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プロローグ2

プロローグその2です。


――2011年6月30日 東京――


 雲一つない快晴、まだ梅雨明けも発表されていないにも関わらず、今日に限って夏日真っ盛りだった。


 前日までの雨の後もすっかり乾き、気温も本日最高に達していた。



「暑い・・・だるい・・・・」



 気の抜けるような声が漏れた。


 都心ではないとはいってもやはり東京、アスファルトや高層ビル、マンションなど様々な条件が混ざった事から生まれる暑さには大抵の日本人は参るだろう。たとえ、生まれてから何度も経験していたとしても決して慣れないものだ。



「梅雨なんだから雨降れよ・・・サボるな梅雨前線!」



 もし天気に意志があったらきっと機嫌を悪くしただろう。


 彼は暑さと言うより、夏の日差しの中で行われる体育の授業が嫌なだけなのだから。



北守(きたもり)、ボール行ったぞ!」


「ん?うおっ!!」



 横から聞こえる声に反応した直後、勢いよくサッカーボールが飛んできた。


 持ち前の運動センスでどうにかパスを受け取り、別の少年に素早くパスする。



「ふう、アブねえ~~。」



 思わず冷や汗が流れた。うまくパスできたものの、少しでも反応が遅れたら自分に直撃していた。暑さで消耗し続ける精神をどうにか振り絞り、今は目の前の試合に集中することにした。






「はあ、何で今日に限ってサッカーだったんだ。」



 何故と言われれば、多くの人は快晴だったからと答える多だろう。



「勝ったのに嬉しそうじゃないな北守?」


「俺は勝つのは好きだが夏の屋外スポーツは嫌いなんだよ!本当なら今日も大雨で体育館でバスケかバレーのはずだったのに・・・・。」


「まあ、運がなかったと思え!」



 十分ほどの短い試合も終わり、グランドでは別のチームの試合が始まっていた。


 短いと言っても、雲一つない夏日で激しく動けば汗もたくさんでる。彼は汗だくになった顔に先ほど濡らしてきたタオルをかけ、日陰で大の字で倒れていた。



「お前、運動神経はいいのに夏には全然弱いな。」


「俺が弱いんじゃない!どんどん暑くなるこの日本の夏が強すぎるだけだ!くそ~~、なんで東京(こっち)までこんなに暑いんだ!日本で熱いのは九州とか南だけになればいんだ!」


「ま、みんなそう思ってるだろうなあ・・・・。」



 相槌をうった同級生が横を見ると、彼と同じように日陰に避難している生徒であふれていた。



「あ~~~、何か暑さを忘れられるようなサプライズとかおきないかな~~~。突然芸能人とかが学校訪問しに来たりとかさ?」


東京(ここ)なら普通にありそうだけど、そう都合よく来るわけないって。」


「そうだけどさあ・・・・・ああ暑い、もっかい水飲んでくる。」



 顔にかけていたタオルを右手で取り、水分の抜けた体を潤すために水飲み場へと向かった。だが、ここから水飲み場に向かうには日陰から抜けなきゃいけないのでそれがまた彼の精神を消耗させる。


 周りから見れば気が抜けた顔をしながら力が抜けたように歩く。正面を見上げれば自信をむしばむ暑さの元凶が青空に君臨していた。



「これなら普通に勉強していた方がましだったな。」



 彼は基本的に頭を使うより体を動かす方が得意だ。学校の成績は5教科ともに中の下、体育は中の上か上の下といったくらいなのだが、特に運動部に入っているわけでもない(真夏の練習とかが嫌いだから)。運動は得意だが、これと言って興味のある種目はないのである。なので、放課後に入るとまっすぐ家に帰るか寄り道するかがかれの行動パターンであった。


 それはともかく、視線を前に戻し水飲み場へと再び足を動かし始めた。



「ん?」



 不意に足が止まった。


 いや、足だけではなく全身が何かに反応した。



(・・・なんだ?)



 一瞬、自分の体を何かが通り過ぎたような感覚が走った。鳥肌が立ったわけでもなく、不安がよぎったわけでもない。だが、明らかに何か(・・)を感じて足を止めたことを直感した。



(空?)



 何かが来る。


 ほとんど根拠もなく、直感に動かされるまで先ほど恨めしく見ていた空に再び視線を向ける。すると、直視はできないが太陽の方に黒点のようなものが浮かんでいた。それは次第に・・・いや、あっという間に大きくなって今自分がいるここに向かってきた。



「・・・は!?」



 何かが落ちてくる。



(隕石!?いや・・・ええ!?)



 たいていの人間は突発的な出来事に対してすぐに対応できない。それは彼も例外ではなく、自分のところにまっすぐ向かってくるそれに逃げることも叫ぶこともできなかった。











 そして彼は初めて遭遇する――――――――世界の本当の姿を。



 そして壊される―――――――――普通に過ごしてきた日常を。



 そして始まる―――――――――彼ら(・・)の物語が。




「ド、ドドドドドドドドドラゴンンンンンンンンン!!!!!!!!????????」




 美しくも雄々しい黒き龍が少年の前に現れた。








プロローグはこれで終わりです。

次からようやく本編、うまく続けていうけるといいのだが…。


登場人物たちのフルネームも早く出したいです。


次回も早めに投稿します。

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