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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第12-4章 大罪獣編Ⅳ――決着――
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第241話 VSファルコ=バルト&パズズ&アンズー②

――勇吾サイド――


 しまった!


 パズズの奴、俺の《スローワールド》を無理矢理破りやがった!


 現実への被害をほぼゼロにする筈の魔法がこんなに呆気なく破られるとは・・・!



〈完全ではないとはいえ、相手は名高き邪神、人間1人の造った結界では長く保たないことは想定していただろ?〉



 頭の中に黒の声が響いてくる。


 その通りだ。


 俺はライ達と契約する際に神の力を何度も目の当たりにしている。


 だから今回も過信しているつもりはなかった。


 だが、それでも俺の厳しい見積もりよりも早く結界が破壊されてしまった。



「反省は後だ。今はアンズーの方を優先する!黒、今までの戦いから奴の力をどう見る?」

〈・・・6割か7割だな。使役している者の力に比例するように発揮できる力が変化しているのだろう。〉


「やはりそうか。」


〈理想的なのは殺さずに無力化することだろう。アンズーは怪物とも呼ばれているが、それは人型の神を崇拝する人間達が捏造した作り話だ。アンズーの一族は誇り高き神獣なのだ。〉


「ああ、アンズーも奴に無理矢理操られているのは明白だからな。俺も殺したくはない。」



 とは言ったものの、全力を出していなくてもアンズーは間違いなく強敵だ。


 あの速度に対抗した上で無力化するには、神龍武装化だけじゃまだ心許ないな。


 それなら・・・



「――――ライ!」




--------------------------


――琥太郎サイド――


 パズズの怒りはまだ収まる兆しを見せなかった。



『小僧!!よくも我を―――――――』


「黙ってろ!」


『――――――グッ!おの・・・れ・・・!!』



 パズズはファルコを殺そうとしたけど、ファルコが右手で何かの動作をした途端に苦しみだした。


 まるで心臓を握り締められているみたいだ。



「意識は解放したが、行動はまだ俺が支配している。大人しく従ってらうぞ、神様?」


『神を愚弄するか・・・!』



 パズズは憎悪に染まった目でファルコを睨んでいる。


 本当は今すぐにでもファルコを殺したいけど殺せなくて悔しそうだ。


 あ、ファルコの方もなんだか様子がおかしい気がする。


 気のせいかもしれないけど、冷や汗をかいているように見える。



『嘗めるなよ小僧!!貴様だけを狙えないのなら、全てまとめて消すまでだ!!』



 そう叫んだ途端、僕達にまた熱風が襲いかかってたきた。



『《灼熱と破壊の嵐(デストラクションヒートストーム)》!!』



 炎じゃないのに全身が焼けるような、台風の何倍も強い暴風が襲いかかってきた。



「熱ぃ!!」


『クッ!!』



 僕はとっさに自分の周囲を別の風を使って防御を囲んだ。


 晴翔達も魔法で防御するけど完全には防げないようだ。


 多分、この暴風は風属性だけじゃなく、火属性も混ざっているんだ。


 勇吾達が使う、属性融合と同じかもしれない。



「・・・その程度か?」



 だけどファルコにはダメージがないみたいだった。



「風で俺は殺せないよ、神様?とりあえず、お前は適当に暴れていろ。俺は俺で奴らを片付けさせてもらう。なあ、少年?」


「「――――――!!」」



 ファルコの視線が僕達に向けられた。


 その直後、ファルコを背後から夜鋼が襲い掛かった。



「フン、《光の鎧球(ライトスフィア)》!」


『グッ――――!?』


「夜鋼!!」



 だけど、ファルコは自分の周りを白い光の球体で包み、球体に触れた夜鋼を火傷を負ったような苦痛の声を上げてファルコから離れた。


 多分、攻撃力を持ったバリアみたいな魔法なんだろう。



「夜鋼、大丈夫!?」


『・・・問題ない。だが、あの防壁は厄介だ。おそらく、闇属性を持つ者が触れるとそれだけでダメージを与えるのだろう。』


「この嵐の中、仲間の心配とは余裕だな、少年?」


「!?」



 ファルコが僕に視線を向けながら声を掛けてきた。



「少年、君も飼い猫と一緒に散れ!《穿つ光雨(レイ・レイン)》!!」


『琥太郎!!』


『―――《水鏡壁》!!』



 数百発、いや千発以上のレーザーが一斉に降ってきた。


 パズズの暴風や竜巻のせいで思うように動けない僕を庇うように夜鋼が前に立ち、同時に横にいた翠龍が僕や晴翔を護るように水の壁を作った。


 最初のレーザーが水の壁に当たった途端、視界一杯を閃光が埋め尽くして同時に爆音が耳の奥まで響いた。



   ドドドドドドドド・・・・・・!!!!



 1秒と待たずに残るレーザーが一斉に降り注ぎ、翠龍の水壁は一瞬で蒸発して消えてしまった。


 そして、トラックに激突するような衝撃が僕達に襲い掛かった。



「うわあああああああ!!!」


「わああああああああ!!!」



 僕達は全身に魔力を纏って即死は避けたけど、何度も続く爆発に吹き飛ばされ熱風が荒れ狂う宙に放り出されてしまった。


 宙に放り出される瞬間、夜鋼の体がレーザーに貫かれるのが見えた。



「夜鋼ッ――――!!!」


『グオオオオオオオ!!』


「!?」



 そこへ餌を狩るかのように鳥型の《大罪獣》が襲い掛かってきた。


 僕はどうにか爆風の衝撃や暴風に抵抗しながら宙を蹴って刀を振るう。



「《青嵐衝》!!」


『グオオオオオオオオオオ!!』



 やっぱり足場がしっかりしてないと上手く当てられない!


 《風術》でこの風をどうにかしようと思ってもパズズやファルコの力の方が強すぎて出来なかった。



『貴様も目障りだ、小僧!!』


「あ!?」



 真横にパズズが!?


 マズイ!今は《大罪獣》の方にしか手が回らないのに!


 僕は咄嗟に風で防御を張ったけど、パズズはそれを鼻で笑った。



『フン!そんなそよ風など無意味だ!《暗黒暴風砲(ダークゲイルブラスト)》!!』


「―――――――ッ!!」



 死――――――――。


 刹那、頭の中がこの一文字で埋め尽くされた。


 それは今まで生きてきた中で間違いなく一番強く感じた死に対する恐怖だった。


 なのに、僕は不思議と逃げだしたいとは思わなかった。


 何でだろう?


 目の前には巨大な黒い竜巻みたいなものが迫ってきているのに、それが凄く怖いと思っているのに、僕は無意識のうちに刀を横に向かって振るっていた。


 《大罪獣》がすぐそこにいたのに、振るったところで今の僕じゃ斬ることも逸らすこともできないとわかっているのに・・・。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



 気付かないうちに、喉が一瞬で嗄れるほどの大声を上げていた。


 そしてパズズの攻撃と激突する。


 一瞬だけ拮抗したけど、すぐに押し負けて黒い竜巻に飲み込まれた。


 そう思ったときだった。



「《轟雷大爆槍撃(ライトニングバーストランス)》!!」


『うおおおおおおおお!!』



 僕を飲み込もうとするパズズの黒い竜巻を、晴翔と翠龍の攻撃が激突して止めてくれた。


 晴翔の今まで見た事の無い位凄まじい雷撃と、翠龍の巨大なブレスは黒い竜巻を少しずつだけど押し返そうとしていた。



『――――《黒虎無限剣-昇天-》!!』



 さらに、地上から数千、数万の黒い剣が一斉に飛んで来てパズズに襲い掛かっていった。



「夜鋼!!」


『琥太郎、他の敵を忘れるな!!』



 全身血塗れになりながらも、夜鋼は僕を叱咤する。


 僕はすぐに他の敵、《大罪獣》やファルコを捜した。


 すると、遥か上空からファルコの声が聞こえてきた。



「――――《光華流星群(ライトメテオストリーム)》!」



 空から光る流れ星が降ってきた。


 これって、前に横浜で見た幻魔師の魔法に似ている?



「《加速(アクセラレート)》!!」



 僕は最大速度で襲い掛かってくる流れ星を避けながら上に飛んでいく。


 一か八か、僕の手でファルコを倒そうと思ったんだ。


 だけど、現実はそうは甘くなかった。



「―――――――やれ!」


『グオオオオオオオオオオ!!』



 流れ星を避けていく僕に、横からあの鳥型大罪獣が襲い掛かってきた。



「そんな、捨て身!?」


『グオオオオオオオオオ!!』



 このままこの中に突っ込んできたら流れ星が直撃してしまう!


 《大罪獣》の中には“核”にされた人がいるのに!


 ダメだ、間に合わない!



「――――どうする、少年?」



 空からファルコの冷ややかな声が聞こえてくる。


 この時は一瞬、命を弄んでいるのかと思っていた。


 そして、流れ星の1つが《大罪獣》に当たろうとした。



「――――なっ!?」



 ファルコが何かに驚いたかのような声を上げた。


 その直後、西の空から流れ星より速い複数の何かが飛んできた。



「え!?」



 それは金と白と赤、そして蒼の4つの光だった。




「《蒼天流星》!!」




 そして蒼い光が聞き覚えのある声を発しながら鳥型大罪獣を貫いた。






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