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05 9本の尻尾

俺は山を急いで下った。


またさっきのように同じ場所をぐるぐる回るかもと心配したがその必要はなかった。


先程迷いに迷ったのが嘘のように十分も経たないうちに山を出れた。


ここまで来ればこっちのものだ。


こんな小さな町の事なら隅から隅まで知り尽くしている。


近道よりもさらに近道(具体的に言えば人ん家の庭とか、すでに道じゃねぇ)を通ってあっという間に自宅へ(言ってなかったけどアパート住み)。


だれにも見つからずここまで来れたのはラッキーとしか言い様がない。


兎に角俺は自分の部屋に入ってドアの鍵をかけた。


狐を抱いているところを誰かに見られたら何と言われるか。


それ以前にこのアパート、ペット禁止だ。



「きゅ、くゥん・・・」



「ご、ごめんな。苦しかったか」



狐が苦しそうに呻いたので腕の力を緩めた。


玄関からリビングに移動してそこにあるソファに寝かせることにした。



「・・・少し暗いな」



実際は少しどころかかなり暗い。


既に時刻は遅くて外も暗く、部屋の明かりも点けていないからだ。


カーテンも閉まっている為、外にある明かりは入って来ない。


ここが自分の部屋だから壁にもぶつからずにリビングまで来れたが1mから先は全く見えない程の暗さだ。



(明かり、明かり・・・スイッチどこだっけ)



手探りでライトを点けるスイッチを探す。


スイッチはすぐに見つかり、ライトを点ける。


部屋に明かりが戻り、狐の居るソファの方を見た。


勿論、狐は逃げたりせずにソファで寝ている。


いつ見ても小さな体といつ見ても綺麗な毛皮だ。


そして体よりもずっと大きなモフモフした尻尾。


あの尻尾をモフモフするのが俺の願いで・・・え?


・・・何か変なものが見えた。


俺は目をパチクリさせたあと、目頭を押さえて呟く。



「あぁ・・・疲れてるんだな俺・・・。いや、幾らなんでも幻覚まで見えるとはな・・・なさけねぇ」



目をゴシゴシとこすってもう一度狐を見て・・・再び目をパチクリ。


再び目をこすって何度か同じことを繰り返して思った。


あぁ、俺はもう駄目だ。


幾らなんでも――『尻尾が9本に見える』なんてありえない。


・・・あ、そうかこれは夢なんだ夢なんだって夢なんだよ。


そう自分に思い込ませて頬を思いっきりつねったが、



「痛て・・・あれー?」



現実逃避を今すぐにでも行いたいところだが・・・どうやら夢ではないようだ。


じゃあ、目の前の生き物をどう説明するんだ?


小さな体から尻尾が9本も生えている。


今まで大きな尻尾と思っていたが、どうやら違っていたようだ。


山の中は暗かったのでちゃんと尻尾の事を確認できず、町では家に戻るのに必死だったので気付かなかった。


しかし尻尾が9本も生えた狐・・・。


あぁ、聞いたことあるぞ。


昔、日本や中国などで悪事を働いたっていう化け狐。


実際居るとは思わなかったし思えなかったが・・・こいつは確かにあの妖怪。



「・・・九尾だ」

話の展開が長引いてしまう・・・。

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