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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第3章 アンドラス編
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第21話 アンドラス

ようやく戦闘開始です。


「―――――《夜斬り》!!」

『チッ―――――――!』


 異空間を発生させたのと同時に勇吾はアンドラスに斬りかかった。


 アンドラスは剣で勇吾の剣を受け、そのまま剣劇を繰り返していった。



『――――――ッハ!とんだ乱入者だな――――?せっかくの楽しみが台無しだな―――――――!』


「アンドラス!お前はここで―――――――叩く!!」


『――――――――何!?』



 さっきよりも強い《夜斬り》をぶつけ、アンドラスを吹っ飛ばした。




--------------------------


 一方、《スローワールド》が発動した直後、慎哉達は呆然と立つ晴翔達の元にいた。


 黒王は激痛にのた打ち回る一樹の元へより、左手を腕の切断面に当てて魔法で止血し出血を止める。そして念力のように地面に落ちている一樹の腕を手元へと運んだ。



「治療する!琥太郎、此奴の体を抑えていろ!」


「わ、わかった――――――!」


「慎哉はそこの小僧達を護ってろ!」


「―――――了解!」



 未だ激痛に苦しむ一樹の体を琥太郎が抑え、黒王は切り落とされた腕の断面をくっつけて治療を行っていく。黒王の魔力に包まれた一樹の腕は傷口が光だし、み見る見るうちに繋がっていった。



「凄い―――――――!」


「――――――あくまで応急処置のレベルだ。神経も繋いだが、早めに医者に見せた方が賢明だな。」



 琥太郎は切断された腕をあっという間に繋げた光景に目を奪われた。


 腕が繋がって激痛も消えたのか、一樹は顔を汗だくにしつつも落ち着き始めた。苦痛で閉じた目を開け、次第に呼吸も落ち着かせていった。



「――――――――立花?」


「今はしゃべるな。傷に障る。」



 まるで状況の見えない一樹だったが、自分の腕が繋がっているのを確認すると黒王の言うとおり何もしゃべらなくなった。




--------------------------


 晴翔は混乱していた。


 突然目の前が真っ白になったと思ったら、剣を持った少年が化け物と戦い始め、知らない青年と何故か立花琥太郎が一樹の腕を治したのだ。



「た、立花・・・・・・。」


「――――――――――!」



 晴翔に呼びかけられ、琥太郎は顔を強ばらせて彼を見た。


 琥太郎にとって晴翔達は自分をイジメた張本人である。それが何でここにいて、しかも一樹を助けているのか晴翔達には幾ら考えても分からなかった。



「立花、これは一体・・・・・・。」


「ねえ!これどうなってるのよ!?」



 晴翔の言葉を遮ったのは後ろにいた友人の少女だった。彼女は琥太郎を睨みながら詰め寄り、彼に向かって怒鳴り散らした。



「あの化け物は何!?何で私達が殺されそうになるの!?あんた何か知ってんでしょ!?」


「そ、そうよ!話しなさいよ!!」


「そうだ!お、お前があの化け物に俺達を殺させようとしたんじゃないのか!?」


「―――――――ッ!それは―――――――!」



 琥太郎の反応は肯定とも、否定ともとれるものだった。少なくとも、晴翔にはそう映った。


 だが、彼以外は違っていた。



「やっぱり!なんて奴、同級生に対して最低よ!」


「マジかよ・・・・・!やっば屑だなお前!」



 自分達がした事を棚に上げ、彼らは琥太郎を罵り始めた。散々虐めてきた琥太郎は、彼らにとっていい不満のはけ口だった。


 それを見ていた黒王は、一樹を膝に乗せながら次第に表情を苛立たせていった。



「クソッ!何で俺らがこんな目に・・・・テメエが死――――――」


「黙れ。」


「「「―――――――――!!!???」」」



 たった一言、黒王が立った一言口に出した瞬間、彼らは沈黙した。


 怒鳴り声でもないその一言には彼らが今まで感じた事のないような、さっきまで感じていた恐怖にさえ勝る程の重み―――――――――重圧感があった。その親からも感じた事のない圧倒的な重圧に、彼らはただ黙りこむしかなかった。



「うおっ―――――――!黒、お前加減しなさすぎ!!」


「――――――――――悪ガキ共にはこれが丁度いい。」



 黒王の重圧を受けていない慎哉は変わらないノリで喋っていた。



「――――――――そこのガキ共、勘違いするな。あの悪魔はここにいる琥太郎に関係なくお前達を殺しに来ただけだ。逆に琥太郎は昨日から奴に命を狙われている。俺達は奴に狙われているお前達の居場所を琥太郎に接触し、ここまで案内をさせてもらっていただけだ。何も知らないとはいえ、自分の恐怖を紛らわせる為だけに彼に罵詈雑言を吐くなど、恥を知れ。」


「「「―――――――――――――――。」」」



 淡々と話す黒王の言葉に、彼の膝に乗せられた一樹も含め、十数人の少年少女達は硬直して聞くしかなかった。


 黒王は嘘は言っていない。彼の言うとおり、アンドラスは琥太郎と接触していようといなかろうと関係なくこの町の住人達、彼らを殺していた。そもそも、アンドラスが琥太郎と結んだと思われていた契約は正式なものではない口頭だけのものだった。


 これは慎哉と琥太郎自身は知らないが、悪魔との契約はそれなりの手順が必要であり、口頭だけでは正式に成り立たないのだ。これはアンドラスの常套手段であり、常に人間達に不和をばら撒く事を好む奴にとってはこれも契約(・・)なのである。何も知らない人ならこれだけで自分が悪魔と契約をしたと勘違いし、さっきの琥太郎のように周囲からも追い詰められて奴に殺されてしまうのである。




『――――――ハハハハ!余計な事を言ってくれるじゃないか!神龍――――――!!』




 頭上から狂った声が響いてくる。


 そこには勇吾と剣を交える悪魔の姿があった。



「――――――――アンドラス!」


『久しぶりの楽しみをここまで台無しにされるとは屈辱だ―――――――が、相手が大物ならむしろ嬉しい誤算だ!!貴様らのような壊し甲斐のある奴等はそうそういないからな!これで存分に(・・・)楽しめる―――――――!!』


「黒―――――――――!!!」



 次の瞬間、アンドラスから凄まじい魔力が放出された。




『ハハハハハ――――――!《破滅のの剣風(デストラクションゲイル)》!!』




「――――――――!!」



 アンドラスは魔力を自身の剣に集中させ、周囲一帯に向かって斬撃を放った。


 アンドラスの剣が降られた瞬間、黒い暴風が異空間全体を暴れまわった。








--------------------------


「――――――――――――え!?」



 琥太郎が目を開けると、彼の周りはドーム状の光に囲まれていた。周りを見渡すと、慎哉や晴翔、一樹達も同じ光の中にいた。



「――――ビビった~~~~!いきなり必殺技かよ!?」



 何が起きたのか分からない中、慎哉だけは余裕のある口調でぼやいていた。



「・・・・慎哉く、ん。これって――――――――――。」


「だから慎哉でいいって!これは多分、黒の防御魔法で、アンドラスの必殺技から護ってくれたみたいだぜ?」


「へえ―――――。」


「へ・・・・・・・魔法!?」


「―――???」



 慎哉の言葉に琥太郎以外はまるで意味が理解できずにいた。


 そして琥太郎は、さっきまで一樹のそばにいた黒王が何時の間にかいなくなっていることに気付いた。



「・・・・・黒が護ってくれなきゃ、木端微塵だったな・・・・・・。」



 別の方向を見ながら呟く慎哉を見た一同は、その方向を見る。彼らを包んでいたドーム状の光も次第に薄くなり、外の様子が見えるようになる。そこで彼らは絶句する事になる。



「「「―――――――――――――――――ッ!!??」」」



 そこには何もなかった。


 正確には瓦礫が周囲に散乱していたが、それしかなかった。



「ま・・・・・街が・・・・・・・!」



 そこはさっきまで彼らがいた路地裏ではなかった。両脇に建っていた沢山のビルはなくなっており、それどころか彼らの視界には建物らしい建物は残っていなかった。あるのは建物だった(・・・・・)物の瓦礫ばかりだった。


 その光景はテレビの映像で見るような地震やハリケーンなど、天災の直撃を受けた被災地そのものだった。いや、天災でもここまで何一つ残らないだろう。天災だけでなく、空爆の嵐でも受けたかのような光景が視界の先まで続いていた。



「イ、イヤアアア―――――――――――――――――!!!!」


「アアアアアア――――――――――――――――!!!!」



 少女の1人が悲鳴を上げる。周りにいた少年少女も同じように声を上げ、悪夢のような街の光景に絶望していた。


 その中で、慎哉だけはあんまり動揺する事もなく、絶叫する彼らを宥めていった。



「ああ―――――、言っとくけど、ここは魔法で本物そっくりに創った異空間で現実の世界じゃないから。だから現実にある本物の町は全然大丈夫だぜ?」


「――――――に、偽物なの!?」


「そっ!っていうか、勇吾の奴から聞いてない?」


「―――――――全然。」


「アチャ~~~~~~~!」



 慎哉の言葉に最初は琥太郎が落ち着き、他の少年少女も「現実じゃない?」と呟きながら落ち着いていった。



      ガキィン――――――――!!



「――――――上!?」



 剣がぶつかる音に、一同は空を見上げた。そこには異空間の街を破壊したアンドラスと勇吾が戦っている姿があった。勇吾もさっきの一撃を自力で防いだのか、迷うことなくアンドラスに斬りかかる。魔力が込められた2本の剣の衝突は衝撃を生み、アニメの効果映像みたいなものが見えていた。



『―――――――――派手にやってくれたものだ。』



 不意に何所からともなく声が背後から聞こえてきた。


 振り向くと、そこには壊される前のビルのように大きな黒いドラゴン、黒王が立っていた。



「「「ワァァァァァァァァ―――――――――――!!!」」」


『黙れ。』


「「「――――――――――――――!」」」



 黒王の龍の一声(・・・・)で黙る慎哉以外の一同。



「黒、防御サンキュ――――――!」


「礼は言わなくていい――――――――。それより、今は上の戦いに集中する事だ。」



 黒王は空を見上げ、そこで続けられる人と悪魔の剣戟戦に目を向けた。



「――――あの悪魔、どんだけ強いんだ?《ステータス》!!」



 偽物とは言え、街ひとつを一撃で壊滅させるアンドラスに呆れながらも、慎哉はアンドラスを見ながら奴のステータスを表示させた。



【名前】アンドラス

【年齢】4722  【種族】悪魔

【職業】貴族  【クラス】大侯爵

【属性】闇 風

【魔力】4,030,900/5,020,000

【状態】狂乱

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv4) 悪魔呪術(Lv3) 剣術(Lv3) 風術(Lv4) 闇術(Lv3) etc

【加護・補正】物理耐性(Lv4) 魔法耐性(Lv4) 精神耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv4) 風属性耐性(Lv4) 全状態異常耐性(Lv4) 魔獣の騎乗者 血に飢える者 惨殺者 天使ハンター ソロモンの悪魔 ???? 魔王の加護

【開示設定】???









黒王はクールに怖いです。ヒィ!!

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