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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第12-4章 大罪獣編Ⅳ――決着――
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第248話 後日談


 その後のあらましを話そう。


 ファルコの戦いの翌朝、日本を始め近隣諸国では原因不明の気象現象の話題で騒然としていた。


 アメリカと違って滅多に発生し無い筈の竜巻が同時に各地で発生し、その被害総額は各国の官僚達が悲鳴を上げるものだった。


 幸い、この気象現象による死者は確認されていないが、それでも交通事故や家屋の損壊等による重傷者は多く出ていた。


 特に日本と違って軍事力に力を注いでいる国では、ピンポイントで軍事施設で巨大竜巻が発生して多大な被害を齎していた。


 しかも、中には国民にも極秘の施設が竜巻で露になり、世界各国の注目の的となっていた。


 皮肉にも、そのお蔭で世界の目が真実から注意を逸らさせていた。



 ネット上では昨夜の《大罪獣》の目撃情報等が一部で話題になっていたが、どっかのバカ(・・・・・・)どもがネス湖のネッシーやヒマラヤのイエティのように「発見!!リアルオリエンタルドラゴン!!」と銘打って、別のネタをバラ撒いてネット上の野次馬を惹き付け、その隙に《大罪獣》に関する情報を消していった。



 《大罪獣》にされていた被害者達に関しても話そう。


 ファルコ達から渡された“薬”を飲んだ者達は例外なく人間をやめ、龍族などを始めとした聖獣に転化していたが、元よりファルコ達の人選が的確だったこともあり、彼らは冷静に現実を受け止めてくれている。


 中には変なテンションになってバカ共と盛り上がり、剛則に容赦なくツッコみを入れられたりもしているが・・・。


 感染によって大罪獣化した被害者に関しては、意外にも人間を辞めていない者が多くいた。


 専門家(・・・)の話によれば、元よりあの“薬”は服用者の遺伝子内に存在する因子に作用するもので、それは感染者でも基本的には同じらしく、因子を持たないか、作用させられないほど因子が薄く感染初期に救出された者には《大罪獣》になる以外の影響はなく人間のままだった。


 それと、パズズが使役していた飛蝗型大罪獣にされていた被害者は全員人間のままだった。


 これは感染源、つまり“核”だった上野暁がパズズと分離し浄化された事で転化の作用を失ったのではないかと言われている。


 だが、それでも数千人の少年少女が今回の事件で人間でなくなってしまい、今後も綿密なケアが必要となっている。


 尚、被害者家族には色々誤魔化したり、ごく一部では本人の意思を尊重して真実を告知したりもしているが、それは慎重にやっているのでまだ数人だけである。


 被害者の中には捜索願が出ていた人物もそれなりに多くいたが、表向きには家出や無断外泊で通す予定

だ。


 最も、被害者の大半の家族は子供に無関心だったり、お国事情で戸籍の存在しない等の理由で捜索願自体出していなかった。


 いや、そういう者達だからこそ狙われたのかもしれない。


 俺達もできる限り彼らに協力するが、最終的に決めるのは本人達次第だ。




 他にも色々あるが、最後に琥太郎と上野暁に関し、彼らにとって予想外の出来事があった。


 あの日の翌日の午後、警視庁桜ヶ丘西警察署にファルコ=バルトが出頭、7月の惨殺事件と上野夫妻殺害事件の犯人として自首した。


 さらに、25年前に起きた奴自身の復讐に関しても自供し、ファルコは殺人の容疑で逮捕された。


 警察に出頭する直前、ファルコは真実の全てを2人の前で話した。


 アンドラスが起こした事件、あれはやはりファルコがアンドラスに指示を出して起こしたものであり、上野暁の一件も、陰でファルコが『支配者之腕輪(ルーラー・ギア)』を使用し、パズズを通して彼を操作し行った事であり、彼自身の意志は微塵も関係していなかったらしい。


 それでも2人の気持ちが解決する訳ではなかったが、少しは重荷から解放されたかもしれない。


 この事実をどう受け止めるかは彼ら次第だ。


 尚、多少の証言や証拠に関する食い違いはファルコの技量で誤魔化す予定となっている。


 予定では、何らかの形で日本から、いや、この世界の表から死んだ後、凱龍王国のある『異界と繋がる場所(リンクワールド)』に護送され、再度裁判を受ける事になっている。


 その為、組織からの暗殺を防ぐ為にもファルコの周囲には厳重な警備が敷かれている。





 問題はまだ山積みだが、取り敢えず今回の《大罪獣》関係の事件はこれで一先ず幕を下ろす事になる。







 大罪獣編 完



 これで大罪獣編は終わりです。

 次章はしばらく間を開けてから開始したいと思います。


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