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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第12-4章 大罪獣編Ⅳ――決着――
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第244話 VSファルコ=バルト&パズズ&アンズー⑤

――勇吾サイド――


 ファルコの全身から大量の魔力が放出され、空に向かって挙げている奴の掌の目上に集まっていった。


 これは属性融合!!



「《七属性融合》!!」



 なんて力だ・・・!


 数字にしたら300万は越える魔力があの奴の上の塊に込められている。


 あれが爆発すれば、東京どころか下手をすれば日本全土に被害を及ぼすぞ!!



「―――パズズ!!」


「なっ!」


『グオオオオオオオ!!貴様ああああああ!!』



 先程から八咫烏と戦っていたパズズが絶叫を上げながらファルコの元へと向かってくる。


 今気付いたが、パズズも何か危ない術を使っているようだ。


 あれは属性融合だけじゃない!もっと危険な何かだ!


 まさか、あの高密度エネルギーをパズズに譲渡させるのか。



〈勇吾!奴は捨て身に出るつもりだ!パズズが発動させようとしている術は、おそらく天変地異を起こすもの。それも最低でも日本全土を巻き込む規模のものだろう。そこにファルコ=バルトのあの力が加われば、最悪、地球全土を巻き込むほどの前代未聞の大災害が起きかねない!!〉


「―――――させるか!!《疾風迅雷》!!」



 俺はファルコとパズズを近付けまいと2人の間へと移動する。


 だが次の瞬間、俺はファルコの顔が笑ったのを目にした。



「接近が必要だと思ったか?」


「!?」



 直後、ファルコの右手の上に会った魔力の塊がフッと消失した。



「俺はの『魂の武装』は、支配下の者と力を共有(・・・・・・・・・・)できるんだよ、少年!」


「しまっ・・・!」


「《幾千の暴風(サウザンドブラスト)》!!」



 良則の使う《閃拳》の風属性バージョンと云うべき攻撃が俺達に襲い掛かってくる。


 パズズに接近しようとしたのは、俺達の方から奴に接近させる為の罠か!


 しかも支配下にある者と力を共有できるという事は、奴はパズズの捨て身の力を、パズズはファルコの《七属性融合》の力を同時に受け取ったってことになる。



『グオオオオオオオオオ!!《天地を破壊する大災厄(ダークテンペストディザスター)》!!』



 予想通りか!!


 パズズは半ば半狂乱に近い状態のまま、空に向かって膨大なエネルギーを打ち上げた。



「さあ、最終ラウンドといこうか、少年!!」



 そしてファルコは、背中から3対6枚の翼を広げて宣言した。


 数秒後、俺達に日本では有り得ない程の暴風雨が襲い掛かってきた。





--------------------------


――慎哉サイド――



「『――――今よ(です)!!』」


『グアアアアアアアアアアアアアアア!!』


『《神狼之氷爪撃(ディバインウルフネイルストローク)》!!』


「うおおおおおおおおおお!!」



 リサとゼフィーラがポノスを魔法で拘束しているところを、俺と冬弥は持てる力の全てを出してポノスに止めの一撃を与えた。


 同時に“核”も抜き取った!


 必殺技の技名を叫ぶ余裕も無かったぜ!



『グアアアアアア・・・・・・ぁぁ・・・・・・・・・』



 “核”を失ったポノスは他の《大罪獣》と同じように消滅していった。


 はあ、どうにか勝てた・・・しんど~。



「どうにか勝てたわね?」


「あぁ・・・2人が来てくれなかったらマジで危なかった・・・。凄い魔法だったな?」


『そうそう、あれって《攻撃魔法》なのか?』


「違うわ、あれは《防御魔法》を応用して相手の身動きを封じたのよ。私って《防御魔法》はチートレベルだから。」



 俺達は途中から参戦したリサとゼフィーラの元に集まった。


 あ~しんどい。


 今夜は早く帰って眠りたい・・・。



『他の皆さんの戦況はどうなって・・・これは!?』


「どうしたの、ゼフィーラ?って、、え!?」


『何だありゃ!?』



 俺以外の全員が空を見上げて声を上げた。


 直後、バケツを引っ繰り返したかのような豪雨が襲い掛かってきた。



「うわああああああ!?何じゃこりゃあ~~~!!」


『何だよこの雨!?って、風ぇ!!??』


「まさか、竜巻!?」



 雨だけじゃなかった。


 車も吹き飛ぶかのような暴風や雷、さらには竜巻みたいなものまで発生しやがった!


 何が起きてるんだ!?





--------------------------


――トレンツサイド――


 俺とアルバス、そして瑛介の3人は苦戦の末に悪神ザリチュを倒した。


 危なかったな~、危うく信州の山々が全部禿山になるところだった。



『――――――何だ、この嫌な風は・・・?』


『自然の風じゃないな?』



 俺達はとある山の頂で一息ついていると、南東の方角から不吉な雲が急速に迫ってくるのが見えた。


 飛龍氏族は風に敏感なせいか、アルバスと瑛介は逸早く気付いていた。



『あの雲、かなり強い魔力を含んでるな。放置すると不味い事になるぞ!』



 どうやら、俺達の仕事はまだ残ってるみたいだな。





--------------------------


――蒼空サイド――


 全く、どうしても『蛇』の連中は俺を不眠症にしたいようだ。


 悪神を圧殺したと思ったら、今度は巨大ハリケーンとはな。



「――――大方、これは例のパズズの仕業といったところか。」


『お前はどうするんだ?』


「さあな。どの道、今更加勢に向かっても遅いだろうし、精々この迷惑な天災の被害を抑える事に専念するさ。」



 あ、そういえば龍星、また部屋の窓を開けっ放しにしてるんじゃないだろうな。


 早めに片付けて帰るとするか。





--------------------------


――琥太郎サイド――


「・・・堕天使?」



 風の障壁を張って暴風雨から身を護りながら、僕はファルコの姿に目を奪われていた。


 6枚の翼を背中から生やした姿はまるで堕天使だった。


 『幻魔師(カース)』と同じなのかと思ってステータスを確認したけど魔力が半分以下になっていた事と、精神負荷が“小”から“中”に変わっていた以外は何も変わっていなかった。



「琥太郎!」


「暁!」



 そこに暁が飛んできた。


 後ろには大きな黒い烏が付いてきている。



『すまない。最後のところでしくじってしまった。』


「それは俺も同じだから気にしなくていいよ義兄さん。」


「兄さん?」



 暁にお兄さんはいなかったよね?



「あ!この()は――――――」



 暁は簡潔に事情説明をしてくれた。


 どうやらこの八咫烏の()は暁がお世話になっている人らしい。


 茜さんはお世話になっている家の御嬢さんで、謎の少年の方は一緒に修業している仲間の白亜くん。



『グオオオオオオオオオオオオ!!!』


「――――自己紹介はここまでみたいだぜ?」


「パズズは一体どうなって・・・それに―――――」


『琥太郎、無事か!』


「あ、夜鋼!!」



 そこに今度は夜鋼や晴翔達も集まってきた。


 軽く挨拶だけして、僕達は状況整理を始めた。



『――――パズズは半ば暴走状態、おそらく術者が意図的にそうしたんだろう。そして術者の男の姿は使役していた邪神と神獣の力を行使した際の副産物の可能性が高いな。』


『同感だ。あの男の翼の形状はパズズとアンズーのものと酷似している。一時的にではあるが、両者の嵐の神格を手に入れてみると見て間違いないだろう。』



 八咫烏の疾風さんと夜鋼は冷静に現状を分析した。


 ちなみに夜鋼は茜さんの治療を受けている。


 ファルコの方を見ると、勇吾と激戦を繰り広げていた。


 豪雨や雷の中をアニメみたいに高速移動しながら沢山の爆発を起こしている。



「僕達でパズズを倒す事は可能かな?」


『可能かどうかじゃなくて、やるんだよ!さっさと倒さないと五月蠅くて耐えられないからな!』


「お前、雷苦手だからな?」


『う、五月蠅い!!』


『コントをしている暇は無い。暴走状態のパズズを牽制しつつ、弱点となる属性で一気に討滅するしかない!』


「けど、俺の魔法はあまり通じなかったぞ?」


『嵐の神に雷魔法を使うからだろ?ステータスを確認したのかよ?奴に闇・雷・火はほとんど通じないんだよ!風に至っては無効化されるしな!』


「教えろよ!!」



 晴翔は翠龍を怒鳴っている。


 という事は、夜鋼は相性的に圧倒的に不利ってことになる。



『パズズの弱点となる属性は主に“光”、そして“水”と“氷”だろう。相手は砂漠の多い中東出身の邪神だからな。』


『ならば、私はファルコと戦っている勇吾の元へ加勢に入ろう。疾風殿は皆と共にパズズの討滅をお願いしたい。』


『それが妥当か――――――。いや、琥太郎と暁も一緒に行かせよう。』


「え?」


『義兄さん?』


『これ以上は時間が惜しい!犠牲者が出ない内に倒すぞ!』



 そして僕達は疾風さんの決定に従って二手に分かれた。


 僕は夜鋼と暁と一緒に勇吾の元へと向かった。






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