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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第12-4章 大罪獣編Ⅳ――決着――
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第240話 VSファルコ=バルト&パズズ&アンズー①

「――――勇吾!」


「ギリギリのところで間に合ったみたいだな?」



 邪神パズズの拳を長刀で受け止め(・・・・・・・)た勇吾は、ファルコのとは異なる涼しい笑顔を向けてきた。



『グォォォォォォォォォォォォォ!!』


「クッ!流石に並大抵のパワーじゃないか!?」



 だけどすぐに何時もの顔に戻り、力で押し勝とうとするパズズを押し返そうとしていた。



「あれ?ココって、もしかしなくても異空間の中?」


「ああ、さっきバカから結界の妨害をしていた敵を倒したって連絡がきたからな。あのバカコンビ、誰の目も届かない場所だと真面目(・・・)に働くからな。」


「そ、そうなんだ・・・。」



 そういえばファルコも同じ事を言ってたっけ?


 取り敢えず、これで街や一般人への被害の心配は一応無くなったってことかな?



「しかし、最後の1人が・・・1番厄介なのがここに現れるとはな。何か、因縁めいたものを感じるが、気のせいか?」


「あ!さっき、夜鋼があの人を“アンドラスの契約者”って言ってたけど・・・。」


「―――――!なるほど、そうか、そういうことか・・・!」



 勇吾は一瞬で何かを理解したみたいだ。


 夜鋼も勇吾も一体何に気付いたんだろう。


 ファルコがあの悪魔の契約者?


 でもあの時、アンドラスと契約したのは僕なんじゃ・・・!


 あ、でも確か“契約”って複数の相手と結べるとかって聞いたことがある。


 何だろう。


 もう少しで何かが分かりそうなんだけど・・・



「琥太郎!余所見をするな!!」


「え、うわっ!!」



 黒い風の刃が僕のすぐ横を通過していった。


 危なかった!


 ファルコの方に気を取られて注意が散漫になっていた。



『――――琥太郎、気になる事があるのだろうが、今は目の前の戦いに集中するんだ!』


「う、うん!」



 僕の横に着地した夜鋼が視線を敵に向けながら注意し、また跳んで怪鳥アンズーの方に向かっていった。


 周りを見ると、さっきまで空を周回していた他の《大罪獣》達も一斉に攻撃を再開している。


 あれ?


 パズズの雰囲気が前とはなんだか違う気がする・・・・・・。


 まるで意志の無い人形みたいだ。



『ギャオオオオオオオ!!』


「クッ!《疾風円輪斬》!!」



 だけど僕が今戦うべき相手は目の前の《大罪獣》だ。


 見た目は西洋龍・・・というより、瑛介と同じワイバーンに似ている。


 “核”にされている人は飛龍氏族の子孫なのかな?


 色々考えたくなるけど今は戦いに集中だ!



「《風裂斬》!!」


『ギャゴオオッ!?』



 風を刀身に圧縮して纏わせ、僕は目の前の《大罪獣》に斬りかかっていった。





--------------------------


――勇吾サイド――


 ファルコ=バルトとの戦闘が開始した直後、俺はすぐに奴のステータスを確認した。



【名前】『廃墟の闇露天商』ファルコ=バルト

【年齢】41  【種族】人間

【職業】露天商 工作員  【クラス】使役者

【属性】メイン:光 風 サブ:土 火 水 氷 闇

【魔力】5,988,000/6,170,000

【状態】興奮(中) 精神負荷(小)

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv1) 弓術(Lv3) 体術(Lv3) 隠形術(Lv3) 調合術(Lv4) 支配者之腕輪(ルーラー・ギア)

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv3) 風属性耐性(Lv3) 麻痺耐性(Lv2) 不老長寿 隷属者の反抗 神獣アンズーを強制隷属 邪神パズズを強制隷属



 どうやら洗脳系の力を持っているらしい。


 おそらくは奴の魂の武装(スピリットウェポン)の能力だろうが、流石に人の身で神獣と邪神を同時に使役するのはかなりの負担がかかっているようだ。


 そもそも、人間が神を支配するなど常軌を逸しているというのに。



「アンズー、《砂塵の突風(デザートブラスト)》!!パズズ、《黒蟲の嵐(バグズストーム)》!!」



 アンズーは口から砂嵐を吐き出し、パズズは黒いバッタの群を生み出して嵐のように放つ。


 態々口頭で指示を出しているという事は、思念での指揮は出来ない可能性があるな。


 そうでなければ、口頭で技の指示などどっかのバカでもない限りやりはしな・・・いや、技名を口に出している俺が言っても説得力が無いな。


 考えてみれば、俺も態々技名を叫ぶ必要は無かったはずだ。


 主にあのバカとか、今までの敵とかの影響で癖になっていたんだろう。


 今後は控え――――



「《黒耀波》!!」



 ・・・今は考えない事にしよう。


 俺の斬撃から放たれる黒い衝撃波がパズズとアンズーと攻撃と衝突し、爆発する。


 力を込めたとはいえ、相殺できたのは正直意外だ。


 アンズーは兎も角、《大罪獣》の体で復活したパズズは神本来の力を発揮できないようだ。


 更にファルコに洗脳されているから感情によるパワーの起伏もない。


 支配の代償としてパワーダウンしているのは明らかだ。



『――――ガァッ!!』


『グゴア―――ッ!?』



 と、横から夜鋼が跳んで来てパズズに噛み付いた。


 ただ噛み付いただけじゃない。


 夜鋼が噛み付いた直後、パズズの体から魔力が外に放出し始めた。



「――――チッ!《ライトレイ》!!」



 ファルコは夜鋼をパズズから引き離そうとレーザーを放つ。


 だが、夜鋼は闇を操って盾を形成しレーザーを防いでいく。



『グゴアアアアアアア!!』



 レーザーを防いでいる間もパズズは悲鳴を上げながら魔力を失っていく。


 パズズの体外に放出された魔力は熱風に変わって異空間内を吹き荒れていき、まるで真昼の砂漠にいるかのような熱気に襲われた。


 あの技、あれは風虎族固有の技の1つ、《風牙魔砕衝》だな。


 対象に噛み付き、対象の体内に流れる魔力を急激に体外へ放出させる技だ。



「チッ!意識まで完全に奪うとこのザマか!仕方ない。少しだけ自由にさせるか。アンズーは奴の相手をしろ!」



 軽く舌打ちしたファルコは、右腕に付けた腕輪を掲げながら同時にアンズーに指示を出した。


 俺は獰猛に襲いかかるアンズーと一進一退の空中戦を繰り広げていった。


 操られているせいでパワーダウンしているとはいえ、アンズーの強さは半端ではなかった。


 口から出る土色の光線に当たった物は岩も木も鉄も関係なく泥になって崩れていく。


 そして両翼から放たれる砂嵐や硬化させた羽根の弾丸など、アンズーは遠距離攻撃に特化しているようだ。



『グオオオオオオオオ!!』


「《風祓い-螺旋-》!!」



 砂嵐を刀で打ち返す様に弾き返す。


 弾き返された砂嵐は渦を巻きながらアンズーに直撃した・・・と思ったが避けられた。


 さすがに回避が速いな。


 俺がアンズーの回避能力に感心していた時だった。


 アンズーの後方に巨大な竜巻が発生した。



『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!人間の分際で!!よくも!!よくも!!よくもぉぉぉぉ!!神である我に屈辱を味あわせてくれたなああああ!!』



 そこにはブチギレしたパズズがドス黒いオーラを爆発させていた。





--------------------------


――琥太郎サイド――


 圧倒的な怒りだった。


 飛龍型の《大罪獣》を倒した僕の目の前で、今まで人形みたいだったパズズが突然怒声を上げた。


 人間のそれとは全く質が違いすぎる怒りに、僕はただ圧倒されてしまう。



『人間に隷属されるなど、この上ない屈辱!!不遜の極みだぞ、人間どもがああああ!!』



 怒声が上がるとともに発生した竜巻は地形を容赦なく破壊していった。


 現実空間と同じ工事現場だったそこは、重機も鉄骨も何もかもが竜巻によって空に吸い上げられ、削られている最中の山は一気に原型を失っていった。



「神の・・・力・・!?」



 あの時よりもずっと強い!


 あの時のパズズも僕にとっては十二分に圧倒的だったけど、今のパズズはそれ以上に圧倒的だった。


 同じ神でもライやネレウス、それにジルニトラとはまるで異質な意味で圧倒的だ。


 今更だけど、僕達は本当に神と戦っているんだ。



『人間どもと人間に隷属するものども!!この我を辱めた代償がどれほどのものか思い知るがいい!!』



 竜巻が増えた!!


 それにパズズの両手にイヤな感じの魔力が集まっている。



『先ずはこの窮屈な檻を破壊してくれる!!《結界破壊(フィールドブレイク)》!!』



 直後、僕達を現実から隔離していたスローワールドが消滅した。






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