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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第13章 神殺し編
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第277話 シャルロネーア

――京都市 九条家――


 シャルロネーアの姿を目視した瞬間、隆一は激昂しかけ、一瞬ではあるが全身から夥しい魔力が漏れ出た。



「あなた!!」


「――――!すまない・・・。」



 妻の瑠璃の制止と、彼女がとっさに出した結界により周りに被害が及ぶ事は無かった。


 だが、隆一の突然の豹変は周りに少なからず動揺を与えた。



「・・・誰なのですか?」


「・・・・・・。」



 母親だからなのか、和子は息子が豹変した原因が上空に現れた女だと悟った。


 そして、直感的にその理由も・・・



「・・・8年前、息子の大吾を殺した(・・・・・・・・・)実行犯の1人(・・・・・・)です。」


「「「!!??」」」



 その場にいた隆一と瑠璃以外全員が驚愕した。


 特に、和子の受けたショックは桁違いだった。



「あの子は病死じゃなかったの!!??」


「――――!!」



 和子は隆一に詰め寄って問い質した。


 異世界関係の話を秘密にしている為、隆一は息子の、勇吾の父親である天雲大吾の本当の死因を実家の家族には話していなかった。



「ああ・・・あああああああああああああ!!!!」


「「母さん!!」」


「「お義母様!!」」


「「「御祖母様!!」」」



 息子の表情を読んだ和子は泣き崩れた。


 和子は後悔した。


 自分が、とんでもない間違いを犯していたのだと。


 和子にとって勇吾の父親(天雲大吾)は初孫だった。


 勘当中の筈の隆一が勝手に家に入って抱かせられた事を、和子はよく覚えていた。


 祖父母思いだった大吾は時々不法侵入(・・・・)をしては和子達に顔を見せ、隆一の勘当を解いてもらおうと動いていた。


 だが8年前、その大吾は若くして死んでしまった。


 病死だと知らされた和子は隆一と瑠璃を責めた。


 どうして息子の病気に早く気付けなかったのかと。


 大吾が死んだのはお前達のせいだと。


 長年連れ添った夫の葬儀でも、勇吾達の前で酷いセリフを吐いたりもした。


 だが、それは無知ゆえの過ちだと今知ってしまった。


 病死ではなく殺人、ならば隆一が責められる謂れはないのだ。



「私は・・・私は・・・ハァ・・・・なんてことを・・・・ゲホッ!!」


「「「母さん!!」」」


「医者!!早く医者を!!」


「無理です!!」



 精神的ショックが大きすぎ、和子は発作を起こしていた。



「瑠璃!!」


「はい!!」



 瑠璃はすぐに《回復魔法》を使い、隆一も手持ちの薬を確認しながら自分の軽率な発言を悔いた。


 真実を知れば、自分の母親がどうなるのかを理解していたのに。



(死なないでくれ・・・!!)



 隆一は必死になって瑠璃の回復作業を手伝った。





--------------------------


――京都市 京都ASUKAホテル(慎哉サイド)――


「「父さん!!」」



 俺と冬弥は同時に声を上げた。


 雷が落ちて暴風雨が吹き荒れてから、俺達はホテルの屋上から勇吾達の戦いを観ていた。


 俺は急いで駆けつけた冬弥と一緒に向かおうとしたが、父さんに襟を掴まれて止められた。


 そして勇吾やヨッシー、丈がチートしたのを大人しく観ていたら、今度は空からドラゴンが雨のように降ってきた。


 しかも他にもいる!



「・・・闇御津羽神(クラミツハ)か。傍観はここまでだな。」



 父さんは立ち上がり、全身から魔力を放出し始めた。


 まさか、神がついに参戦か!?



「慎哉、冬弥、行くぞ。」


「「はい!」」



 俺と冬弥は口を揃えて返事をした。


 そして、俺達親子3人は勇吾達の下へと向かった。






--------------------------


――京都市北西部(晴翔サイド)――


 俺達は勇吾達と合流する為に移動していた。


 インドラの猛攻に吹っ飛ばされ、俺とミレーナは近くを流れる川に土砂ごと流されてしまい、気付いた時にはそこにはインドラはいなかった。


 俺達はすぐに怪我の応急処置を済ませて移動しようとしたが、タイミング悪く近くを深夜徘徊している高齢者――しかも若干の霊感あり――が通り、その人を交番に送り届けている間に時間を食ってしまった。


 地形が抉れているのはあくまで結界内側だから現実側の人間が巻き込まれる心配はないらしいが、かといって無視はできないからな。



「何だよあれは・・・!?」


『おいおい、あれは確か『龍神』闇御津羽神に『八大龍王』だろ!?』


『あいつらも操られているのか!?』


『マジかよ・・・。」



 ようやく京都市内に来たと思ったら、空からわらわらと龍が落ちてきた。


 そしてその中に、ここからじゃまだハッキリとは見えないが、天使だか堕天使のような人影も見えた。



「う・・うそ・・・!?」


「どうした?」



 ミレーナが片手で口を塞ぎながら身を震わせている。


 一体どうしたんだ?



「そ、『創世の蛇』の幹部がいるわ・・・!!」


「「『『――――ッ!!』』」」


「みんな、これを見て!」



 ミレーナは俺達全員にステータス画面を見せた。



【名前】『不吉なる探究(オメネス・リサーチャー)』シャルロネーア=アズールナイト

【年齢】123  【種族】人間

【職業】『創世の蛇』幹部 研究者  【クラス】深淵に魅入られし者

【属性】メイン:闇 風 水 サブ:土 火 木 氷 空

【魔力】7,017,000/7,305,000

【状態】堕天使化(カスピエル)

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv5) 属性術(Lv4) 剣術(Lv2) 体術(Lv3) 鞭術(Lv3) 投擲(Lv4) 錬金術(Lv5) 神の禁忌術(Lv4) 闇夜の魔眼(ライト・キラー) 魂縛の魔眼 混沌の神毒(アポフィス・ポイズン) 霧化の法

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv5) 精神耐性(Lv5) 闇属性耐性(Lv4) 風属性耐性(Lv4) 水属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv3) 氷属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 全状態異常無効化 龍殺し 竜殺し 神殺し 狂気の科学者 深淵との契約者 虐殺者 惑わす者 神を操る者 堕天使カスピエルの契約 混沌神アポフィスの加護 堕天使サマエルの加護 龍神闇御津羽神を支配 etc



「「『―――――ッ!』」」



 絶句するしかなかった。


 今までの敵とは格が違いすぎる・・・!!


 このステータスを視ただけでそれが嫌というほど伝わってくる。



「どうするんだよ・・・!!」


「マズイぞ!このままだと勇吾達が危ない・・・!!」


『急ぐぞ!!』



 体が震えるのを無理矢理抑えながら俺達は勇吾達と合流すべく急いだ。


 だが、そこに邪魔が入った。



「お~~~っと!こっから先は通行止めだ!」



 俺達の前に、十数人の男女が現れた。


 全身に纏っている魔力の強さから只者じゃないのは俺にも分かる。



「誰だ、お前らは!?」


「――――『創世の蛇』。」


「くそっ!!」


『俺らを足止め・・・いや、邪魔な蠅を退治しに来たってところか?』


「察しが良くて助かります♪」



 そいつらは剣や斧、銃などを装備して俺達を今にも殺そうとしていた。


 クッ、ボスキャラには取巻きが一緒なのはお約束ってことかよ!



「この先は雑魚が行っていい場所じゃねえんだ!大人しく全員、ここで死にな!」



 悪いな勇吾、どうやら俺達は加勢できそうにないみたいだ。






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