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黒龍の契約者―Contractor Of BlackDragon―  作者: 爪牙
第9-1章 凱龍王国編Ⅰ―1日目―
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第95話 冒険者ギルド~登録~

・ユニーク5000突破!


・新キャラが何人か登場しますが、ほとんどモブで終わると思います。


「ゆ・う・ご~~~~~~~♡」


「ゲッ!姉ちゃん!?」


 勇吾がロトの頭を撫でていると、階段の方から1人の女性が変なオーラを放ちながら勇吾に飛びついて来た。


「会いたかった~~~~~~~!!」


「は、離れろ!!ロトが潰れるだろ!!」


「ムグゥ~~~~!」


 まるで我が子を愛でる様に抱擁する姉を必死に引き剥がそうとする勇吾だったが、弟成分に飢えていた勇吾の姉はその後の数分間、決して放す事はなかった。


 数分後、ようやく解放された勇吾はドッと疲れたようにリビングのソファーに座り込んだ。


「・・・・ハア、姉ちゃん仕事は?」


「フッフ~~ン♪勇吾が帰ってくるって言ったら、院長が気を利かせて休みをくれたのよ!」


(あの野郎~~~~~~~!!)


 勇吾は余計な事をした姉の勤務する病院の院長に怨念を送った。


 勇吾の姉こと天雲鈴音(すずね)は竜江の総合病院で働く看護師だ。


 ただ、その勤務先の院長が馬鹿の父親(・・・・・)なのが勇吾にとって難点なのである。


(あの馬鹿親子、後で覚えていろ!!)


「ねえ、お兄ちゃん!今度はいつまで居られるの?」


「あ、ああ。とりあえず、祭が終わるまでいるぞ。」


「ホント!?ヤッター!」


 ロトは嬉しそうに飛び跳ねながらはしゃいだ。


「そう言えば、母さんとアリアはいないのか?」


「2人なら買い物に行ってるわよ?今夜は久しぶりに腕を奮うって燃えてたわ!」


「あのね、何だか凄く大きいお鍋を出してたよ?」


「へ、へえ・・・・・。」


 ちなみに、普段の天雲家で料理を作るのは勇吾と鈴音、そしてここにはいないが長姉の三姉弟(・・・)である。


 母親も料理ができない訳ではないが、少々問題がある(・・・・・・・)為、普段は姉弟が交代で料理をしているのである。


「―――――――――で、見つかったの(・・・・・・)?」


「―――――――――――――!」


「?」


 不意討ちの質問に勇吾は動揺するがスグに平静を繕う。


 横ではロトがポカンとしながら勇吾を見ている。


「・・・・いや、まだだ。」


「そう、まあスグに見つからないわよね♪」


(姉ちゃん、ロトの前でその質問をするなよ。)


 理解してて言っているの分かりつつも、勇吾はため息を吐くのだった。





-----------------



凱龍王国 竜江 港湾区


 その頃、勇吾が実家でため息を吐いているなど知らない慎哉は、琥太郎と晴翔とともに港湾区に来ていた。


 ホテルからは水面電車に乗って景色を楽しみながら来た3人は、PSに表示された地図を見ながら『冒険者ギルド』を目指していた。


 なお、他のメンバーは良則の案内で観光ツアーを楽しんだり、朝が早かったので昼までホテルで休むなどそれぞれ自由に過ごしている。


「うわあ、凄い賑やかな市場だねえ!」


 琥太郎は大勢の客で賑わう市場の風景に目を奪われていた。


「ああ、築地よりも凄いんじゃないか?」


「行ったことはないけどな!」


 慎哉と晴翔も様々な店が並ぶ光景に興味を惹かれていた。


 すると、店頭に立っていた見た目40代位の商人の1人が慎哉達に声をかけてきた。


「おい!そこの坊主共、お前らもしかしなくても日本人だろ?」

「え?ハ、ハイッ!!」


 不意に話しかけられ、琥太郎は思わず答えてしまう。


「やっぱりか?お前ら、そんな所で地図を出したまま歩いていたら不用心だぞ。治安がいいと言っても、観光客狙いの小悪党がいない訳じゃないんだからな?」


 商人に言われ、慎哉はスグにPSを閉じる。


「そうだ、人混みの中ではPSは出さないか、周りに見えないようにするのが基本だぞ!お前ら、異世界に来ること自体初めてだろ?」


「ああ、今朝着いたばかりだ。」


「そうか、なら今度からは案内役の1人位連れてくるんだな。ここにはいろんな種族がいるから、知らない内にトラブルの種を蒔いたりしちまう事もあるから注意しな。」


「はい、親切にありがとうございます!」


 琥太郎が頭を下げて礼を言うと、慎哉と晴翔も慌てて頭を下げる。


「ハッハッハ!最近の日本人にしては礼儀が良いじゃないか?気に入った!どうだ、昼までなら俺がお前らの案内役をしてやるぜ?」


「え、いいのかよオッチャン!?」


「気にすんな、これも何かの縁って奴だ!俺はここの八百屋の5代目店長をやっている填刃(てんば)だ。詳細は《ステータス》で見ても良いぞ!」


「ハ、ハイ!」


 商人こと天刃に言われるままに琥太郎は《ステータス》を使った。



【名前】竜巻 填刃

【年齢】73  【種族】ハーフ

【職業】青果店店主  【クラス】戦う店長

【属性】メイン:木 サブ:水 土 風

【魔力】6290000/6290000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv5) 特殊魔法(Lv1) 木術(Lv3) 龍眼 武術(Lv4) ??? ??? ???

【加護・補正】物理耐性(Lv4) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv4) 木属性耐性(Lv5) 水属性耐性(Lv3) 土属性耐性(Lv3) 凱龍王の加護 龍神の加護 翠帝の加護 慧眼 愉快な縁 全状態異常耐性(Lv4)

【開示設定】ON(一部認識不能)



「凄っ!?」


「〈戦う店長〉と言うより、〈強すぎる店長〉だな・・・・。」


「何だか、《???》が3つあるんだけど?」


「ハッハッハ!俺は人間と龍族のハーフだからな、少々スペックがいいんだよ。ま、この国じゃそんなに珍しくないからな!」


「ああ!ハーフって、そう言うことか!」


 ポンと手を叩いて納得する。


 ちなみに、ここにはいないが、ミレーナも“とある種族”とのハーフである。


「で、お前らは何処か行きたい所があるのか?」


「『冒険者ギルド』だぜ!」


「おお、そうか!それならここからスグだぞ。おい、出かけて来るから店は任せたぞ!」


「え、またですか店長!?」


 店内では若い店員が呆れたような声を上げていた。


「何だか迷惑かけてるみたいな気が・・・・。」


「気にするな!俺はお前らみたいな奴を見たら見捨てられない性質でな、何時も本業を若いのに任せてることが多いんだよ。」


「・・・店長交代した方がいいんじゃないか?」


「ハッハッハ!まだまだ若いのには譲れねえさ!」


 後ろで店員がため息を吐いているのに気付いていないのか、店長は笑い声を上げていった。


 その後、他の店員に申し訳なさそうにしながら慎哉達は店長の案内でギルドへと向かった。





-------------------


凱龍王国 『冒険者ギルド 竜江港湾支部』


 市場を出て海岸沿いに5分ほど歩くとギルドに到着した。


「――――――ここがギルドの支部だ。新規登録は1階の受付でできるぞ!」


「お~~~~!何か、それっぽい感じだな?」


「そうか?何か、誰かの趣味全開のような気がするんだが・・・・・・?」


「・・・あれ?あそこの看板に『MADE IN GORYU』って書いてない?」


 多少個性的な看板を看板を気にしつつ、店長の先導で3人はギルドの中に入っていった。


 中に入ると、3日後の祭の影響もあるのかギルドの中は大勢の冒険者で溢れかえっていた。


「スッゲェ~~~!」


「おい、どいつもこいつも魔力が高すぎないか!?」


「それに、あからさまに達人っぽい人(?)とかもいるんだけど?」


「ハッハッハ!まあ、今は四龍祭の準備で依頼が殺到してるからな。国内だけじゃなく海外からも大勢の冒険者が集まってるのさ!」


「あ、エルフっぽいのもいるぜ♪」


「慎哉、指さしたりしたら失礼だよ!」


 琥太郎に窘められながらも、慎哉は1階のロビーにいる冒険者を見ていった。


 大半は(外見上は)人間の冒険者が多かったが、他には尻尾が付いた獣人ッポイのや耳が少しとがったエルフッポイのも混ざっていた。


「お前ら、受け付けはこっちだぞ!」


「あ、はい!」


 ロビーの奥で手招きする店長、3人は急いで受付に向かった。


「おう、ティナ!日本から来た登録希望者を連れて来たぜ!」


「填刃さん、いつもご苦労様です。そちらの3名様が新規登録希望者ですね?」


「ハイ、そうです!」


 長い赤毛の受付嬢に返事をし、3人は早速登録を始めてた。


「ではまず、入国する際に使用したと思われますが、このようなIDカードをお出しください。」


 それは、この世界に来る前に勇吾が入国許可書を兼ねていると言って全員に配ったカードだった。


 免許証サイズのカードには写真と簡単な個人情報のデータが入っているが、特定の操作をしない限りは普段は何も表示されない様になっている。セキュリティもしっかりと備わっている、この世界の身分証明証なのである。


 3人は受付嬢の指示通りにそれぞれのカードを差しだすと、手前に置いてあるカードリーダーに挿し込んで情報を読み込んでいく。


「ハイ、これで本人確認は済みました。北守慎哉さん、立花琥太郎さん、神宮晴翔さんですね。登録料は無料ですが、事故などのトラブルの際の保険料としまして、日本円で2000円支払う必要がありますが問題ないでしょうか?」


「問題ないよな?」


「ああ。」


「うん、お金なら余裕があるし!」


「分かりました。支払いはカードとキャッシュのどちらにいたしますか?皆さんのカードには、それぞれ2万円ずつ入金されていますが?」


「は?何それ?」


「入金って、誰が入金したんですか?」


 見覚えのない金の存在に、3人とも頭上にに“?”が浮かんだ。


「記録によりますと、入金者は・・・ご、護龍竜則、国王陛下ご本人になってますが!?」


「「ハァ!?」」


 まさかの王様からの入金の事実に、受付嬢も困惑した顔になる。


 3人の横では店長が何やらニヤニヤしながら面白そうに見ている。


「え・・・・と、入金の詳細情報によりますと、『身内(バカ)の被害者達への見舞金』・・・あ、なるほど!」


「「「・・・・・・・・・・・・。」」」


 受付嬢はさっきと一転して納得した表情になる。


「――――問題の無い入金のようですが、支払方法はどうしますか?」


「なあ、どうする?」


「使ってもいいんじゃないのか?」


「う~~ん、そうだね。」


「じゃあ、カードで!」


「ハイ、ではカード払いですね。終わりました。では、次に所属に関してですが、皆さんの場合は日本支部の方でよろしかったでしょうか?」


 そう言って、受付嬢は目の前にPSを展開する。


 そこには、【所属可能ギルド一覧】と表示され、今いるギルドや日本にもある新設されたばかりの支部の名前などが載っていた。


「ん~~~、これって所属は何所でもここで依頼を受ける事はできるの?」


「ハイ、それは問題ありません。しかし、ギルドから臨時の召集や連絡などもあるのでできる限り現住所に近い支部を選択していただく事をお勧めします。」


「じゃ、所属は日本で!2人もいいよな?」


「ああ。」


「うん、それでいいよ!」


「分かりました。・・・・・はい、これで登録は完了しました。カードに情報をインストールしましたので、このカードが皆さんの冒険者としての証明証になります。


 受付嬢はカードを3人にそれぞれ返却した。


 慎哉がカードを確認すると、アイコンのようなものが増えており、そこをタッチすると【冒険者ギルド証明証】と表示内容が変わり、そこには慎哉の写真と名前、ランクなどは表示されていた。



「では、ギルドのシステムに関して説明させていただきます。他の冒険者の方達の邪魔になりますので、説明は2階のカフェで行いましょう。」


 慎哉達はギルドへの登録を済ませ、受付嬢のティナからの説明を受けるためにロビーから2階のカフェへと移動していった。









・店長のステータスに「???」がある理由は次回で明らかになります。


・本日より本作品のスピンオフ作品「ボーナス屋、勇者になる」の連載版がスタートしましたのでそちらもよろしくお願いします。


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