第3話 説明会2
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説明を勇吾が引き継いだところへ個室の扉を叩く音が響いた。
店員が中に入り、注文されたドリンクを配ると他に注文がないのを確認して出ていった。
勇吾は一口ほどコーラを飲むと、同じくコーラを飲んでいた慎哉に質問をした。
「信哉、一応聞くが、お前は今までに魔法や超能力といった類のトラブルに関わった事はあるか?」
それは2人にとって重要な問いかけだった。
2人の推測では、慎哉は間違いなく過去に「奴ら」と接触している。そしてその時に何らかの魔法を受け、人生を大きく狂わされるているはずなのである。
本来、龍族でも高位に位置する黒王はもちろんの事、勇吾もそれなりの実力者である。そして2人の扱う魔法もまた並大抵の者に破られるものではない。例え霊感の鋭い者でさえ容易に欺くことのできる魔法をあの時彼らは使っていたのである。まして、科学のみで発展してきたこの世界の一般人の少年に見破られることなどまずありえないのであるが例外はある。それは『縁』(または『因縁』)である。
2人が使った《ステルス》を含めた隠蔽魔法、記憶や感情に干渉する精神系魔法を破る場合、基本的には一定以上の魔法耐性を必要とする。魔法耐性の強弱を決めるのは3つの要素がある。
一つ目は魔力の保有量。これは単純に言えば魔力が強ければ強いほど魔法に対しても耐性が強くなると言う事である。
二つ目は遺伝的要素。親や祖父母、又は先祖が本物の魔女や霊媒師などであった場合、先天的に魔法などに対して個人差はあるものの耐性を持って生まれてくる場合が多い。
そして最後の三つ目が『縁』である。これは過去に魔法使いを含めた『力を持つ存在』に何らかの干渉を受けた場合、その存在の類に対して『縁』が生まれてしまい後天的に魔法耐性を持つと言う事である。ただし、これで生じる耐性の強さは受けた干渉の規模に比例して大きく変わる。(勇吾が慎哉の学校でやったような)軽い記憶操作・認識操作程度では精々勘が少し鋭くなるか暗示にかかりにくくなるだけだであり、《ステルス》を簡単に見破る程の耐性は決して生まれない。
勇吾の黒王の推測では、目の前にいる慎哉は過去に(人間かどうかは別として)『力ある存在』―――――それもかなりの力を持つ者によって干渉を受けているはずなのである。それも彼個人が巻き込まれる程度ではなく、おそらくは彼を中心に周囲にも(少なくとも家族を)巻き込むほどの干渉を受けてしまい、その結果、異世界からやってきた直後の彼らを認識できてしまったのである。
「どうなんだ?」
黒王も問いかける。
だが、慎哉の反応は「全然心当たりがない。」であった。
(少なくとも慎哉自身は覚えていないか自覚はない。だとすると、物心がつく以前・・・・もしかすると生まれて間もない時期に受けた可能性が高いな。)
慎哉自身に記憶操作された形跡がないことはあの時に確認済みである。
幾つかの推測を考えるが今は置いておくことにした。
「じゃあ、俺達についてから説明するぞ。」
勇吾は自分達について以下の事を説明した。
・勇吾と黒王は異世界からこの世界に来た。
・勇吾の故郷のある世界では異世界への移動手段が確立している。
・勇吾は「冒険者」であり、「冒険者」とはゲーム等にあるような依頼を受けて仕事をしたり、個人的にダンジョン、時には彼らの様に異世界へ行って探索や戦闘を行う者達である。
・勇吾達の世界の法律では『慎哉のような例外』を除いて、他の世界の人間に異世界の存在や情報を漏らす事を制限している。
・この世界へは「人探し」と「この世界の調査」でやってきた。(他にもあるが言ってない。)
・勇吾達は魔法が使え、彼らの使う魔法は正しい方法で修業すればこの世界の人間にも習得可能である。
以上の事をわかりやすいように比喩などを含めながら慎哉に話した。ただし、この世界に来た目的については全て話しているわけではない。それを話すには今はまだ早いと判断したのである。特に『奴ら』に関しては、今はできる限り避けたかったのである。
一方の慎哉の反応はと言うと。
(うおっしゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!キタ!キタ!これは間違いなくテンプレ的な展開になってきたぜ!!)
大興奮だった。
龍族。異世界。冒険者。魔法。この世界の常識では全部架空のものばかりで他の人が聞けば中二病などを疑うだろうが、目の前に生きた証拠がいるので一時的ではあるが常識が頭から吹っ飛んでいた。
(・・・・ああ、こいつの考えていること一発でわかるな。)
幼馴染に似たようなのがいる勇吾は、慎哉が何を考えているのか容易に想像できた。隣では黒王が笑みを浮かべ、アイスコーヒーを飲みながらこちらを見ている。この状況を楽しんでいるようだ。
「・・・・ハア。説明したが本来はこの世界の巻き込みたくはないが――――」
「よし、仲間になるぜ!!」
「最後まで聞け!!」
慎哉はこのまま仲間になって冒険者生活を勝手に予想していた。
「言っておくが、これはお前が思っているような楽しいことばかりじゃないんだぞ!」
「でもなるぜ!!」
「ハア・・・・・・・。」
これはもう駄目だなと諦め、勇吾は上着の内側に手を入れると一個の宝石のような物を取り出し、目の前のテーブルに置いた。
高い宝石のように加工され、乳白色に近い色をし、何から微かに光を漏らしているような石だった。
「・・・・何これ?」
「これはあくまで自衛の手段の一つとして渡すつもりだったんだがな。ともかく、その石を握って自分の中に吸収するようにイメージしろ。」
「え、こうか?」
言われた通りに差し出された石を手に取り、右手で握りながらイメージする。すると、一瞬手の中が熱くなるような感覚がし、次の瞬間には握った手の中から石の感触が消えていた。
手を放してみてみるとやはり石は消えていた。どうなっているのかと、勇吾と黒王のを交互に見る。
「お前にもわかるように言うと、その石は魔力の結晶のような物で中に魔法式が入っていて、手で握って吸収すると肉体と精神に魔法をインストールされる。携帯電話とかのアプリみたいなものと考えれくれればいい。」
「つまりこれで俺も魔法が使えるってことか?」
「そう言う事になるな。ただし、今お前が吸収したのは俺の世界ではメジャーな・・・・まあ、基本ソフトみたいなもので、魔法などを使う為の|土台作り(最適化)をしてくれるもので本格的に使えるようになるまでには半日ほど待たなきゃいけないけどな。」
「だが、今すぐに使える魔法もあるがな。」
黒王も会話に入ってきた。
空になったコップをテーブルに置くと人差し指を慎哉に向けながら話を続けた。
「自分のことをイメージしながら『ステータス』と念じてみろ。」
「こうか?(ステータス!)」
言われるままに念じてみる。
すると目の前が光ったかと思ったら視界にA4サイズの画面が現れ、中に自分に関する情報が記されていた。
【名前】北守 慎哉
【年齢】15 【種族】人間
【職業】中学生(3年) 【クラス】一般人
【属性】メイン:氷 サブ:水 風
【魔力】820/820
【状態】覚醒準備中
【能力】――
【加護・補正】魔法耐性(Lv3) 白狼の加護
【開示設定】ON
「おおお!!スゲエ、マジでステータスが出た!!」
RPGのような展開にさらにテンションを上げる慎哉。
「それがお前個人の情報だ。内容な言わなくても大体はわかるな?」
「ああ!あれ?この属性のメインとサブってのは?」
「メインは生まれた時から持つ先天的な属性、サブは修業次第で後天的に扱えるようになる属性を指している。ほとんどの場合、サブ属性はメイン属性と関係のある場合が多い。」
「状態の覚醒準備中ってのは?あと、開示設定ってのは?」
「言葉通りだ。覚醒準備中というのはインストールした魔法によってお前の中に眠っている能力が覚醒するための最適化が行われているという意味だ。開示設定は自分のステータスを他人に見られるかどうかを設定できる部分だ。あくまで個人情報だからな。」
「そりゃそうだ。」
納得しながら今度は【加護・補正】の方を見る。「魔法耐性(Lv3)」の意味はわかる。だが「白狼の加護」と言うのはわからない。
「加護に白狼の~ってあるんだけど?」
聞いてみると、答えたのは勇吾だった。
「白狼というのは神――――正確に言うととある神の二つ名だ。加護はほとんどの場合、名前じゃなく二つ名で表示される。お前自身がその神の名前を当てれば表示も変わる様になっている。たぶん、日本の神々の中の一人だろうがな。」
「へえ~~~~。」
「加護の内容を知りたいなら画面を指でタッチしてみろ。
言われた通りにしてみると詳細情報が表示された。
【白狼の加護】
・「白狼」を冠する神の加護。
・身体能力が通常より発達しやすくなる。
・寒さに対する耐性がプラス補正される。
「おっ!結構いい加護じゃん?」
満足したようだ。
すると、慎哉はあることを思い出した。
「なあ、あの時俺の名前を当てたのってステータスを見たからなのか?」
「そうだ。対象を意識しながら『ステータス』または『鑑定』と念じると対象の情報を見ることができる。ただし、人間などの場合は開示設定をONにしている場合に限るけどな。」
「なるほどな。」
もっとも、この世界ではほとんどの人間が公開状態である。魔法やステータスの存在を知らないのだから当然ではあるが。
「じゃあ、2人のステータスを見てもいいか?」
見れると分かれば見たくなるというのが人間と言うものである。
だが、2人は引きつったような感じがした。
「・・・・俺は構わないが。」
「言っておくが、世界的に見れば俺達は甘く見ても中の上程度だ。俺達より規格外な奴らは山ほどいるから驚くなよ?」
「ああ!じゃあ見るぜ!」
そして慎哉は2人のステータスを見るように念じた。
目の前に2つの画面が表示され、それぞれのステータスが記されていた。
順番に見てみると。
【名前】天雲 勇吾
【年齢】15 【種族】人間
【職業】冒険者 民俗学者見習い 【クラス】神器使い 契約者
【属性】メイン:闇 サブ:火 空
【魔力】4,010,200/5,610,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv3) 体術(Lv3) 闇術(Lv3) 火術(Lv2) 空術(Lv2)
【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 神話の契約者 凱龍王の加護 神剣の加護 神龍(黒王)の契約 海神の契約 雷鳥の契約 etc
【開示設定】ON
【名前】黒王
【年齢】223 【種族】龍族(古代種)
【職業】守護者 【クラス】神龍
【属性】メイン:闇 サブ:空 風 雷 土 火
【魔力】5,200,035/6,509,000
【状態】正常
【能力】時空の門 攻撃魔法(Lv5) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv4) 龍眼 人化 神龍術(Lv5) 闇術(Lv5) 空術(Lv3) etc
【加護・補正】契約した龍 物理耐性(Lv4) 魔法耐性(Lv4) 精神耐性(Lv5) 闇属性無効化 龍神の加護
【開示設定】ON
「うわぁ・・・・・・・・・・・・・・・・。」
十分規格外だった。
魔法の種類
・攻撃魔法:殺傷力のある魔法。
・防御魔法:防壁・結界などの魔法。
・補助魔法:強化・隠蔽・付与・移動などの魔法。
・特殊魔法:回復・修復・時空移動など。正確な種類の数は不明。
・補助魔法の移動は飛行・潜水・加速等で異世界の移動は含まれない。