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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第13章 神殺し編
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第276話 破壊神撃破

 《神龍武装化》には、大きく分けて2つの戦闘スタイルがある。


 1つは普段と変わらない人型形態、神龍を武器や防具として纏う、対人戦闘に適したスタイル。


 そして2つ目が神龍に近い姿で戦うスタイルで、内側に溜めた魔力を爆発させ、疑似的に龍の姿へと変身する。


 今の僕は普段のアルビオンほどの大きさじゃないけど、シヴァよりも一回り大きいサイズの白い鎧のような外殻に覆われた有翼の龍の姿になっていた。


 両手にはしっかりと《龍皇の籠手》がその形状を龍の腕に近い姿に変えて半ば腕と同化していた。


 変身なんてちょっと恥ずかしいけど、龍の姿になるのはなんだか気分が燃えてくる。



『滅ビロ!!』



 僕に向かって叫んだシヴァは、複数の属性を融合させた破壊にのみ特化させたエネルギーをトリシューラの先から乱射してきた。


 熱く、速く、鋭い攻撃を僕は更に加速して避けていく。


 避けた攻撃は弾け、加速した世界の中でゆっくりと爆発していく。


 アルビオンと意識を同調させている僕は攻撃を避けつつ、口からブレスを連射していく。


 あ、ちょっと楽しくなってきたな♪



『当タレエエエエエエエエエエ!!』



 操られているシヴァの遠隔攻撃はもう僕には当たらない。


 本来の自我(人格)を封じている以上、その力を十二分に発揮させることが出来ないんだ。


 力だけで、力を使う意志が欠けている今のシヴァではここまでが限界なんだ。


 しっかりと自分の意志を持ち、心を通わせながら力を合わせる僕とアルビオンの敵じゃない。



〈そうだ。今の我らの力は単純な足し算やかけ算ではない。互いの意志を認め、受け入れることにより常に伸びていく可能性の塊だ。良則、もう終わりにするぞ!〉


『うん!』



 そして僕は一瞬だけ(現時点での)最大速度を出し、トリシューラを持っていたシヴァの手を腕ごと爪で切り落とした。


 同時に、片方の爪で反対側の腕、つまりピナーカを持っている腕も切り落とした。



『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』


『――――ん?』



 シヴァが悲鳴を上げる中、僕はシヴァの首の周りで妙なモノを見つけた。


 それは夜よりも深い、邪悪さを帯びた蛇だった。


 そういえば、シヴァの首には蛇が巻かれていた筈だけど、こんな蛇じゃなかった。


 そして僕の直感は、その蛇こそがシヴァを支配している力の“核”だと確信する。


 刹那の思考の直後、僕は迷わず蛇の巻き付いている首に向かって拳をぶつけた。



『《龍皇の閃拳(バニッシュストローク)》!!』


『――――――ッ!!!!』



 シヴァの体は軽く10km先まで吹っ飛んだ。


 場所が場所だけに今度はシヴァも悲鳴を上げられなかったようだ。



『―――アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』


〈―――暴走し始めたか?〉


『次で終わりだ!!』



 僕は翼を広げて飛翔し、何処かの山の頂上(だった場所)に墜落しているシヴァに止めの一撃を放った。




『―――《幾千も降り注ぐ(サウザント)龍皇閃拳(ノヴァ)》!!』




 千を超える《閃拳》がシヴァに向かって降り注いだ直後、京都どころかシヴァを中心とした半径100km圏内が穿孔と爆音に飲み込まれていった。


 最も、どれだけの爆発でも結界の外には無害だったけどね。




--------------------------


――京都市 九条家付近(勇吾サイド)――


 もうツッコむ気にもなれない。


 神龍武装化の効果か、良則の姿は最後まで知覚することができた。


 隣で何故かたこ焼き食ってるバカとは違った意味ですさまじい戦いだった。


 小型の龍ともいうべき姿に変身してからは特にだ。


 京都の空が白や赤、蒼などの光に染まり、それに遅れて鼓膜が破けそうな爆音の連鎖には驚愕を通り越して呆れるしかなかった。


 当人は音速を超えて動いているからあまり自覚してないんだろうが、端から見ているとこの世の終わりかと思わされる光景にも見える。


 なにせ、爆発に続く爆発の連続で、雷や豪雨を撒き散らしていた空一面の雲を一瞬で消してしまった。


 最後は超高密度のエネルギーが流星群のように京都の山の一つに降り注ぎ、京都どころか少なくとも関西丸ごと飲み込む巨大な爆発が発生した。


 海外のSF映画も顔負けだな。


 本当に、バカコンビの結界が無ければシャレにならないことになっていたな。



「ヨッシ~の勝利~!!一皮剥けたネ♪」


「ああ、そうだな。」



 あえて何も言わなかったが、ここ半年の良則にはほんの僅かであるが違和感があった。


 無意識の内に力をセーブしている節があり、嘗て神殺しを果たした時のような、バカとはまた違う意味でのチートっぷりを見せる事が少なくなっていた。


 けど、どうやらそれももう問題なさそうだ。



〈――――シヴァの神力(魔力)の消滅を確認した。討滅に成功したようだな。〉


「ああ、これで一応は終わったことになるか・・・。」



 周囲の気配を探知する。


 何柱か、こっちを観察している神がいるが、敵意や悪意を感じる者はいないようだ。


 少なくとも、俺の探知能力の範囲ではだが。



「なあなあ、これからラーメン食いにいかネ?」


「まだ食うのか・・・。」



 隣で焼きそばを食っているバカが割り箸を突き出しながら誘って来ている。


 こいつには本当に緊張感がないな。


 さてと、一度お祖父ちゃん達の所に顔を出しに行ってみるか?



『ビ~~~!!ビ~~~!!敵発見!!敵発見!!』


「何!?」


「え~?」



 突然、バカの片割れがデカい声で叫びだした。


 俺が感知できなかった敵を見つけたのか!?



「何所にいる!?」


『京都市上空14000m!!神格反応アリ!!』



 雲の・・・いや、雲のあったところより上か!!



『Let’s攻撃♫』



 直後、空に巨大な爆発が発生した。



「あらら~、空間ごと破壊しちゃった?」


『・・・本当にお前は余裕だな?』



 隣でファ〇タを飲んでいるバカは暢気に空を見上げている。


 しかし、インドラにシヴァ、それに大物主以外にもまだ操られた神格がいるのか。


 一体、何柱の神が・・・・



『あ!死んでない!』


「何!?」


『あ~、怒ってこっちに下りてきたみたい。テヘ♪』


「・・・・・・(ゴン)。」


『「痛い!!」』



 俺は無言でバカコンビを殴った。


 そしてすぐに視線を空へと戻し、それの姿を目にした。



「――――あれは!」



 それは大物主よりも大きい龍だった。


 その眼はインドラ達と同様に正気を失った色をしていて、全身から途轍もない神力を放出していた。


 この力、まさか龍神の1柱か!?


 いや、まだ他にもいる!



「お!何か一杯出てきたぜ?」


「プ〇ッツ食ってる場合か!!」



 空から落ちてきたのは巨大な龍1体だけじゃない。


 その後ろから複数の頭を持つ大蛇を筆頭に、何体もの巨大蛇や龍が落ちてきた。


 どれからも神性を感じられる。



「WOW!八岐大蛇~?」


『NO!八大龍王~!“八”しか合ってないYO!あとムシュマッヘっぽい?』



 八大龍王・・・!!


 アルビオンと同様に神格を持つ龍王までも操られているのか!?




――――フフフ・・・・・・・・・♪




 妖艶な女の笑い声が聞こえてきた。


 そして、多くの龍や蛇が落ちてくる中、その女は雲の消えた夜空に浮かび、月をバックに俺達を見下ろしていた。


 俺はすぐに気付いた。


 その女を、俺は8年前に会っている(・・・・・・・・・)と。



「――――初めまして。『創世の蛇』、幹部(ジェネラーレ)の1人、シャルロネーア=アズールナイトよ。」


「――――!!」



 やはり“Ⅳ”のトップ!!


 コイツが今回の黒幕―――!!


 それに、この女は――――



「さあ、次の検証を始めましょう♪」



 シャルロネーアは背中から黒い翼を広げ、楽しそうに告げた。






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