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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第9-7章 凱龍王国編Ⅶ―7日目(四龍祭最終日)―
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第134話 リサの愛?

凱龍王国 漁業都市『海門』


 その日の正午、勇吾とリサは2人で地元の漁港に設置されたイベント会場で一緒に昼食をとっていた。


 国内有数の水揚量を誇る海門では、その特徴を生かした飲食系のイベントが数多く開催されており、多くの人が昼食に入るこの時間帯は転移装置から多くの観光客が腹を空かせて集まってくる。


 特に今日は最終日と言うこともあり、四龍祭の時にしか口にできない限定グルメを全種類食べ尽くそうと何時も以上に多くの人で賑わっていた。



「―――――――――――《聖龍水》でチート大量発生・・・・・何だこれは?」


「どうしたの?」



 イベント会場の一角にある食事用のテーブルとイスが並べられた場所で、勇吾は北龍島にいる慎哉から送られてきたメールを読んでいた。



「いや、慎哉達が《聖龍水》のイベントに参加したらしいんだが、何だか変な事が起きているらしい。メールの内容を要約すると、今回の《聖龍水》の効果が異常なほどに高いらしい。慎哉達は魔力が一気に200万以上になって、瑛介に至っては300万を超えたらしい。」


「・・・・・・・何よそれ!?いくらなんでも無茶苦茶でしょ?つい最近魔力に目覚めたばかりなのに、こんなに簡単に魔力が急上昇するって!?」


「ああ、これが瑛介だけだったら血筋の影響と片付けられるが、慎哉達以外の参加者にも同様の効果が出ている者が不特定多数いるとなると話は別だ。」



 勇吾は魚介類の串焼きステーキを頬張りながら話していった。


 慎哉達が参加した昇天の滝での《聖龍水》のイベントは勇吾達も過去に経験している。と言うより、この国の国民ならほぼ例外なく参加しているイベントなのである。


 ちなみに勇吾とリサが参加したのは4年前、その時の効果で勇吾は魔力の上昇と魔法への適正が少し上昇し、リサも魔力上昇と《浄化》の能力を獲得していた。


 だが、今回の慎哉達のケースはそれと比較しても明らかに異常な結果だった。


 前例がない訳ではないが、何人もの人間が一気に魔力が200万近く上昇するなどまずはない。あったとしても、それは王族のような反則的(チート)な血筋の人間位である。



(それに瑛介が龍族になっただと!?マズイな、これだとサマエルの呪いの対象に・・・・・・・・こんな事なら昨日のうちに話しておくべきだったか!)


「―――――――――勇吾、また何か1人で抱え込んでるんじゃないの?」


「―――――――何のことだ?」


「図星ね。」



 勇吾はすぐに反論しようとしたが、リサの目は「幼馴染をなめんなよ?」という妙な迫力を持っていた為に一言も反論する事は出来なかった。


 その後、リサの追及に屈してしまった勇吾はこの数日間にあった事を話し始めた。もちろん、周囲には聞こえないようにプライバシー保護用の魔法を張ってである。



「ふうん、そんな大事な事を今まで黙ってたんだ。ふ~~~ん?」


「・・・・その細目、やめてくれないか?」


「まあ、言わなかった理由は分かるけど、それでも私やトレンツには相談しても良かったんじゃないの?あなた達だけで抱え込んでも、結局はどこかで壁にぶつかるのは火を見るより明らかでしょ?」


「・・・・・返す言葉もないな。」



 カップ型の容器に入ったスープを飲みながら勇吾は項垂れていた。


 こういう状況では勇吾はリサには昔から頭が上がらない。幼い頃から、特に2人だけでいる時は勇吾はリサの前では劣勢になる事が多い。


 単に勇吾自身が女性の押しに弱いというだけかもしれないが、何よりも勇吾は大事な人に隠し事を通し続けるのに向かない性格である事の方が大きいのかもしれない。



「それにしても、やっぱりどれも『創世の蛇』がらみの事件なのね?」


「ああ、しかもひとつは《盟主》がらみの話だ。いよいよ俺達(・・)も後戻りできない域にまで踏み込んだということだな。」


「よく言うわよ。何年も前から私達は後戻りできない道を歩いているでしょ?」


「否定はしないな。」


「それはそうと、今まで隠し事してきたペナルティとしてデザート奢ってね♪」


「・・・・・・お前、その為だけに問い詰めてきたんじゃないだろうな?」


「・・・・・エ、何ノコトデスカ?」



 結局勇吾はリサにデザートを奢る羽目になった。


 それも1品ではなく、本当に1人で食えるのかという数をである。


 せめてもの救いだったのかは不明だが、リサは何品かは勇吾にも分けてあげた。傍から見れば若い美形カップルがデートしている光景にも見える光景だった。




---------------------


凱龍王国 『冒険者ギルド 竜江港湾支部』


 昼食後、勇吾とリサのカップルモドキは冒険者ギルドに来ていた。


 来た理由は1つ、蒼空から呼び出されたからである。



「ねえ、カフェで――――――――――」


「まだ食うのか!?」


「・・・・・・何やってるんだお前ら?」



 ほんのちょっと時間を無駄にしつつ、3人は2階のカフェに上がった。



「それにしても、何時の間に登録なんかしてたの?」


「――――――前夜祭の深夜、龍星が寝たのを見計らってホテルを抜け出した時にな。俺も異世界で活動する際の身分を取得しておいた方がいいと考えてな。」


「ふ~ん、それで用事って何なの?」


「・・・・・これを見てくれ。」



 蒼空は収納空間に片手を入れ、中から黄金色に輝く液体(・・・・・・・・)の入った小瓶を勇吾の目の前に置いた。



「これは・・・・・!」


「察しの通り、これは昇天の滝で採取した《聖龍水》だ。俺の作った特殊な容器で保存してあるから、効果はまだ続いている。」


「・・・・・・ネットでも騒がれ始めているようだな。バカが何時もの調子で《☆神☆聖龍水》とか勝手に名前を付けて触れ回っているせいもあるが・・・・・。」


「―――――――俺が調べたところ、通常の《聖龍水》よりも複数の神気が多く溶け込んでいる。地球だったら間違いな

く伝説になるほどの劇的な効果を種族を問わずに与える薬だな。」


通常よりも(・・・・・)・・・・・・・・?」


「推測だが、ファーブニル以外の龍王の神気が加わっていると考えられる。おそらく、四龍王自らが意図的に(・・・・)やったと思われるな。」



 蒼空は推測と言ったが、実際には確信を得ていた。


 蒼空は既に『海龍王』と接触しているのでその魔力や気の特徴は既に記憶しており、今目の前に置いてある《聖龍水》の成分にはその時に記憶したのと同じ神気が混ざっているのに気付いていた。



「―――――――――それは、四龍王が今を生きる人々(俺達)に力を与えようとしていると言うことか?」


「あくまで推測の段階にすぎないけどな。少なくとも、神格を持つ龍王達がただの気まぐれでやっていると考えるよりは信憑性があるだろうな。直接会ったお前もそう思うだろう?」


「ああ、それと付け加えるなら、最近になって急に計画したことだろうな。おそらく、初日の海中ミュージカルの後にお前と一緒にいたロトを見た時に・・・・・・・」


「・・・・・・どういうことだ?」



 勇吾は先程リサに話したのと同じ内容の話を蒼空にも話した。


 流石に《盟主》の話に入ると蒼空の表情は今までになく険しくなり、しばらく重い空気が3人を飲み込んでいった。



「―――――――――『サマエルの呪い』、随分面倒な事になったものだ。材料がそろったところで、おいそれと解呪できる類の呪いじゃないぞ・・・・・・・・・。なるほど、その為に少しでも俺達の能力を底上げしようとしていると考えれば納得がいくか・・・・・?」


「それについてはいくら考えた所で推測の域は超えないだろう。それより、その《聖龍水》はどれくらい採取してきたんだ?」


「一応、来れなかった人数分は余裕で確保してある。だが、俺の用意した容器でも何時まで保存し続けられるかは不明だ。前例のない代物である以上、飲むなら早めの方がいいだろう。どうする?」



 蒼空は勇吾とリサを交互に見ながら「飲むかどうか決めろ!」と視線で伝えてきた。


 勇吾はしばらく考えた後、手前に置かれた小瓶を手に取って蓋を開け、中身を一気に飲み干した。



「――――――――――ゴクッ!」


「ちょっと、何先に飲んでるのよ!」


「人数分はあると言っただろ、ほら!」



 蒼空は先を越されて憤るリサにも同じ小瓶を渡すと、リサはすぐに蓋を開けて中身を一気飲みした。



「・・・・冷たい!」


「温度もそのままで保存してあるからな。」



 後になって分かることだが、蒼空が今回使用した小瓶は何気にハイスペックだったりするのだが、その説明は省略する。


 《聖龍水》を飲んだ2人はその効果をすぐに感じることができた。



「うっ・・・・!これは・・・・・・!?」


「やはりな、2人ともすぐにステータスを確認してみろ。お前達なら俺以上の変化があるはずだ。」



 蒼空に言われるまでもなく、勇吾とリサはすぐに自分のステータスを確認した。



【名前】天雲 勇吾

【年齢】15  【種族】人間

【職業】冒険者 民俗学者見習い  【クラス】伝説に認められし者

【属性】メイン:闇 火 サブ:空 時 土 風

【魔力】6,110,000/6,110,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 闇術(Lv4) 火術(Lv4) 空術(Lv3) 時術(Lv2) 土術(Lv2) 風術(Lv2) 剣術(Lv3) 体術(Lv3)

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 闇属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv2) 全状態異常耐性(Lv2) 神話の契約者 奇縁者 凱龍王の加護 神剣(布都御魂剣)の加護 神龍(黒王)の契約 守護龍の契約 海神ネレウスの契約 天神雷鳥の契約  剣と魔の成長期

【開示設定】ON



【名前】門原 リサ

【年齢】15  【種族】人間

【職業】冒険者  【クラス】片思いの乙女

【属性】メイン:風 光 サブ:雷 火 水 木 氷

【魔力】5,850,000/5,850,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv4) 風術(Lv3) 光術(Lv3) 雷術(Lv2) 火術(Lv2) 水術(Lv2) 木術(Lv2) 氷術(Lv2) 剣術(Lv1) 体術(Lv3) 投擲(Lv4) 調合術(Lv2) 聖浄化

【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv3) 光属性耐性(Lv3) 雷属性耐性(Lv2) 火属性耐性(Lv1) 麻痺耐性(Lv2) 愛の直感 純愛の契約者 幼馴染の絆 凱龍王の加護 風龍ゼフィーラの契約 (しゅ)の成長期

【開示設定】ON



 慎哉達と同様、2人のステータスも大きく変化していた。


 だが、リサはステータスを確認すると顔を真っ赤に染めて素早くステータス画面を閉じた。



(何よこれ~~~~~~~!?属性が増えたり魔力が上がったりしてるのはいいけど、『片思いの乙女』って何よ!?それに《愛の直感》とか《純愛の契約者》って何!?)



 異性に、特に勇吾やバカには死んでも見られたくない内容に、リサは手早くステータスの開示設定をOFFにして自分以外には絶対見られないようにしたのだった。






【愛の直感】

・恋している相手の異変を事前に察知する事ができる。

・相手への愛が強いほどより早く、より正確に察知する事ができる。

・デ~キテ~ル♡彼のピンチを救うのはお前の深い愛だ!ライバルが現れても負けるな!愛は気合いだ!バトルだ!戦争だ!



【純愛の契約者】

・あなたの愛が仲間に力を与えます。

・愛を失わない限り契約した相手の能力がプラス補正される。

(ラブ)は世界を変えるぜ!お前の愛が仲間にも奇跡を起こす!!





・勇吾もレベルアップした!

・リサは愛の力をゲットした!


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