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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第15章 黎明の王国編
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第355話 ミレーナVSルビー②

――観客席(選手用)――


 第3試合開始直後、勇吾達は丈を使ってルビーのステータスを確認していた。


 彼女のステータスは以下の通りである。



【名前】『緋焔の巫女』ルビー=スカーレット

【年齢】――閲覧不可――  【種族】人間

【職業】焔の巫女 炎術士  【クラス】緋色の守護巫女

【属性】メイン:火 光 土 サブ:風 水 空 時

【魔力】6,930,000/6,930,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv5) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv5) 火術(Lv5) 隠形術(Lv4) 古代精霊術(Lv5) 祈祷術(Lv5) 占術(Lv5) 扇術(Lv5) 体術(Lv4) 剣術(Lv4) 弓術(Lv3) 槍術(Lv3) 投擲(Lv5) 聖浄化 複製 透過 緋之理(スカーレット) 破魔の瞳 火焔錬成 万象炎上(アブソリュート・バーン) 森羅流転(ダンス・エレメント) 神威召喚 上級鑑定

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv4) 精神耐性(Lv4) 火属性無効化 土属性無効化 光属性耐性(Lv5) 風属性耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 時属性耐性(Lv3) 全状態異常無効化 全能力異常無効化 鳳の眼 詠唱破棄 思考加速 高速回復 高速再生 不老長寿 豊乳 魔獣殲滅者 悪魔浄化者 魔王殺し 努力者 識る者 運命の巫女 神の乙女 翻弄されし者 火神アグニの加護 豊穣神フレイの加護 神獣???の契約 王の加護



「――――以前見た内容とは随分と違うな」


「実年齢だけは必死に隠してるわね?」


「そして豊乳で乙女!スタイルは抜群なのに生き遅れってことだな♪」


「あちゃ~!御愁傷様~♪」


「お前らは黙ってろ!」



 勇吾達は丈と銀洸に猿轡をして黙らせ、視線をステージの方へ向ける。


 視線の先ではミレーナとルビーが大樹の上で対峙し、試合開始の合図が過ぎても互いにすぐには戦おうとする様子を見せずに言葉を交わしていた。


 そしてステージ全体に豪雨(スコール)が降り始めると、2人とも一斉に戦闘態勢に入り、最初にミレーナが能力を発動させた。



「――――文字?」


「ルーン文字や梵字……地球世界以外の文字もあるな」


「お?天界の文字も混ざってるな?」



 ステージの空には沢山の光の文字が浮かび上がり幻想的な光景が生まれた。


 「あれは何だ?」という疑問を勇吾が抱くと同時に、彼の隣に居たリサがその疑問に答えた。



「あれはミレーナの固有能力(ユニークスキル)の1つ、《魔道編纂秘式(ウィッチクラフト・コンパイラー)》よ」



 試合開始の直前にミレーナから彼女のステータスを見せてもらっていたリサはあれが彼女の固有能力の1つである事を知っていた。


 無論、他の固有能力の方も。



「ルビーの方も動いたな」



 観客達もミレーナの能力に視線を奪われる中、ルビーも動いた。


 そして、密林のステージは緋色一色に染まった。




「《森羅流転》――――異空間(ステージ)内の属性を変えたか」







--------------------------


――密林ステージ――


「《緋の庭園(スカーレット・ガーデン)》」



 ルビーがそう呟いた直後、周囲の形式は一変した。


 空から降り注ぐ豪雨も、地上に生い茂る植物も、川も、全てが緋色一色に染まった。



「これは……」


「フフフ、驚いている暇は無いわよ?《火焔錬成》」


「!」



 周囲の変化に気を奪われた隙を突いてルビーが次の一手を打つ。


 空から降り注ぐ緋色の豪雨が一瞬で水から炎に変わり、そのままミレーナに降り注いで爆発、彼女の周りは爆炎に飲み込まれていった。


 爆発は一回だけでは止まらず、空から降りそそぐ豪雨の雨粒の数だけ続き、その数は100や1000、1万を優に超えていく。

 ルビーは更に他の場所(ステージ)全てに降り注ぐ雨も炎に変え、《火術》で操り炎の激流にしてミレーナにぶつけた。



「……まだ足りないわね」



 《占術》により少し先の未来を視たルビーはまだミレーナが無事であると判断し、更に攻撃の手を強める。


 懐から羽扇を取り出し、それを右手に持つと踊るようにその場を一回転し、それに合わせるように炎が彼女の下に集まって行く。



「《緋光の舞鳥(スカーレット・フロック)》」



 そしてルビーが羽扇を大きく振るうと同時に彼女の下から数万もの火の鳥の群が発生し、火の羽根を撒き散らせながらミレーナに向かって飛んでいく。


 その光景は幻想的で、戦闘というよりは演舞のようだった。



「これはどう?」



 火の鳥達は今だ炎に包まれたミレーナの居る地点を隙間なく囲み、全方位から一斉に襲い掛かる。


 そして炎に飛び込むと同時に緋色の閃光を放ちながら破裂、彼女を焼き尽くそうとする炎も光で飲み込んでいった。


 緋色の光はまるで花火のように弾け続ける。


 しかし、それでもルビーは手応えを感じる事は無かった。



「……何時までそこから動かないつもりなのかしら?」


「もう、動くわ」



 直後、炎も光も一瞬で消し飛ばされた。


 同時に幾つもの光の円環(サークル)が飛び出し、円環はステージ全体を囲む様に大きくなっていき、ルビーは反射的に円環に触れないように跳んで避けていった。



「――――術式円環(スペルサークル)!」


「次は私の番よ!《深き碧の猛襲(ブルー・アサルト)》!!」


「これは……!」



 数百万もの魚群(・・・・・・)がルビーに強襲する。


 碧色に輝く魚群は奔流のように呻りながら音速を超えた速度で襲い掛かり、ルビーは咄嗟に羽扇を振って自分の周囲を炎の壁で覆い防御する。



(これは殺気私が出した技の模倣!)



 ルビーは驚愕し目を丸くしていた。


 今ミレーナが放った攻撃、《深き碧の猛襲》はその前にルビーが彼女に向けて出した《緋光の舞鳥》と特徴が類似していた。


 属性や形状などは異なるものの、その根幹部分の術式は殆ど同じだったのだ。



「成程、大人しく攻撃を受けていたのは私の力を解析する為、かしら?」



 多少の魔力を消耗した末、ルビーは全ての攻撃を耐え抜いた。


 彼女は理解する。


 これはミレーナの持つ固有能力によるものであると。


 敢えて相手の攻撃を受け続け、その間に相手の攻撃の術式を高速で解析し吸収、更にそれをベースに自分に合わせた術式を構築させる――――新しい魔法を創る能力。


 ルビーはミレーナの能力をそう推察し、それは大体当たっていた。



(けど、単にそれだけなら何の脅威にはならないわよ?)



 ルビーは余裕の笑みを浮かべる。


 彼女の推察通りの能力ならば、ミレーナはこの戦闘中に幾つもの未知の魔法を創り上げる事が出来る事ができ、更には敵の術式すらも解析して自分のものにする事もできる驚異的なものだが、ルビーや六星守護臣にとっては違った。


 幾つもの修羅場を経験している彼女達にとって、敵の能力を模倣(コピー)したり学習したりする能力とは過去に何度でも遭遇している慣れた相手に過ぎないのだ。


 なにせ、どの世界でも力を求める者の中には必ずと言っていいほど「敵の力を奪う力」や「敵の力を完璧に模倣する力」などを求める輩がおり、実際にそういう力を求めて手に入れた者も沢山いた。


 それ故、同一ではないにしろミレーナの所有する能力は、ルビーにしてみれば過去に何度も相手をした対処したものでしかなく、多少驚く事はあっても脅威とは思えない物でしかなかった。


 しかも、攻撃を受けてすぐに反撃してこなかったことから対象の攻撃の解析は一瞬ではなく、それなりに時間を要するものでもあると見抜いていた為、今では最初の驚愕など無かったように平然としていた。



「フフフ……これで終わりかしら?」


「いいえ、まだよ」


「そうなのかしら?}


「ええ」



 挑発するように話しかけるルビーに対し、ミレーナも平静を保ったまま自分の次の手を打つ。


 彼女の周りを幾つもの文字が螺旋を描きながら移動し、彼女の頭上に集まって1つの魔法へと構成されていく。



「あれは―――――」



 ルビーの表情が次第に変わっていく。


 彼女は魔術師としても一流である為、ミレーナの周りにある文字列を解読するだけの知識と技術を備えていた。


 そして《思考加速》も使い、見える範囲でその術式の一部を解読していった彼女は、その内容に気付き戦慄する。



(あれはマズイ!)



 それに気付いてからのルビーの行動は速かった。


 その魔法が発動する前に彼女の能力《火焔錬成》を使い、足元に広がる緋色の密林に向けて行使、密林の全て(・・・・・)を炎に変えて数ヶ所に分けて集めていく。


 そして同時に、《森羅流転》とは異なるもう1つの固有能力を使用し、それはミレーナの魔法の完成とほぼ同時だった。





「《火を喰らう碧の大樹(イグドラシル)》!!」


「《万象炎上》!!」








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