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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第13章 神殺し編
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第255話 修学旅行1日目①

――勇吾サイド――


 今日は今朝から《ガーデン》は雨だ。


 異空間に創られた《ガーデン》だが、あのバカはしっかり天気だけでなく季節も変わるように創っていた。


 正確には一番太く繋がっている日本と同調するようになっている。


 故に今朝の天気は東京と同じ雨だ。



「――――秋雨か。良い雨だな。」



 ほうじ茶を飲みながら俺は知らぬ間に呟いていた。


 最近は晴天続きだったから、今日の雨は新鮮に感じられる。



「あれ?YU~GO、なんか風流じゃね?」


「黙れ、エセ日本人!」



 相変わらずかカオスな格好をしているバカはココアを飲みながら俺にべたべたとくっ付いている。


 ハッキリ言って邪魔だ。



「なあなあ、今日の予定はどうなってんの?今日は銀洸は朝から異世界に言ってるから暇なんだよ~。」


「知るか!何時も通りの冒険者業に決まってるだろ!」


「え~と、不倫調査だっけ?」


「生態系調査だ!近畿一帯の生物の分布などを調査するんだ。お前にもメールが届いてるだろ?」


「あ、俺は関西のグルメ調査だから♪」


「・・・・・・。」



 このバカ、頭の中は食うことしかないのか?


 そもそも、誰がそんな依頼を出したんだ?



「そうそう、依頼人の名前の欄に勇吾の姉ちゃんの名前があったヨン♪」


「姉ちゃん!!??」



 姉ちゃん!!


 よりにもよって何でこのバカに依頼するんだ!?



「あ!」


「何だ?また禄でもない事を思いついたのか?」



 高確率でそうに決まっている。



「スッカリ忘れてたけど、勇吾の爺ちゃんが今日来るってさ!確か、夕方辺り…?」


「忘れるな!!ていうか、何でお前が俺の家の事情に詳しいんだ!?俺よりも!!」


幼馴染み(フレンド)だから?」


「コイツ・・・!」


「落ち着け、勇吾。」



 そこへ、ブラックコーヒーを飲む黒がやってきた。



「怒るよりも先に、祖父母を迎える準備をするのが先だろ?」


「・・・そうだったな。まずは部屋の準備と――――」


「あ、今夜は余所に泊まるらしいぞ?」


「先に言え!」



 それにしても、何で急に日本に来るなんて・・・あ!



「そうか、もうすぐ曾祖父ちゃんの命日だ。今年は色々あって忘れてたけど、七回忌だったな。」



 俺の父方の祖父は日本人だ。


 若い頃に祖母を通して異世界の存在を知り、その後は色々あって駆け落ち同然に家を飛び出して天雲の家に婿入りをした。


 俺の剣術は祖父仕込みのものだ。



「そしてその祖父も勇吾が小さい頃に亡くなり、もうすぐ七回忌なのだ!祖父の実家には齢85の曾祖母が1人暮らしをしている!」


「心を読むな!」


「誰に向かって話している?」


「遥か高い所にいる人!」



 つまり神にか。


 神に説明は不要だろ。



「――――曾祖母には、まだ挨拶にも行っていなかったな。」


「・・・絶縁状態に近かったからな。俺も、曾祖父の葬式に会ったのが最後だから中々行き辛いんだ。けど、いい機会かもしれないな。」


「じゃあ、明日は一緒に遊びに行こうぜ♪」


「お前は留守番だ!!」



 このバカを連れて行ったら厄介なトラブルばかり起こるに決まっている。


 誰が連れていくか!



「それでも行くぜ!!」


「~~~~!!」


「勇吾、諦めろ。最悪、法要に来る再従兄弟に押しつけろ。」


「黒、お前は時々酷い事を言うよな?」


「……分かっているなら言わなくていい。」



 ハア・・・。


 取りあえず、今は依頼された仕事に集中するか。


 そういえば、祖父ちゃん達に会うのも久しぶりだな。


 四龍祭の時は結局会いに行けなかったからな。


 会ったら久しぶりに稽古をつけてもらおう。



「なあなあ!」


「まだ居たのか?」


「ヒデ~!まあそれよりさ、今日から慎哉は修学旅行だったよな?」


「ああ、そういえば奇遇だな。」



 まさかのタイミングだな。


 俺の曾祖父の命日と慎哉の修学旅行の時期が重なるとは・・・しかも、場所も同じ京都とは。


 これは何かの暗示なのか?


 少なくとも、俺は偶然だとは思えないな。


 俺や黒の経験から言えば、きっとまた何かが起きるだろう。


 だとすれば、今回は一般人の親戚一同が巻き込まれる恐れがあるか・・・。


 あくまで勘だが、最近の世界の異変を考えれば警戒するに越したことはない。



「――――黒。」


「まずはやるべき仕事を片付けてからだ。」



 そうだな。


 今は目の前の仕事に集中しよう。


 その後、すっかり冷めてしまったお茶を飲み干すと、俺は同じ依頼を受けるトレンツ達と一緒に最初の目的地に向かった。





――――祖父母の来訪、それが俺にとっての今回の事件の始まりだった。







--------------------------


――慎哉サイド――


「――――トランプ発見!ババ抜きやらね?」


「やるやる~♪」



 ハッハッハ!!


 修学旅行は移動時間も楽しいよな!


 今朝は生憎の雨だったけど、新幹線に乗って早1時間、窓の外の天気はすっかり晴空に変わっていた。


 天気予報でも京都の方は快晴だって言ってたし、今日は楽しい日になりそうだ!!



「ギャア!ババだ~!」


「声に出すなよ!」



 普段ならやらないババ抜きも、今はテンションを上げるのに大いに役立っている。


 どっかから教師が「静かにしろ!」と叫んでいるのが聞こえてるけど、アンタの声の方が五月蠅いぞ?



「――――でさ、俺らの班って今日は何所に行くんだっけ?」


「確か世界遺産とか巡るんじゃなかったっけ?清水寺とか?」


「俺らんとこは金閣寺からだな!最後に清水寺だ!」



 見事にバラバラのコースだな。


 ちなみに俺は最初に伏見稲荷大社に行くコースだ。


 所謂稲荷神社の総本山みたいなとこだな。


 何でも、そこの神様はライの被害者らしいから睨まれるかもと勇吾に忠告された。


 俺にまでとばっちりが来るのは勘弁してほしいぞ。



「おい、北守の番だぞ!」


「あ、ワリイ・・・って、ババ引いた!?」


「だから声に出すな!」



 結局、ババ抜きは俺の負けで終わった。


 神様で思い出したけど、確か俺の班のコースには八坂神社があったな。


 前に名古屋で厄介事を押し付けた素戔嗚尊を御祭神にしている神社らしいけど、伏見稲荷同様に面倒な事にならなきゃいいな。


 というか、京都にいる神様全員に絡まれたりしないよな?



「なあ、もうすぐ京都らしいぞ?」


「マジで!?やっぱ新幹線ハエ~!」


「比叡山見えるか?」


「見えねえよ!」



 ババ抜きしている間に新幹線は京都府内に入ったようだ。


 さ~て、そろそろ降りる準備をしますかな?


 せめて今日1日だけでも楽しい旅行になりますようにっと!



「――――そういえばさ、ネットで最近京都に大きな鳥のUMAが出るって噂が流れてたぜ?」


「「嘘だ~♪」」


「・・・・・・。」



 あ、フラグたった。






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