表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第11章 白狼編
201/477

第189話 覚醒、復活・・・

――現世――



『―――――――――――《光闇融合爆発(ライトアンドダークネス)》♪』


 光と闇が入り混じった爆発が海岸一帯を飲み込んでいく。


 トレンツ達は咄嗟に防御を展開するが慎哉は間に合わなかった。


 爆発は周囲の地形を一瞬にして変えていき、海岸へ打ち寄せた波は沖へと逆流し、岩や砂は中を待って霧と混ざり、周囲の景色を再び視界の効かない空間へと変えていった。



『―――――――――ん?』



 カース(と分身達)は首を傾げていた。


 爆発は周辺一帯を飲み込んでいったが、カースには攻撃の手応えがなかった(・・・・・・・・)


 だが、すぐに周囲の気配を探ることでその理由を瞬時に理解した。



『――――へえ?これは珍しいなあ♪』



 カースは右手を横に振り、周囲の視界を妨げる霧や砂などを一瞬で振り払った。


 無惨に破壊された地上が露になり、魔法でどうにかカースの攻撃に耐えたトレンツ達の姿も見えてくるが、カースはそれらには一瞥もくれずに視線を左へと向けた。



『“端末”の身とはいえ、生で『復活』・・・『覚醒』を見るのは何時以来になるかな?滅多にある事じゃ無い筈だけど、もしかするとこれもフェランの目論見通りなのかな?』



 予想外の出来事を楽しむ様に、カースは視線の先にいる2人(・・)に話しかけていた。


 カースの視線の先にいたのは、本人も知らない内にカースの攻撃から難を逃れた慎哉と、慎哉の服の襟を咥えている“白い狼”だった。



『・・・『白狼』、彼の血が目覚めたみたいだね、佐須冬弥くん?』




--------------------------


 目の前の光景にミレーナは言葉を失っていた。


 慎哉が爆発に飲み込まれたと思った直後、知っているようで知らない気配が突然現れたと思ったらその気配の主が慎哉の服の襟を咥えて立っていたのだ。


 気配の主は白い狼の姿をしており、カースはその狼を「佐須冬弥」と呼んだ。



「ど、どういうこと!?」



 ミレーナは冬弥の亡骸が横たわっていた筈の場所を見る。だが、そこには大量の血が流れた跡だけが残っており、冬弥の亡骸は何所にもなかった。



『・・・“聖獣”に覚醒したのか!?』



 上空からアルバスの声が聞こえてくる。


 アルバスもミレーナと同様に信じられないような顔をしていた。



「そうだわ!ステータスは!?」



 ミレーナは慌てて冬弥らしき白い狼に《ステータス》を使った。


 そして目の前に表示された内容に再び言葉を失ってしまう。



【名前】佐須 冬弥

【年齢】15  【種族】白狼族

【職業】中学生(3年)  【クラス】元人間の聖獣 神の血を引く者

【属性】メイン:光 氷 サブ:風 水 土 空

【魔力】2,000,000/2,000,000

【状態】活性化中

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv4) 光術(Lv4) 氷術(Lv4) 風術(Lv3) 水術(Lv3) 土術(Lv3) 空術(Lv3) 武術(Lv3) 神狼術(Lv4) 千里眼 人化 聖獣之理 聖鋼の狼鎧(ディバインウルフアーマー)

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv4) 精神耐性(Lv4) 光属性耐性(Lv4) 氷属性耐性(Lv4) 風属性耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv3) 土属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 全状態異常無効化 神狼の眼 死からの復活者 神の血を引く者 回復力向上 白狼ホロケウカムイの加護(+2)



(な、何よコレ!?種族もだけど、スペックが高すぎるわよ!?って、本当に冬弥!?)



 その異常な内容にミレーナは金魚のように口をパクパクさせていた。


 ついさっきまで普通の人間だった者のステータスとは思えない内容、魔力は既に200万もあり、能力や補正も適正レベルが全てレベル3以上だった。



(そ、それに加護に初めて見る数字・・・・?)



【白狼ホロケウカムイの加護(+2)】

 ・『白狼』を冠する神、ホロケウカムイの加護。

 ・身体能力が通常より発達しやすくなる。

 ・寒さに対する耐性がプラス補正される。

 ・ホロケウカムイの持つ知識や経験の一部が与えられる。

 ・あらゆる生物との意思の疎通、会話が可能になる・



 同じ神の加護なのに慎哉よりも内容が多かった。


 さらにミレーナは他の能力や補正についても調べていった。



【神狼術(Lv4)】

 ・『神狼』と呼ばれる者達が生み出した秘術の数々が使える。

 ・『神狼』の血を引く者のごく一部しか使うことができない。

 ・詳細は使用者以外には非公開。



【死からの復活者】

 ・一度死に、新たな命を得て復活した者。

 ・不死系(アンデッド)の魔獣や妖の気配に敏感になある。

 ・相手の“命”の輝きを視ることができ、その“命”が歪んでいないか見抜く事ができる。

 ・これは一時的な補正であり、時間と共に消滅する。



【神の血を引く者】

 ・神ではないが神格を持つ者を何らかの形で血縁者に持つ者。

 ・神格を持つ存在と接触する事ができる。

 ・その魂の奥に神性の欠片があり、成長次第で神格を得る可能性がある。



「―――――――――――血縁者に神!?」



 ミレーナは思わず声に出してしまった。



「どういう事なの・・・?あの2人は、まさか・・・!?」



 冬弥のステータス情報を調べていき、ミレーナはある仮説に思い至った。




--------------------------


――???――


「おい、もうバレそうだぞ?」


「・・・・・・。」



 ホロケウカムイは聞こえないフリをした。



--------------------------


――現世――


 当然だが、慎哉はすぐに現状を理解する事が出来なかった。


 カースの攻撃が直撃すると思った瞬間、横から何かが飛んできて自分を咥えて安全な場所まで運んでくれたのは分かる。


 最初はトレンツかアルバスが助けてくれたのかと思ったが、2人が空の上で呆然としながら自分を見ているのに気付く。


 慎哉は誰が助けてくれたのか気になりすぐに視線を動かすと、そこに映ったのは家より大きな白い狼だった。



「・・・・・・・!?」



 混乱しそうになる慎哉、だが彼は自分の目に映る狼のの顔に見覚えがあ事に気付き、ジッと狼の眼を見つめていった。



「・・・・・・冬弥?」


『おう!』



 直感を信じて声をかけてみると、冬弥は普段と同じ口調で返事をした。


 ニッと笑みを浮かべながら冬弥は咥えていた慎哉の襟を放した。



「イテッ!何すんだよ!」


『ハハハ、悪い悪い♪まだこの体(・・・)に慣れてないんだよ!』


「いや、お前絶対ワザとだろ!俺には分かる!」


『バレたか!』



 今が戦闘中だという事理解していながらもマイペースに会話をする2人だった。


 さっきまで冬弥が死んでショックを受けていた慎哉だったが、まるで忘れたかのように普段通りに戻っていた。



「で、何で巨大狼になってるんだ?」


『ああ、何でか知らないけど、死んだら知らない場所にいてそこに神様が出てきてさ、人間をやめれば復活できるとか言われたんだよ。それで人間やめた!』


「軽くね?」


『意外と違和感がないんだよな?何ていうか、最初からこんなだったみたいな・・・・凄く血が熱い感じなんだよ!』



 冬弥は自分の現状について大雑把に話していく。


 しかし、戦闘中に敵が何時までも待ってくれるわけがなかった。



『――――――――《ダークレイ》!』


『「うおっ!?」』



 横から黒いビームが襲い掛かり、2人は咄嗟に横に跳んでかわす。


 上を見上げると、カースが楽しそうに2人を見下ろしていた。



『兄弟仲良く話しているところ悪いけど、今は戦闘中だよ?』


「カース!」


『あいつが敵か!』


『弟君には初めましてだね?僕はカースウェル=フェイク、気楽にカースって呼んでくれていいよ?それにしてもそうか。神が君を聖獣として復活させたのか。なるほど、フェランが僕に有償でヘルプを頼んだ理由が解ってきたよ。』


『「・・・?」』



 カースは1人で納得したような表情になった。



『・・・だけど復活された以上、僕は依頼に従ってまた君達のどちらかを殺さなくちゃいけない。どうする?今度は兄君の方が死ぬかい?それとも、また弟君が死んでみる?』


『「どっちも却下だ!!」』


『・・・・・・へえ?』



 口を揃えて拒絶する双子をカースは更に面白そうに見下ろしていた。



『どっちも死なせねえよ!お前をブッ倒して全員で生き残る!!』


『なら、今度こそ戦闘再開だね♪』



 カースは周囲に白と黒の無数の球体を出現される。球体の1つ1つから高密度の魔力が発せられ、それが攻撃に使うものだと全員が瞬時に悟った。



『僕を倒すなら、これ位の攻撃に耐えないと話にならないよ?』



 邪悪な笑みを浮かべ、カースはこの場にいる自分以外の全て(・・・・・・・)に向かって破壊の嵐を放った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ