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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第13章 神殺し編
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第254話 修学旅行前夜

――慎哉サイド――


 今夜は興奮して中々眠れそうにない。


 最近は色々事件続きだったけど、明日から4日間は青春を謳歌するぜ!!


 中学校生活3年間で最大のイベント!!


 その名の通り、表向きには勉学が目的だが俺達には関係ないぜ!!


 俺はこのビッグイベントで青春のパートナーをゲットしてやるぜ!!



『・・・青春のパートナーって、彼女?』



 宙に浮かんだPSの向こうから弟が訊ねてきた。



「だって欲しいだろ?勇吾なんかドイツ人の彼女がいるし、蒼空も極道の彼女(・・・・・)がいるし、ヨッシーは常時選び放題なんだぜ?羨ましいじゃん?」


『けど慎哉、俺らが一般人と付き合うのって、現実的に無理だろ?』


「うっ・・・!それを言うなよ・・・。」



 そりゃ、もう一般人じゃなくなった俺が一般人と付き合うことになったら色々障害があるのは分かってるさ。


 こっち側の事は秘密にしないといけないし、事件に巻き込まれるかもしれない。


 本気で好きになったら秘密を話さないといけないけど、直後にフラれるかもしれない。


 とにかくハードルが高すぎる!



「それでも欲しいのが男だ!!」


『俺だって欲しいっての!けど、俺はそっちよりもハードルが高いんだよ!人間辞めたから!』


「むしろ出会いが増えてるジャン!種族問わず!!」



 俺は知っている!


 冬弥は、弟は最近、多くの女の子との出会いイベントと遭遇しまくっているんだ!


 それは異世界から来た冒険者のお姉さんだったり、どっかの神社のロリ神使だったり、通りすがりの聖獣さんだったりと、種族問わずに出会いまくってるんだ!!


 正直羨ましい!!



『俺は同年代が好みなんだ!!』


「俺だって、JCかJKが好きだ!ロリはアウトだっての!あ、種族は別な?」


『何気に守備範囲広くね?』


「丈はそれこそ見境なしだぜ?とにかく、俺は明日からの修学旅行で青春の花を咲かせてやる!」



 そう!


 明日は修学旅行というビッグイベントが始まる!


 これに参加せずして学生生活は語れないぜ!



『行き先ってどこなんだ?』


「京都京都♪歴史とロマンが眠る京都だよ!」


『・・・ふ~ん。京都か。』


「何、その意味深な反応?」


『え、何のことだ?』


「何か隠してないか?」


『・・・別に?』



 怪しい・・・。


 弟よ、お前は間違いなく兄に何かを隠している。


 俺のシックスセンスが、双子パワーがそう告げている!



「さあ、兄に全て吐くんだ!」


『断る!!』


「クソ~!お土産買ってこないぞ~?」


『ああ、それなんだけど、健太は八ツ橋苦手だから要らないぜ?それ以外の菓子がいいってさ。』


「ラジャ!」



 リサーチサンクス!


 危うく末弟との絆ポイントを失うところだっぜ!


 って、時計を見たら11時過ぎてる!?



「ヤバい!もう寝ないと!」


『朝は早いんだってな?』


「ああ、バスで東京駅まで移動して、駅から新幹線で京都に直行だ!だから明日の朝は早いんだ!」


『じゃあ、今夜はここまでにしとくか。俺もそろそろ眠いし。』


「ああ、また今度な!」


『おやすみ。』


「おやすみ。」



 そこで俺はPSを閉じた。


 さてと、寝坊しないようにさっさと寝よ♪





--------------------------


――冬弥サイド――


「ああは言ったけど、まだそんなに眠くないんだよな♪」



 白狼に転生してから俺の体は疲れにくくなった。


 人並みの睡眠は必要だけど、夜は無償に外に出て走りたくなる時がある。


 そういう時は兄貴と一緒に深夜の散歩をしているけど、今夜は1人だ。


 俺はこっそりと抜け出そうとした。


 と、そこで俺は机の上に置きっぱなしにしていた物に気付いた。



「おっと!入れ忘れてた!」



 明日はこれを忘れたら、あの暑苦しい体育教師の説教を聞かされてたな。


 ちゃんと仕舞っておこう。



「俺も明日は早いし、今夜は軽めの散歩にしとくか。」



 俺は窓から外に出ると、屋根を軽く蹴って跳んだ。


 人の目には触れないよう魔法で姿を隠し、人化を解除した。


 全身に秋の夜風が気持ち良く当たる。


 なんだか日に日に野生化している気がするがきっと気のせいだ。



『けど、やっぱ・・・』



 やっぱり、1人で散歩するのは何か物足りないな。


 隣に・・・って、俺はブラコンじゃねえ!


 けど、時々兄貴が居る時でも何かが足りない感じがするんだよな。



『・・・あ。』



 ふと、あの顔が頭をよぎった。


 俺が一度死んだ時、そしてその翌日の2回だけ見た顔、俺や兄貴に似た面影がある“あの神”の顔だ。


 あの神は自分は他人だと、関係がないと言っていたが俺はまだ納得できずにいた。


 兄貴はどうなんだろう。


 いや、兄貴の場合はそれだけじゃないな。


 兄貴の今の家族は血のつながらない家族だ。


 毎日の会話からだとまだ話していないのは分かる。


 父さん達も、近いうちに兄貴の家に顔を出そうと考えているけど、それはまだ待って欲しいというのが本心だ。


 せめて、兄貴の覚悟が決まるまでは・・・。



『あ~!なんだか頭が無茶苦茶になりそうだ~!』



 もう散歩している気分じゃねえ!


 今夜はもう帰って寝よ!



『・・・・・・と!』



 Uターンしたところで足を止める。


 神ならどうせ今も高いところから見てるんだろ?


 それに、加護を与えた神には行動が筒抜けだって聞いてるんだ。


 だから、今夜のもやもやした感情をあんたにぶつけてやる!


 嫌みも込めてだ!



『そっちに引き隠ってないで、偶には顔くらい見せろよ!父さん(・・・)!!』



 フウ・・・。


 正直恥ずかしかったけど、言ってやったぜ!



『帰ろ~と♪』



 少しはスッキリしたし、今夜はグッスリ眠れそうだ。


 明日は俺も修学旅行(・・・・)だからな♪


 ハードルは高いけど、兄貴より先に恋のフラグを立ててやるぜ!





--------------------------


――???――


『・・・・・・。』



 神域の一角で、ホロケウカムイは俯いたまま一滴の涙をこぼしていた。


 数百年、いや数千年、もう決して耳にする事は無いだろうと思っていた言葉を聞き、その堅い心の一部が解けだしていたのだ。



――――――父様!


――――――父上!


――――――親父!



 頭の奥深くから浮かび上がる懐かしい記憶、今はもう逢うことのできない掛け替えのない者達との記憶だった。


 神と人、違う時を生きる故に生まれる悲しみ、もう乗り越えたと、過去の事だと割り切っていた。


 そのつもりだった。





「やはりお前の息子だな。あの2人は。」





 そこへ1人の男が現れた。



『・・・キムン。』


「ホロケウ、これは神としてではなく親友としてお前に言っておく。永遠に後悔する前に、息子と向き合って来い(・・・・・・・)!」


『それはでき―――――』


「京都にインドラとシヴァが現れるそうだ。」


『――――ッ!!』


「天の方もその話で混乱し始めているようだ。おそらくは、奴らが操っているのだろう。奴らの《盟主》の力なら容易にできるからな。ホロケウ、このままだとお前の息子達は死ぬぞ?」


『・・・・・・。』


「形など、神には些細な問題だろう。なにせ、スカンダ(・・・・)という立派な前例もあるのだからな。」


『――――――――。』



 沈黙を続けた後、ホロケウカムイはある1つの決断をする。


 そしてその決断が後の争乱の行方を大きく左右させることになる。









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