けど、この様子だとまだ迷ってるな。
「俺らでよかったら何でも相談するぜ?なんなら、ここに道真とかも読んでご利益やってもいいし?」
「け、結構です!!それはあまりにフェアじゃないです!!」
「そっか?最近の子はチートとか好きだろ?」
「全部一括りにしないでください!!」
あ~怒らせちゃったかな?
まあ、神のご利益ばっかだと努力のし甲斐がないしな。とりあえずガンバレ女子高生巫女!!
~ライの1日 11:20~
今日はそこそこ参拝客が来てるな。
何か、ライバルが不合格になりますようにとか、ドロドロした願いをしていく子もいたけど無視だな。
お、今度は中高生の男どもか?
「おい、マジでやるのかよ?」
ん?
「平気だって!ここはカメラとか置いてねえから、見られない様にやればバレねえって!」
・・・・・・・・。
「ここって、結構貯まってんだぜ?たまに万札とかもあるしよう!」
「そうそう、俺らって不況でスッゲェ可愛そうなんだから、神様から御恵み貰ったってバチあたんねえって!」
「けどよう・・・・。」
あ~~~~~~~~。
こいつらアレだな。賽銭泥棒だな。
何が可愛そうだよ。お前らは親のスネ齧ってるだけだろ?そんなんで賽銭ドロが許されると思ってんのか?
あ~あ、桜ちゃんがいないのをいい事に賽銭箱いじり始めやがった!
よし、ちょっと脅かしてやるか!
ビリッ!!
「「うわっ!?」」
「どうした!?」
ヒヒヒ、ちょっと感電させてやったぜ!
俺は優しいから、このまま帰れば見逃してやるぜ!
「ビリッときた!静電気かよ!?」
「今は夏だぜ?コンセントでもあったんじゃねえのか?」
「ある分けねえだろ・・・・っと、お!5千円札あったぞ!!」
「まじか?他にはねえのか!?」
あ~~~、全然応えてねえな?
おい、そんなに強引にやったら壊れるだろ!
「お~~、札も結構入ってるぜ!!」
「見ろよ!2千円札も入ってたぜ?俺、実物見るの久しぶりだぜ!」
「見せろ見せろ!!」
「なあ、これ位にしようぜ?なんか、さっきから誰かに見られている気がすんだけど?」
お、意外と鋭い奴もいたか!
「見られてる分けねえだろ!おおかた、その辺の石像とかだろ?」
「そういや、なんか鳥の像とかあったな?何で鳥なんだ?」
あ、そいつは俺をモデルにした狛犬ならぬ狛鳥だぜ!
ここのシンボルみたいなもんだから、ちゃんと見とけよな!
「知るかよ?どうせ、焼き鳥の神様でもいたんだろ?」
「ハハハハハ!何だよそれ、マジウケル~~~~~!!」
「それはねえだろ?あれって、鶏じゃなくて鶴だろ?鶴なんか食えるのかよ?」
「じゃあ、鶴の恩返しの舞台とかじゃね?」
「ありえねえって、拾われた鶴の像とかの方がまだあるって!渋谷のハチ公みたいな?」
「じゃあ、トリ公だな!忠鳥トリ公!!」
「「「「ハハハハハハハハハ!!!」」」」
アウト―――――――!!!
てめえら、さっきから好き放題やりやがって!!俺は鶴じゃなくて雷鳥だ!!
ここの守護神、天神雷鳥大神だコラァ――――!!!
いい度胸だ!こうなったら俺流のO☆SHI☆O☆KIだ――――――――!!
「ん?誰か叫んだか?」
「何言ってんだ、みんなで爆笑しただろ?」
「それより、そろそろ行こうぜ!いい加減、誰かに見られちまうぜ!」
「だな、1円も落とすなよな!」
コソ泥共は金を集めて去ろうとする。
そうはいかねえよ!お前らにはこれから天罰が待ってるぜ!!
そんじゃスタート!!
『―――――――待て!』
「「「「「―――――――――!?」」」」」
神様モードで重いトーンでコソ泥共を止める。
そしてここで結界発動!!
「――――何だ!?」
「おい、ここ何所だ!?」
ゴロロロロロ――――――!!
雷鳴響く荒野ゾーンへようこそ!!
ここがお前らの処刑場だぜ!
さあ、神様の降臨だぜ!!
「な――――――!」
「か、怪獣~~~~~~~!!!」
「―――――――――――――!!」
「あああ~~~~~~~~!!!」
「カカカカカカカカカカ・・・・・・・・!?」
巨大な雷鳥の姿にコソ泥共は予想通りのリアクション!
さあ、たっぷり天罰を与えてやるぜ!!
~豆知識~
・国常立:日本の神様の中でも最古の神の1柱です。始原神や根源神とも呼ばれています。
・大己貴命とは、大国主の若い時の名前ですで農業・商業・医療にご利益のある神様です。
・少彦名:常世の神でもあり、他にも医薬や醸造、穀物の神様でもあります。
・猿田彦:道祖神とも同一視される、道の神であり交通安全の神です。太陽神とも言われてます。天狗のモデルとも言われ、鼻が長い姿の絵や像が多いです。
・天宇受売神:通称ウズメ、芸能の神様で結構エロイ神様で、神話の中でも露出が多い女神様です。日本最古の踊り子、巫女の神格化とも言われています。猿田彦の奥さんでもあり、一緒に祀られる事が多く、夫婦セットで結婚や安産の神様と扱われたりもしています。
・この話、今日中に完結するか分からなくなってきました。もしかしたら明日まで続くかもしれません。




