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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第12-2章 大罪獣編Ⅱ――人を捨てた少年達――
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第219話 急変

――慎哉サイド――


 ん?


 なんだか急に空気が変わった・・・?


 あ、琥太郎が《ステータス》使ってる!



「なあ、なんか臭わないか?」



 俺の隣に座っていた冬弥が鼻を擦りながら話しかけてきた。


 臭い?


 そりゃ、場所が場所だし汗の臭いがするだろ?



「気付いたか?さすが白狼だな。鼻がよく利く。」


「一瞬だったけどな。」



 夜鋼と翆龍も・・・。


 どうしたんだ?



「それは魔力の臭い。それも、人間以外の魔力が放つ臭いだ。」


「え!?」


「あの対戦相手、人間ではないな。この臭い・・・『天鷲』か?」


「マジで!?」


「ホントかよ!」



 琥太郎の対戦相手が人間じゃない!?


 何だか急にキナ臭くなってきたな。


 というか夜鋼、気のせいか、顔が険しくなってきてないか?




--------------------------


――琥太郎サイド――


 強い!!


 開始直後の数秒間、たったの数秒間が何倍にも感じられた。


 相手は最初から全力で攻めて来た。



(―――――速い!!)



 竹刀の動きが明らかに高校生レベルのものじゃない!


 だけど今の僕なら受け流す事が出来るし、避ける事も出来る。



「―――――ッ!」



 相手の方から僅かに動揺が伝わってくる。


 きっと防がれたのが予想外だったんだろう。


 よし、ここから反撃だ!



「――――ハッ!!」


「―――――!?」



 僕も全力を出し、相手の面を狙うがギリギリでかわされた。


 その後も互いに激しく竹刀を交わしあい、時間も残り2分を経過しようとした時、僕は僅かに生まれた隙を見逃さなかった。



「―――――胴!!」



 審判が有効と認めまずは1本、後ろから歓声が聞こえた。


 一方、相手の方からは信じられないようなものを見るような視線ばかりが刺さってきた。


 彼らは確かに強い。


 けど、僕はもっと強い人達を沢山知っている。


 だからこそ、負ける気はしないし、負けたくない!




--------------------------


――???サイド――


(あの構え、似ているな・・・。)



 男は琥太郎の構えが、自分の記憶にあるものに類似した点があることに気付いた。



(どうやら、今回は相手が悪かったようだな。)



 琥太郎の技量を見極め、勝敗は決まったと確信する男。


 そして1分後、その確信が間違いでなかった事を証明するように審判の旗が結果を告げた。




--------------------------


――琥太郎サイド――


 フウ、最後のは冷や冷やしたけど、無事に2本目も決められた。


 あれ?


 何だか凄く盛り上がってない?



「凄い!凄かったぞ立花!!」


「後は俺に任せろ!!」



 先輩達も大興奮だ。


 ちょ、あんまり騒ぐと審判の人達に睨まれるよ!?


 そんな中、“彼”はどこか複雑そうな目で僕を見ていた。



「・・・どうしたの?」


「いや、いい勝負だった。」



 何だろう。


 凄く嫌な感じが増してきた気がする。


 一体、何があったんだろう・・・。


 周りが気になる中、大将戦が始まった。





--------------------------


――???サイド――


 イライラする。


 抑え込むのがやっとなほどのイラつきが俺の中で渦巻いている。


 アイツの、琥太郎の試合は素晴らしいものだった。


 俺の目から見ても高校生のレベルを逸脱しているほど高度な、まるで本物の斬り合いを見ているかのような迫力があった。


 なのに、俺はスゴク苛立っている。



――――それは『嫉妬』だ。



 称賛したいのに、素直にそれができない。



――――己を置いて先へ進もうとする者()に対する妬みだ。



 何故、こうなってしまったんだ。


 同じ場所に居るのに、俺達は互いに違う場所に立っている。


 何が俺達の間を隔ててしまったんだ。


 俺は変わった。


 変わったんだ。


 なのに何で、俺じゃなく別の奴が、散々汚い事をしていた屑どもが琥太郎(あいつ)の隣に立っているんだ。



――――ならば奪え。邪魔者は全て殺せ。



 元からそのつもりだ。


 屑どもは俺が裁く。


 俺の居場所を奪う奴は、全部潰す。




--------------------------


――夜鋼サイド――


 キナ臭さが濃くなってきたか。


 対戦校の5人もそうだが、会場(ここ)には他にも何かが潜んでいるようだ。



「なあ、次で勝負が決まるんだよな?」


「みたいだな。アイツが勝って2-2だから、次の大将戦で勝敗が決まるんだろ?」


「引き分けになったらどうなるんだ?」


「さあ?」



 彼らはまだ気づいていないようだ。


 無理もない。


 ここに潜んでいる“何か”は非常に上手くその存在は隠している。


 私も、先程琥太郎に“彼”の話を聞いていなければ必要以上に警戒せず、それ以外の“存在”には気付かなかっただろう。



「お!大将戦始まったぜ!」



 そして大将戦が始まる。


 現時点での実力(・・・・・・・)で言えば対戦校側の剣士の方が上だろうが、先程の副将戦で動揺したのか、動きにぎこちなさが見え隠れしている。


 焦りによる警戒、それは時として致命的な隙を生んでしまう。


 さて、勝負はどうなるか――――――何!?




「「「―――――――!!」」」




 試合開始十数秒後、異変は起きた。







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