15.終息、そして・・・
紅魔館の異変も、終わりを告げる・・・
今回はかなり短めです。
長かった夜が明けた。
フランドールよりも早くに目覚めたヘイジは、紅魔館の廊下を歩いていた。
「・・・さて、皆様はどうしていることやら」
昨夜はアナザーとかいう少女のせいで、色々と混乱が起こっていたようだし、みんなは大丈夫だろうか・・・彼が廊下を歩いていると、向こう側から、
「あらヘイジじゃない」
「おお、おはようございます。咲夜殿」
咲夜が歩いてきた。お互いに挨拶を交わしたところで、ヘイジは質問してみた。
「いやあ、昨夜は大変でしたな」
「え? 昨日の夜、何かあったかしら?」
「は、はい?」
咲夜が、こいつは何を言っているんだ、という目でこちらを見てくる。
その視線から、ヘイジは察した。
「い、いえ・・・何も。どうやら自分の思い違いだったようです」
「あらそう、寝不足なんじゃない? ちゃんと寝なきゃ駄目よ」
「はい・・・失礼しました」
どうやら、昨日の夜のことに触れてはいけないようだ。
彼女に別れを告げて、また歩き出す。そしてたどり着いたのは、
「・・・失礼致します」
「あらヘイジ。こんな時間に珍しいわね」
「ああヘイジさん!」
大図書館。大きな扉を開けて中に入ると、管理人のパチュリーと小悪魔が出迎えてくれた。
そして、小悪魔はヘイジに駆け寄ってきて、早口でしゃべり始めた。
「聞いてくださいよ~! 昨日の夜、変な事が起こって・・・何か、図書館から出られなくなったり、本が頭の上に落ちてきたりして、もう散々ですよ~!!」
「そ、それは大変でしたな・・・」
「こあは動揺しすぎなの。もっと落ち着いていれば良かったのに」
パチュリーが、あきれたようにため息をつく。小悪魔は彼女の方を振り向くと、嘆くように言った。
「パチュリー様は危機感が無さ過ぎるんですよ~! ・・・ところで、ヘイジさんは大丈夫でしたか~?何か、変わったことなんかは」
「いえ、自分には何も。では失礼致しました」
二人に一礼して、ヘイジは図書館を後にする。彼が廊下に出たところで、
「あ! おはようございますヘイジさん」
「おや美鈴殿。おはようございます」
今度は美鈴と出会った。
昨日は大分酷い目に遭ったようだが、大丈夫なのだろうか。そんなヘイジの心配をよそに、
「いやー、昨日の夜は大変でしたよ。滑って転んでの大転倒、まるで漫才みたいでしたね」
「は、はあ・・・しかしお元気そうで、何よりでございます」
「ええ! 元気だけが、取り得みたいなもんですから」
笑顔で彼女は、楽しそうにしゃべっている。昨日こしらえた傷や痣も、もう見えなくなっていた。
「あ、じゃあ私は門番に戻りますね。ヘイジさんも、お仕事頑張って」
「ええどうも、ありがとうございます」
美鈴とも別れ、ヘイジはまた廊下を一人行く。
そして最後に、訪ねるべきかどうしようか、迷っていた場所に行き着いてしまった。
「・・・うーむ」
レミリアの自室前。部屋の扉に張り紙がしてあって、「睡眠中につき、誰も近寄るべからず」とある。
これは引き帰した方が良さそうだ、ヘイジは九十度向きを変えると、
「さて、と。今日も一日、頑張りませんと!」
両手を上げて大きく伸びをして、来た道を戻っていった。
ではまた次回、お会いしましょう。