第32話 幼馴染達合流!
・ようやく彼らが勇吾と合流します。
守護王狼がルビー=スカーレットに襲い掛かった直後、目の前が緋色一色に染まった。
それは例えるなら火災旋風、都市部の広範囲の火災や山火事などで起きる竜巻状の炎だった。本来は発生条件が不明な現象だが、ルビーはそれを魔法と属性術を組み合わせる事で発生させたのだ。その破壊力は凄まじく、結界が消滅したとはいえ、地上から最下層までの何層もの天井を一瞬にして貫いたのである。
『―――――――大丈夫か?』
気づくと、勇吾と慎哉の2人は黒王に護られていた。十数秒続いた緋色の竜巻は既に消滅し、ルビーが立っていた場所には彼女も守護王狼の姿もなかった。
「――――って!誰もいねえ!!守護王狼瞬殺――――!?」
「逃げられた!?」
『――――本人は逃げたつもりはないだろうな。とにかく、奴は上に行ったようだ。追うぞ!』
2人はすぐに黒王の背に乗り、ルビーが開けた天井の穴を通って地上へと向かった。
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「フフ、思ったより丈夫みたいね?」
『―――――ワザとらしいな。』
「あら、少しは驚いているつもりよ?」
『つもり、か――――――。』
黒王は静かな視線でルビーを睨む。
「ルビー=スカーレット―――――――!!」
黒王の背から飛び降りた勇吾は即座に斬りかかった。
「《夜斬り》――――!!」
「フフ、《緋炎》」
闇を纏った斬撃はルビーには届かなかった。
勇吾とルビーの間に炎が生まれ、勇吾の斬撃をいとも簡単に防ぎ、そのまま勇吾達に襲い掛かった。
「クッ――――――!《ファイアガード》!」
「フフ、無駄よ」
咄嗟に防御魔法を使うが、ルビーの炎はそれを容易く破って勇吾の体を飲み込んだ。
「グアァ―――――!!」
「勇吾!!」
『待て、お前が行っても足手まといになるだけだ』
「――――――――けどっ!!」
緋色の炎に飲まれる勇吾を助けようとする慎哉だったが、それを黒王が無理矢理にでも引き止める。あまりにも慎哉とはレベルのかけ離れた相手、加勢したところで邪魔にしかならないのである。
「フフ、私の炎は純粋な火属性じゃないのよ。光や風もブレンドした、私だけのオリジナルよ。」
「――――――――――クッ!!」
大量に魔力を消費する事によりどうにか耐えた勇吾だが、受けたダメージは炎の見た目以上に大きかったらしく、既に息が荒れだしていた。
「―――――フフ、これで帰ってくれないかしら?」
ルビーは相変わらず優雅に微笑んでいる。彼女にとっては、さっきの攻撃は手で相手を振り払うのと大差ない事だったのだ。
「―――――ざけるな!盗んだ神器を置いて行け!!」
「あらあら、まるで盗賊みたいな顔よ?可愛い顔が台無しよ?」
「黙れ!!」
ルビーの一言一言が勇吾から冷静な判断力を奪っていく。
『――――勇吾、落ち着け』
「フフ、保護者さんは大変ね?心配かけちゃ駄目よ坊や?」
「舐めるな―――――――!!」
全身から魔力を放出し、布都御魂剣にも同量の魔力を込める。
「《闇分身》!!」
詠唱と共に、ルビーの周りで複数の闇が発生し、それ全てが勇吾の分身になった。勇吾の扱う特殊魔法の1つ、闇属性の分身魔法だった。
「あら、中々の密度を持った分身ね?」
「まだだ。布都御魂、《剣錬成》!!」
勇吾は叫びと共に地面に布都御魂剣を突き刺す。すると、荒神と戦った時と同じように地面から次々と大量の剣が生まれてきた。
「フフ、それがあなたの神器の力ね。けど――――――」
「行け!!」
勇吾は分身と共にルビーへ斬りかかり、創りだされた剣も同時に襲い掛かっていった。
だが、ルビーは全く動揺することなく一言だけ呟いた。
「《緋色の流星群》」
直後、勇吾達がいる山中に緋色の流星が降り注いだ。
流星の一つ一つは先程の《緋炎》に比べると威力は僅かに劣るものの、線を遥かに超える炎の流星は勇吾達に容赦なく襲い掛かり爆発していく。流星群と言うより、空中からの集中砲火だった。
「わあぁぁぁ――――――――!!??」
『クッ―――――――――!』
黒王は周囲を防御で覆って降り注ぐ流星群を防いでいくが、休む事無く続く爆発に防御は時間と共に削られていく。
勇吾も襲い掛かる緋色の流星の攻撃をもろに受けていった。魔法で作りだした分身も剣もあっという間に破壊され、彼の剣はルビーに近づく事すらできず、彼と共に流星の餌食になっていった。
「―――――これで諦めてくれるかしら?」
集中砲火は1分以上続き、弱まり始めた頃には周囲の地形すら変えていた。破壊力があると同時に高温でもあった緋色の炎に焼かれ、周囲は焼け野原になっていた。
焼け野原中心には地面に剣を突き刺し、どうにか立っている勇吾と、全身を炎で焼かれながらも慎哉の命を護った黒王の姿があった。
黒王の全身からは焦げるような煙が立ちあがっている。ルビーの炎には光属性も混ざっている。そして光属性は闇属性にとっては弱点でもある。その炎の手中砲火を浴びた黒王は、今までに見せた事がような疲労と苦痛の顔を浮かべていた。
「ま・・・だだ――――――。」
「フフ、満身創痍なのにまだ戦意を失わないのね。これで放置するのは流石に気が咎めるわね――――――」
まだ立ち上がる勇吾の姿を前にし、ルビーは初めてその顔を真剣なものにへと変える。持っていた鏡を2つとも左手で抱えると、懐から一本の扇を取り出し開いた。衣装と同じ緋色の羽毛で作られた奥義を空に向かって掲げ、そこに緋色の炎を生み出す。
「フフ、これを受けたらあなたでも命の保証はできないわ。けど、少しは本気を出さないとあなたにも失礼でしょうから使わせて貰うわよ」
奥義からより鮮やかな炎が生み出され、それは空中に無数の球体となっていく。それらは緋色の太陽と言えるかのように夜の山々を照らしていく。
「―――――さようなら。《緋天―――――》」
だが、ルビーの詠唱は最後まで続かたかった。
ルビーが見上げた空を、何本もの閃光が走ったのである。
「《千を超える閃拳》――――――――!!!!!」
ドゴ――――――――――――ン!!!!!!
数えきれいほどの閃光、それらはルビーの作りだした無数の火球全てに直撃して爆発を生んだ。
人里の向こうまで届きそうなほどの爆音が響き渡り、自分が生み出した炎が一瞬にして消滅していく光景を見たルビーは呆気にとられていた。
「――――――――今の……まさか……!?」
『――――――どうやら助かったようだな』
「な……何だ今の!?」
一方、勇吾と慎哉はそれぞれ別の意味で驚愕し、黒王はさっきまでの苦痛など消え去ったかのように笑みを浮かべた。
そして、3人の前に1人の少年が空から降りてきた。
「ギリギリ間に合ったみたいだね、勇吾!」
「―――――――良則!?」
勇吾の前に降り立ったのは、忘れる筈もない幼馴染の少年だった。
その姿を目にし、勇吾は複雑そうな表情をし、黒王は笑みを浮かべながら話しかけた。
『――――王子よ、久しぶりだな?』
「黒こそ久しぶり!それと、良則でいいよ」
「………誰?」
ただ1人、慎哉は良則が誰なのか分からなかった。
「……俺の幼馴染だ」
「初めまして、護龍良則です。君が北守慎哉君だよね?」
「お、おう!よろしくな!」
戸惑いつつも良則と握手を交わす慎哉。
「―――――慎哉の事を知ってるってことは……リサか?」
「呼んだ?」
「俺らもいるぜ!!」
振り向くと、そこには他の幼馴染達の姿があった。
門原リサ、黒河トレンツ、そいてミレーナ=カフィの3人だった。
「―――――仕事か?」
彼らがいる理由を考え、問いかける勇吾。
「正確には移籍よ。こっちにギルドの支部が新設される事になって、私達はそこに移籍ってことになったの」
「そうか・・・・・。ん?待て、お前らがいるってことはあの馬鹿は!?」
「「「「…………」」」」
「おいっ!!!!」
4人の沈黙に、勇吾の頭には嫌な予感ばかりが浮かび続けた。
「―――――それより、今は敵の方だって!気配からだと、まだそこに――――――!」
爆発で土や灰が舞っている方へ視線を向ける。そこには確かに強い魔力を持った者がまだ存在し、こちらの方を見ているのかうかがえた。
「―――――――フフ、お友達が助けに来てくれたみたいね?」
ルビーは扇を一振りして視界を遮る物全てを振り払った。
「「「「「「――――――――――あ!」」」」」」
6人はその光景を見た瞬間、緊張感の抜けた声で驚き、黒王は引き攣った目でその光景を見た。
「……?どうしたのかし――――――――ら?」
勇吾達の視線と声に疑問を抱き、ルビーは自分の周りを見てみる。すると、そこには下からニヤケながら両手でルビーの胸を狙う馬鹿がいた。
「――――――!?」
「ナ~イストゥ~~~ミ~~~チュ~~~~☆」
馬鹿に気付いたルビーは反射的にその場から跳ぶが、馬鹿は彼女にくっ付いてくるかのようについてきて『それ』を両手で鷲掴みにした。
「Oh!!見ろよお前ら!スッゲェぜ、本物のHカップだぜ☆」
数秒間、山の中の時間が止まったような錯覚が一同に生まれた。
そして、掴まれたルビーはプルプルと震え始め、次の瞬間、強大な炎と共に大声で叫んだ。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ――――――――――!!!!!!!!」
ドゴ――――――――――――――ン!!!!!!
巨大な緋色の火柱が彼女を中心に生まれた。
「…………誰?」
最初に口を開いたのは慎哉だった。
まるでコメディの一面を見るかのような目で先程の光景を眺めていた慎哉は、未だに呆然としている勇吾に問いかけた。
だが、その問いに答えたのは慎哉以外の全員だった。
『「「「「「馬鹿だ(よ)!!」」」」』
1秒のずれもない見事なユニゾンだった。
ちなみに、慎哉はその後すぐに馬鹿のステータスを見てみた。
【名前】護龍 丈
【年齢】15 【種族】人間
【職業】冒険者 【クラス】バカ王族
【属性】メイン:空 光 サブ:火 水 土 風 木 時 闇
【魔力】6,095,500/6,150,000
【状態】HENTAIバカ
【能力】攻撃魔法(Lv5) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv5) 特殊魔法(Lv5) 属性術(Lv5) 剣術(Lv4) 体術(Lv5) 弓術(Lv4) 槍術(Lv4) 投擲(Lv4) 錬金術(Lv4) 神眼 暁の太刀 飛龍の弓
【加護・補正】魔法耐性(Lv4) 物理耐性(Lv3) 精神耐性(Lv5) 全属性耐性(Lv3) 凱龍王の加護 太陽神の加護 芸能神の加護 エロ神の加護 不撓不屈 異界の契約者 神殺し 次元龍の契約 神鳥の契約 韋駄天の契約 幸運
【開示設定】ON
「チートだぁぁぁぁ―――――――――――――――!!!!!」
慎哉の叫び声は山々に響き渡った。
・ちなみに、リサとミレーナはB以上です。
・続きは本日中に投稿します。
・感想などお待ちしております。




