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第252話 とある日のライ

・今回の話は…不快に思う人がいるかもしれません。ですのでご注意ください。

・正直に言います。難産でした。


――《ガーデン》――


 その日、勇吾は幾つもの書類を前に頭を抱えていた。



「はあ・・・・・・。」


「どうしたどうした?溜息ばっか吐いていると、幸せに逃げられるぞ!」



 元気の無い契約者を元気付けようと、ライが背中をポンポンと叩く。



「・・・大半はお前のせいだ。」


「え?」



 勇吾はギロッとライを睨んだ。


 僅かに殺気も混ざっている。



「この書類の山の半数以上はお前が起こした面倒事に関する内容ばかりだ。主に、お前とすれ違っただけで身内がオメデタ(・・・・)になったといった内容ばかりだ。他には勝手に余所の縄張りで天罰のバーゲンセールを行ったとか、建御雷達と一緒に氏子の店を潰しかけたとかだ。契約者の俺の下にもたくさんの被害届が来ている。」


「アチャ~!」


「アチャ~!じゃないだろ!!」



 勇吾は布都御魂剣でライの側頭部を殴った。


 素戔嗚尊と並ぶ日本最強の軍神縁の神剣で殴られ、腐っても神のライは床を転がりながら本気で痛がった。



「タタタタタタタタッ!!痛いプレイが好きなのかよ!?え、もしかしてそっちに目覚めたのか?」


「――――ヤレ、布都御魂(・・・・)。」



 勇吾が布都御魂剣を手から離すと、布都御魂剣は勝手に動いて(・・・・・・)ライへの追撃を開始した。



「わああああああああ!!だってしょうがないじゃん!!俺だって神様なんよ!?神様っていうのは本人の意思に関係なく“神格”が追加されちゃったりするんだZE!!サクヤちゃんだって、気が付いたら火と水の相反する神格ゲットしちゃってるんだぜ?俺だって同じだよ!バカ神夫婦と同じ神社に祭られているだけで夫婦円満、子宝沢山、超安産の神格が追加されちゃったんだよ!!しかもパッシブ権能付きで!!」


「その後は確信犯だっろ。」


「・・・・・・。」


「ヤレ!!」



 その後、《ガーデン》上空を1柱の神が飛んでいくのを多くの住民が目撃した。


 勇吾は再度溜息を吐きつつ、溜まっている仕事を片付けていった。






--------------------------


――ライサイド――


 いやあ、マジで痛い目に遭っちまったZE!


 布都御魂もノリノリで場外ホームラン狙ってくるし、あいつらの攻めっぷりもだんだん磨きがかってきてるよな♪



「さてと、今日は《ガーデン》とかを散策していくかな?」



 ここもこの2ケ月で大分開発が進んでいったな。


 リンク・ワールドの世界政府加盟国や、冒険者ギルドなどの中立組織が地球進出の拠点として利用し始めてからというもの、町の数が一気に増えていった。


 まあ、地球側の住民も先日の一件で更に増えたな。



『グオオオオォォォォォォ!!』



 お?


 噂をすれば早速新住民発見!



『――――五感をもっとコントロールしろ!』


『―――――痛ッ!』



 グリフォンと狼達の大バトル…じゃなく、訓練のようだな?


 グリフォンはアルントで、狼の方は新住民で大口真神の末裔の河西兄弟だったか。


 先日解決したばかりの事件で最初に保護された被害者、弟の方は蒼空と同級生だった縁もあり、今は2人とも蒼空と仮契約をしている。



「――――よう!」


「ライか。また今日も怒られたようだな?」



 休憩に入ったところを見計らって話しかけみたら冷ややかな目で見られた。


 …何で?


「なあなあ、何でそんな目で見るんだよ?」


「・・・・・・仮にも神なのに分からないのか?」


「?」


「はあ・・・。」


「だからなんだよ?」



 知らない内にまた(・・)問題を起こしてしまったのか?


 俺の起こすトラブルと云ったら、やっぱ天罰系かエロ系?


 あ、まさか・・・!



「蒼空、まさかその歳でDT卒・・・」


「『違う!!!!』」


「グハッ!!」



 容赦なく地面とキスされてしまった。


 そういえば、蒼空は前世では卒業したのか?



「下世話だ!!」



 100Gをくらった。


 神の心読むなよ。



「・・・結局、何が気に入らないんだ?」


「…ライ、お前は毎日何処をほっつき歩いてるんだ?」


「は?」


『…その様子だと、本当に知らないみたいだな。』



 アルントまで・・・だから何なんだ?



「今回の被害者の一部を俺が診たのは知ってるだろ?」


「ああ、ギルドから報酬をたんまり貰ったんだよな。あくまでお前は無所属だからな。」



 そう、蒼空は何度も勇吾達に協力をしているが立場はあくまで中立に近い。


 冒険者ギルドに登録はしているが、それはあくまで現世での身分の取得が目的だからランクは未だに最低ランクのまま変わっていない。


 今回の件でも、本来なら召集されない筈だが、蒼空の能力を把握していたギルド側は特例として協力を要請していた。


 勿論、かなり高めの報酬をつけてだ♪



「未知の薬物を使ったケースだったから徹底的に検査したんだが、被害者の中でも…いや、何と言えばいいのか、女性被害者の中でも……」


「セッ〇スした人?」


『ハッキリ言うな!』



 いや~、それしか思いつかないだろ。


 ん?


 何か河西(兄)が顔を真っ赤に染めて――――おいおい、まさか―――――。



「ライ、お前の権能は人間以外(・・・・)にも有効だったとはな。俺も想定外だった。だがな、何故こうもタイミング悪くお前は被害者の大半とスルーしてるんだ!?」


「・・・もしかしなくても、かなりマズイ?自殺未遂が発生しているとか?」


「・・・いや、それは・・・まあ、なあ?」


『・・・・・・。』



 ここで河西(兄)の方を見る蒼空。


 当の河西(兄)は全身の毛が真っ赤になるほど羞恥心に襲われている。


 ここから先は直接訊くのは無理っぽいか?


 しょうがない、後は神スキルで調べるか。


【―――調査中だよ♡―――】


 ――――調査終了。


 うわあ、バッドエンドじゃないけどこれは・・・。


 確かに真っ赤になるよな。



「――――龍族を始め、アルントのように一般的に人語を話せる聖獣や幻獣に分類される種族は――相手が人間の場合を除いて――繁殖力能力が低い。だがその分、妊娠時の母体は特殊な魔力の結界(に似た障壁)によって守られている為に流産等のリスクは極めて低く、母体が死なない限りほぼ例外なく安産となる。つまり、妊娠した場合は中絶は絶対不可能だ。」


「そうだな、実際に、俺が生まれるまでに親父達はかなりの回数をヤッたらしいからな。銀洸のとこみたいに、短期間で何人も子供が生まれるケースの方が少ないな。」


『俺の氏族でも、若い連中の中にはそれを理由に遊びまくって責任を取らされる羽目になるバカがいるがな。だが、今回の場合は―――――』



 と、アルントはそこで言葉を切った。


 直後、街がある方角からドドドと大きな足音を立てながら近づいてくる者がいた。


 あ、この感じって・・・



『カズく~~~ん♡』


『わあああああああああ!!!』



 全身にピンクのオーラを纏った雌狼が河西兄に向かってストライクした。


 そしてそのままスキンシップって、何だあれ・・・って、今までの話の流れからして決まってるよな。



「――――幸か不幸か、今回の大罪獣化は同系統内では意識がリンクしていて互いの精神が赤裸々に通じあっていた。そのせいか、まだ会って数日の者同士の中でも強い絆が生まれたり、あのように恋心が生まれたりしていて、女性被害者の多くはあっさりと現状を受け入れていて、中には大喜びしている者もいたくらいだ。」


「へ、へえ・・・。」


「もうどちらも人間ではないから人間の枠に嵌める気はないが、それでもまだ心配な点があるからこうして心身を鍛えている訳だ。それと、勘違いしているかもしれないが、一秀の()を…いや、アイツに惚れているのは彼女だけじゃない。」


「え?」


『おい、また来たぞ。』



 すると、アルントはドン引きな顔をしながら街の方に視線を向けた。


 そこには、人化した者を含め、大勢の女子がピンクを纏って河西(兄)に突撃しようとしていた。



「・・・大罪獣化中は半ば暴走して本能のままにヤッていたようだからな。その結果、ああなった。」


「ハ~レム~!」



 これって、災い転じて福か?


 あの歳で奥さんが沢山できてやがる。


 人間的には「爆発しろ!」、「性犯罪者」だが、人間じゃないからセーフか?



「家族は知ってるのか?」


「日が経ってないからまだだが、一月後には気付くだろう。人間と聖獣では生まれるまでの期間は違うからな。」



 ハーフとかだと違うけどな。


 今回の場合だと、あと半年以内か。


 あの歳でビックダディって、現代では有り得ないよな?



「・・・ん?気のせいか?年上の女が多くないか?」



 よく見ると、河西(兄)に群れてるのは彼より年上が多い。


 そうか、そっち系だったのか。


 うんうん、ロリじゃないからセーフだな!


 俺、納得!



「『バカ。』」


「ヒデエ!?」



 だから心読むな!


 え?顔に出てたって?



「――――で、ちゃんと責任とらせる意味も込めて鍛え直してるってとこか。今回の事件、内容が内容だけに真実を表沙汰には出来ないからな。そういえば、横浜の警察に顔の利く刑事がいるんだってな?」


「ああ、カースの事件とフェランの事件、2つの事件で関わった縁で無茶を通してもらっている。向こうも、無闇に真実を明らかにする事の意味を理解しているからな。正直助かっている。」



 この事件は、この世界の人間には荷が重すぎるからな。


 真実を話しても中途半端にしか聴かず、バカな行動に出る輩が出てくるのは目に見えている。


 まあ、アメリカの方はあの大魔王がガッチリ牛耳ってるから大丈夫そうだが。



「そうか。じゃあ、こっちでもそれなりにフォローしとくさ。元凶(・・)の一端としてな♪」


「当たり前だ。それと、その面倒な権能をどうにか制御しておけ!」


「努力するさ。じゃあな。あ、ちゃんと責任取れよ~~~♪」



 俺は手を振ってその場を後にした。


 それにしても、人の姿だとイラッとくるけど、狼の姿でハーレムって生々しいよな?


 さてと、取り敢えずこの件に関しては保護者の皆さん(・・・・・・・)にも報告しておくか♪





--------------------------

43、名前:天神雷鳥(日本)

 そう言う訳で、ハーレム婚になるから式には参加してネwww


44、名前:名無しの真神

 こんなところで話すな!!!!

 (#`Д´)ノ


45、名前:ポルテ・チノ(モンゴル)

 ヽ(〃・ω・)ノ☆゜’・:*☆オメデト~♪


46、名前:アポロン(ギリシャ)

 日に日にカオスになってきてるな…。

78、名前:国之常立(日本)

 帰ってきたら分かっているな?


79、名前:天神雷鳥(日本)

 ガクガクブルブル((;゜Д゜))


80、名前:シャマシュ(メソポタミア)

 ―――自業自得。






・常時トラブルメーカーのライでした。


・次回から新章突入です。


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