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番外編2 ボーナス屋、勇者になる! その4

・士郎の能力がようやく活用されます。




 炎が鎮火した後、俺は一度に魔力を大量に消費したせいでふら付く体をどうにか動かして村の中心部へ向かった。


 村の中は消火活動で疲れ切った村人や兵達が地面に座り込む光景が広がっていた。


「あ、勇者様・・・・・。」


「アンナちゃん・・・・・。」


 アンナちゃんも疲れ切った表情で俺の元に来た。 まあ、あんな事があったんじゃ無理もないよな。


 すると、ステラちゃんも俺の所にやってきた。


「――――――少しいいか?」


「ん、何だ?」


 ステラちゃんは兵達が休んでいる広場の隅に俺を連れてくると、深々と頭を下げた。


「―――――この度はこちらから襲ったのにも拘らず助けていただき感謝する。」


「おいおい、別に頭下げる程じゃないだろ?困った時は協力するのは当然だろ?」


 俺も必死だったしな。


「いや、お前が居なければ我らも帝国側も炎に飲まれて死んでいた。礼をするのは当然のことだ!」


「あ、そう。まあいいけど。」


 ウ~ン、お姫様に感謝されるって妙な感じだな。


 良則みたいな感じの王子様を知ってるからか?


「――――――そこにいたか!」


「あ、バカ皇子!!」


「誰がバカ皇子だ!?」


「「お前だ!」」


 俺とステラちゃんは口を揃えて言ってやった。


「く、それよりもだ!我が兵に化けていたあの男の事を貴様は知っているようだったな?詳しく聞かせて貰おうか?」


「うむ、それは私も同意見だ!」


 まあ、それは当然だよな?


 と言っても、俺も詳しい事を知ってる訳じゃないんだけど。


 俺は『創世の蛇』について簡潔に説明した。ついでに俺が異世界から召喚されたことも。


「――――――《奇跡の書》、話だけなら聞いた事があるが、本物が実在したとは・・・・・・。それに異世界、そして『創世の蛇』・・・・・・。」


「許せん!この俺は貶めようとする輩は成敗してやる!!」


「無理だ!」


「何!?」


「力の差がありすぎるんだよ!さっきの奴なんか、魔力なんか俺の5倍はあるし、お前の500倍はあったんだぞ!」


「な・・・・500倍だと!?」


「ちなみに、俺が知ってる情報だと、幹部はそのさらに1.5倍以上ある。」


 バカ皇子は今度こそ絶句した。


 ぶっちゃけ、こいつらでは無理ゲーすぎる。俺もだけど。


「大体、お前もステラちゃんも多分他の兵達も死亡扱いになってるんだぞ?そんな状況じゃ、碌に活動する事もできないだろ?」


「そ、それはこけおどしかも知れないだろ!!」


 それは絶対にない。


 横浜であれだけの事をした組織なら十分に可能だからな。


「・・・俺もだけど、今はこれからどうやって生きていくのか考えうのが先だろ?しばらくはこの村で暮らす事になりそうだしな。」


「確かに、しかし・・・・・この状況では・・・・。」


 ステラちゃんは燃えてしまった部分を暗い表情で見つめる。


 今回の火事で村の民家もかなり全焼してしまっている。


 それに、アンナちゃんの話だと村には満足な蓄えがないのも大問題だ。とてもこの人数を養う事はできそうにもない。


「――――――――そう言えばお前の名前を聞いていなかったな?」


「あ、そういやそうだ!俺は大羽・・・・こっち風に言えば、シロウ=オオバだ!」


「シロウか・・・・不思議な響きの名前だな。異世界人特有の名前なのか?」


「いや、俺の世界と言うよりは国かだな。」


 どうやらこの世界には日本人っぽい人種や国はないみたいだな。


「あと、先程から気にはなっていたがシロウはどうやって魔力の量を測ったのだ?特別な魔法具を使っている様子はなかったが。異世界の魔法か?」


「おう!こいつは《ステータス》と言って、自分や相手の強さや才能を調べる魔法なんだぜ?」


「ほう、では私の強さも知っている訳だな。私の・・・・・あの名も・・・・。」


 あ、やっぱり『暴れん坊王女』って言われるの気にしてるのか。

 俺も思うが、【クラス】ってのは一体何の意味があるんだ?ニックネームか?


「まあな、ステラちゃんは光と風が得意な属性で、他に水と火と雷の属性も持ってるぜ!あと、アリアンロッドって女神の加護や、《結晶の宝剣(クリスタルセイバー)》って特殊な武器も持ってるだろ?」


「―――――――何!?私に女神の加護だと!?それに、《クリスタルセイバー》とは何のことだ!?」


 あれ?本人に自覚はないのか?


 てっきり、神官とか神のお告げとかで知ってるのかと思ったんだけどな。


 スピリットウェポンの事も知らないようだしな?


「――――ステラちゃん、試しに魔力を使う感じで《クリスタルセイバー》と念じてみてくれ!」


「・・・・・こうか?」


 すると、ステラちゃんの手元に輝きだし、水晶の様に透き通った剣が出現した。


 おお!ステラちゃんにピッタリな武器だな!!


「――――――――これは!!」


「多分、それは女神がステラちゃんに与えた伝説の剣なんだと思うぜ?俺達はそう言った武器を《魂の武装(スピリットウェポン)》って呼んでるんだ。」


「―――――確かに、凄い力を感じる・・・・・・!」


 ステラちゃんは感動しながら剣を見つめている。


 だよなあ、俺もこういうのがあったら感動するだろうな。


「シロウ、俺にも伝説の武器はあるのか!?」


「ないけど、加護ならあるぜ?」


「おお、やはりか!昔から神に護られる感じがしてたんだ!!」



 ――――――嘘だな。



「ハハハ!さあ、どんな神の加護か言ってみるがいい!!」

「鍛冶神、ゴヴニュだ。」


「ガ―――――ン!!」


 あ、やっぱり英雄神とか軍神とか想像してたんだな。


 いっそ、本当に転職しろと言ってみるか?


「フム、大した魔法だ。私達も使えれば今後の役に立ちそうだが・・・・。」


「ん~~~、けどこの魔法は別の世界で売っている物だから・・・・・あ!」


 待てよ、俺の能力を使えば可能だよな?


 それに忘れてたけど、勇者補正でゲットした加護を使えばこの状況も何とかなるんじゃないのか?


「・・・・どうした、シロウ?」


「なあ、ちょっと試したいことがあるんだけど―――――――――――」




--------------------



「ボーナス・・・・ですか?」


「そうだ、アンナちゃん、俺に協力してくれないか?」


「よく分からないですけど、勇者様のお願いでしたら――――――」


 とりあえず、俺はアンナちゃんと、あと何故か横で聞いていた村長の爺さんも巻き込んで俺は《善行への特別褒賞(エフォートエクスチェンジャー)》を異世界人に使う実験を始めた。


 俺達、俺とアンナちゃんと村長、ステラちゃんやバカ皇子とその護衛達が教会の中に集まったところで俺は能力を発動させた。


 目の前に画面が現れた瞬間のみんなの驚く顔は面白かったぜ!


「え~と、取り敢えず最初は村長からにするか!」


「ほう、どうすればいいのですかな~~~?」


 爺さん、だんだん嫌な感じに聞こえて来たから語尾伸ばすのやめてくれ。


 それはそうと、早速新発見なんだけど、どうやら表示された画面の文字はみんなにも読めるみたいだ。


 多分、見る人よってその人の普段使う文字に見えているんだろうな。


「さてと、とりあえず貯まっているポイントは・・・・って、710!?」


 村長の保有ポイントは710もあった。


 俺なんか、90もなかったのに!喋り方はともかく、かなり頑張ってきたみたいだ。


 ちなみに、ご年配の一般平均は200弱だ。この事をみんなに話したら全員驚いた顔で村長の顔を見た。


 村長、一体何者だ?


「村長、何か欲しい魔法とか道具、才能とかあるか?」


「そうだのう~、健康な体かのう~。あとは帝都にいる孫の顔が見たいのう~。」


 俺は音声検索でボーナスの種類を絞り、画面には以下の内容が表示された。


〈完全健康体〉 60pt

〈全状態異常耐性〉 35pt

〈若返り 1年〉 20pt

〈若返り 10年〉 160pt

〈回復力上昇〉 10pt

〈不老長寿〉 200pt

〈通信魔法〉 15pt

〈空属性適正〉 50pt

〈魔法知識(空)〉 20pt

〈通信用魔法具〉 20pt


 まだいまいち必要ポイントの基準が分からん。さすがに〈不老長寿〉は多いな。まあ、村長には関係ないか。


「・・・本当に、それが手にはいるのか?」


「ああ、マジだぜ?」


 ステラちゃん半信半疑だな。


 まあ、普通はそうだよな?


「それじゃ、この中から欲しいのを選んでくれ!」


 そして村長は全部は選ばなかったが、希望の〈完全健康体〉などを選び、最終確認も済ませて“決定”を選択した。


「「「おおお!!」」」


 俺達の目の前で村長は輝きだし、少し若返った姿になった。50~60ってところか?


 背筋はピンと真っ直ぐになり、白髪とシワもそこそこ減っている。髪なんか綺麗な青色になってるな。


「成功だな?」


 どうやら、俺の能力はこの世界の人間にも有効みたいだな。


 しかし、〈若返り〉とかって凄すぎだろ?


 あれ?何か村長の顔付がキリッとしてきてないか?体全体もムキムキになってるし・・・・!?


「勇者殿!」


「ハ、ハイ!?」


「勇者殿のお蔭で全身に力が漲っております!早速、生まれ変わったこの体で村の復興を手伝ってきます!!」


「ハア・・・・そうですか。」


 おい、さっきまでの村長と別人じゃないのか?


 村長は俺達に挨拶をすると、外へと向かって行った。

 ちなみに、村長のステータスは調べたら以下のようになった。



【名前】『群青の豪傑』ロン

【年齢】82  【種族】人間

【職業】村長 魔法戦士  【クラス】英雄

【属性】メイン:土 火 空 サブ:風 木 光

【魔力】161,0000/1610,000

【状態】正常(完全健康体)

【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv4) 剣術(Lv4) 斧術(Lv2) 体術(Lv3) 超回復 雷光の聖剣(カラドボルグ)

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv4) 火属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv4) 闇属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv2) 戦女神(オイフェ)の加護 焔龍の契約 完全健康体 全状態異常耐性 不老長寿



 なななな・・・・・・!?


 何だこりゃ~~~~~~~~!!??


 魔力161万って、この世界の人間の中じゃ別格過ぎるだろ!?俺より高いし、何か聖剣とか持ってるし!?


「アンナちゃん、あの村長、『群青の豪傑』って呼ばれてるのか!?何か、《英雄》とか出てるんだけど!?」


「え!?村長は昔戦士だったって聞いた事はありますけど・・・・?」


 アンナちゃんに訊いても分からないようだ。


 だが、帝国と王国の皆さんはあからさまに驚いていた。


「『群青の豪傑』だと・・・・・・!?」


「ステラ様、もしやあの村長は58年前の大災厄の英雄では・・・・!?そしてかつての大戦を終結に導いた、あの・・・・・!!」


「――――まさか、まだご存命だったのか!?」


「皇子!あのご老人はわが帝国の英雄ロン殿では・・・!?」


「・・・え、誰それ?」


「皇子―――――!!我が国の超有名人ですよ~~~!?」


 あ、バカ皇子は知らないのか。


 しかし、さっきまで語尾を伸ばす爺さんが英雄って・・・・世の中分からないな。


 アンナちゃんなんか、俺の隣で混乱しているし・・・・。



 さて、今度はアンナちゃん達の番だな?







・村長、あんたは勇者の子孫じゃないのか?

・ちなみに、この世界の人間の魔力は平民は1000以下、貴族階級だと4000以上、王族だと6000以上が普通です。優秀な魔法使いでも100万越えの人はまずいません。村長は軽く超えてますが・・・・。

・次回でこの番外編2は終わります。


・感想&評価お待ちしております。



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