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08 枕か九尾か・・・女の子?

ピピッピピッピピピ。


ウザったらしいアラーム音が部屋に響く。


顔をしかめて枕に頭を埋めて耳をふさぐがケータイのアラーム機能は止まらない。


手を伸ばしてアラームを止めようとしたが、俺とケータイの間にはさまった抱き枕が邪魔で手が届かない。


むむっ、とうなって枕をどけようとするがどういうわけか枕とは思えないぐらい重い。


俺は眉をひそめて手に力をこめるが少し位置がずれただけでやっぱり邪魔だ。


んー、体勢が悪いから力が入らないのか?


枕に本来の使用方法の通りに抱きつき、体ごと動かそうとした(そこまでするなら素直に起きたらいいと思った君。そこはノータッチだ)。


しかし、抱き枕の予想以上に柔らかさに思わずドキッとして力が抜けた。


それに人肌のように温かく、その柔らかさはまるで女性の胸のよう(実際に触ったことはないけど恐らくそれぐらい、てか触れる筈ないじゃん・・・)だ。



「あぁ、この感触・・・気持ち良い・・・」



気付かないうちに変態じみたことを呟いていた。


決してそこまで欲求不満なんじゃない!と弁解したいが自信がない。


そして無意識に抱き枕を揉み始め・・・ん?



「ん・・・」



女性特有の甲高く、あえぐような声が聞こえた。


・・・いや、きっと空耳だ。


ムニムニとした触り心地を再び感じるために(決して変態じゃないからな!)手を動かす。



「んぁ・・・んー・・・」



また聞こえた。


認めよう、どうも空耳じゃないようだ。


じゃあ、今の声は何だ?


俺が抱き枕を揉むと同時に聞こえたような気が・・・あれ?



「・・・はっ!?」



俺はベッドから素早く飛び起き、ササッと部屋の隅に移動してから状況を整理する。


まず最初に――俺は抱き枕なんか持っていない。


買ったこともないし貰ったこともない、だからここに抱き枕はない筈だ。


では、これは何だ?


一番に思いついたのは、昨日の夜中に俺のベッドに不法侵入した例の九尾だ。


でもベッドに横たわる謎の物体は俺の背丈ほどの大きさ、とてもあの小っこい九尾とは思えない。


しかし・・・アイツは九尾、妖怪だ。


妖術か何かで大きさぐらい簡単に変えれるだろう、今変わる理由は分からないけど。


それにほら見ろ、いつの間にか布団をかぶって体が見えないがやけに長い金色の毛とピクピク動いている耳が見えてるぞ。


俺は恐る恐るだが布団に手をかけ、引っぺがそうとする。


何だか体が見えないのが不安でもあるし、ここにずっと寝られていては困るからだ。


そして、俺はすぐに自分の行動に後悔することに(実は少し幸せな気分だったのは内緒)なった。


ベッドには九尾なんか居なかった。


九尾ではなく――めちゃくちゃ可愛い女の子が眠っていた。


・・・何故か、裸で。

未だに学園っぽさが出てこない悲しい現実。

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