第209話 軍神招来
――バカサイド――
これはヤバい!
あのダークネスゴッド×3、兄ちゃん狼の体を乗っ取った挙句、ライフドレインししてやがるぞ!
ここは最初から本気で攻めるぜ!
【名前】《大罪の三頭邪神狼》
【種族】大罪獣(邪神) 【クラス】七つの大罪 合成神
【属性】無
【魔力】5,700,000/5,700,000
【状態】暴走(微)
*【詳細】・“器”から生命力を急速に吸収中。
・高濃度の瘴気による汚染拡大中。
前回のようにレベルが存在しない《大罪獣》みたいだ。
邪神だけど。
『ガハハハハハハハ!!イイニオイダ!マズハオマエカラクッテヤルゼ!!』
『ニオウ、ナミノニンゲンカラハニオワナイミヤビデビミナニオイガスル。ワレラノカテニスルニフサワシイ“ニク”ト“マリョク”ダ。』
『喰イ尽クス!!喰イ尽クシ、更ナル力ヲ得テ憎キ日本ノ神共ヲ喰イ殺シテヤル!!』
敵さんは俺をメインディッシュにする気満々だな。
どうやら、もっとパワーアップして復讐しようとしているらしい。
まあ、させる気ねえけど♪
『『『死ネ!!』』』
そう言って、敵ケルベロスは4つの口から攻撃を放ち、俺は跳んで避ける。
直後、アル○ゲドンみたいにビッグインパクトが俺の世界に襲いかかった。
まあ、誰も巻き込まれなかったけど!
『チョコマカト!』
『逃ガスカ!』
『ニゲラレルトオモッテルノカ?』
空に逃げた俺に、ケルベロスはいろんな属性に闇を混ぜた魔力砲で対空砲火してきた。
時間がないし、避けるのは面倒!
「《聖なる領域》!!」
空から半径1kmの、ビッグな光を落とす!
ダークネスにはホーリー!
これが定石だ!
「どうだ!」
『『『ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!』』』
効果は抜群だ!
後ろからも悲鳴が聞こえたが、気にしている暇はない!
ドンドン行くぜ!!
「――――戦場に喚びしは、破壊の血を引きし、神速の名を持ちし軍神!契約の元、神の地より戦場に顕現し、共に敵を討て!」
俺は叫ぶ!
かつてインドの破壊神と火神の2人の父を持ち、インドラに匹敵する絶大な力を持った軍神を!
仏教に降った後も、足の速い神の代名詞として日本でも有名になった神を!
俺がガチンコ勝負を挑んで契約を結んだイケメンの神の名を俺は叫ぶ!
「出よ!韋駄天!」
直後、特別超特急でそいつは現れた。
ビッグサイズの孔雀に乗り、右手に槍を握った外見年齢は俺とそう変わらない軍神、インドのスカンダくんこと韋駄天くん、登場!
『―――――フム、久方ぶりの召喚だな。バカ契約者?』
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――蒼空サイド――
とんでもないのが出てきたな。
『『ガ・・・グア・・・・・・・!!』』
俺の足元では、司だったオルトロス型の《大罪獣》が苦しみながら倒れている。
あのバカ、こっちも巻き込む大規模魔法を放ちやがって。
まあ、邪神や悪魔系にしかダメージの無いタイプだからそれほど文句はないが、しかし、ステータス情報で知っていたとはいえ、大したものを召還した者だ。
韋駄天、仏教の護法神で「韋駄天走り」という言葉や「御馳走」の語源にもなっている神だが、元々はインドで信仰されていた高位の軍神だったな。
出生に関してはハッキリしないとされているが、インドの最高神の1柱であるシヴァとその妻である女神パールヴァティが同じくインドの神である火神アグニと女神スヴァーハーを介して産んだとされるが実際のところは不明だ。
ルーツを辿れば紀元前の実在したアレクサンドロス(アレキサンダー)大王に至る。
その力は凄まじく、神軍の頂点に軍神インドラと同格であり、後にインドラに代わって神軍の頂点に立った生粋の軍神だ。
あのバカ、よくあんな大物と契約で来たな。
だが、これで一気に決着がつけられる!
『『グ・・・グォォォォォォォォォォォォ!!!』』
「!」
一帯が擬似的な聖域状態にあるにもかかわらず、大罪獣は無理矢理体を起こして俺に襲い掛かる。
悪いが、俺も止めの準備をできている。
これで終わりだ。
『―――蒼空!』
「ああ!《大地を破壊する暴嵐》!!」
俺の詠唱と同時に、現実を模倣させて造られた異空間の大地全体が暴れた。
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――バカサイド――
おいおい、あっちも容赦なく大技ブチかまして来たな~?
俺の異空間の地形が原型無視で破壊されていってやんの!
って、今はこっちに集中!
「韋駄天、一気に決めるよ~ん!」
『その、神さえも苛立たせる口調をどうにかしろ。まあいい、今は契約通りに敵を屠ってやろう!』
「あ、中の人は殺さないでチョ?」
『分かっている。戦況はお前を通じて見ている!行くぞ!』
韋駄天、無双開始!
『――――貴様!カルティケヤ!!!』
『死ネ!!』
『キサマモワレラノカテトナレ!!』
直後、ケルベロスは潰れたトマトになった。
一瞬で直径100mのクレーターができ、その中心に重油みたいな真っ黒い何かがグシャッと飛び散っていた。
ちょ、ちょっとスカンダくん!?
「えええぇぇぇぇぇ!?」
『問題ない。まだ息があるようだ。』
そういう問題っすか?
あ、ケルベロスが自己再生を始めた!
『『『ナメルナ!!!』』』
地面から頭が3つ突き出し、口から黒い炎が噴射される。
同時に胴体だったものから無数の蛇のような触手が襲いかかってきた。
「《バリアー》!!」
『くだらん!』
けど、俺は簡単に防ぎ、韋駄天くんは槍の一振りでかき消した。
その直後、地上が崩壊した。
襲いかかる重力の波、砂や土や瓦礫が荒れ狂う海のように暴れ、地下からマグマが噴き出して地上に存在する全ての物を飲み込み、焼いていった。
パネエ~!
『『『グギャァァァァァァァァァァァ!!??』』』
『――――終わりだ。』
韋駄天くんは狙いを付けて槍を投擲した。
刹那、槍はケルベロスの中にある“核”を貫いた。
直後、ケルベロスを中心にした半径2kmが吹っ飛んだ!
「デ~ストロ~イ!」
やはり何度見ても、軍神の力はとんでもないな。
そして韋駄天くんについて言えば、とにかく早い!
投げた槍は何時の間にか韋駄天くんの手に戻ってるし、後ろにはボロボロで全身に油みたいにベットリとした黒い液体まみれになっている兄ちゃん狼が気絶したまま浮かんでいた。
「死んでよな?」
『お前なら分かっているだろう。あの兄弟は護られている。後は浄化するだ
けだ。』
え~、何のことかな~?
なんてね♪
どうやら、蒼空の方も終わったようだし最後の仕上げと行くか!
「――――南方より喚びしは朱き炎帝!邪を祓う焔の双翼、汚される事無き永久の生命、夏季と南方を司りし神格!契約の元、我が元に招来せよ!」
最後の仕上げ、その為に必要なマイフレンドの名を俺は天に向かって叫んだ。
「舞い降りろ!朱雀!!」
・韋駄天ことスカンダはマジ強いです!生まれて4日で他の神様達を蹴散らしまくり、神の軍隊の最高司令官になります。
・そして凄い負けず嫌いで、勝負で判定に不満があると槍を投げて吹っ飛ばします。それで山が1つ消えたりもしました。チートです。
・ただ、人気の方はお兄さんのガネーシャにほとんど総取りされてインドではそんなに有名でなかったりもします。




